1/6
スイカ まだら模様のピンポン玉を見上げた夏
その年は、スイカは見上げるものだった。
天空栽培って、聞いたことがあった。
ぶら下がって大きくなるはずだった。
蔓が伸びた。
縛った。さらに伸びた。
さらに縛った。
なかなか玉がつかなかったが、スイカの栽培に慣れていなかったので、特に疑問にも思わなかった。
自分の身長より高くスイカを縛り、ついに玉がついた。
結実したのだ。
指でつまめるぐらい、ピンポン玉サイズの小さなスイカだ。実がついたばかりだから仕方がない。
きっと、そのうち大きくなる。
縛り上げるための使った支柱が折れるかもしれない。
どのタイミングで支柱を補強しよう。
畑に行くたびにそう思いながら、すでにしっかりとスイカらしい模様が浮かび出た、小さな丸い玉を見上げていた。
平日は仕事をしているので、土日しか畑には行かない。
何度も見上げている段階で、おかしいことに気づかなければいけなかったのだろう。
その時は、ただ期待を込めて見上げ続けた。
その年、ついたスイカの実はそれだけだった。
夏が終わる。
支柱は補強しなかった。
私が見上げ続けたスイカは、見上げ続けたサイズのまま、蔓が枯れた。




