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ライトインフリゲート  作者: ああ
第2章「新部隊の始動 ~舞台は宇宙へ~」
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第9話 海賊襲撃と変化の兆し

ウィンドファルコン内 応接室


「海賊だと!?」


レノンは別のモニターに外部の様子を映す様に指示を出した。

モニターに映し出された映像ではウィンドファルコンは多数の小型挺に取り囲まれていた。

こちらも機関砲で応戦しているが、小型挺は縦横無尽に動き回って狙いを絞らせず、ようやく捉えても海に逃げ込まれて有効打を与えられない状況である。

レノンは憎々しげにモニターを睨み付けた後、横にいた兵士に命令を出す。


「格納庫にあるセイレーンを4機共全て出せ、これ以上、奴ら海賊に言いようにやられてたまるか!」


「了解しました。格納庫にいる整備兵に伝えます。」


レノンは先ほどまでの余裕のある口調とは打って変わり少々荒々しい口調へと変わっていた。


「レノン君、不測の事態でも発生したのかね?」


「太宰様、現在、海賊共の襲撃を受けまして……少々お時間を頂きたい……」


もう一方のモニター、スピルウィアー星と繋がっている方から太宰が尋ねる。

レノンが少し困惑したように取り繕ったのを聞いて、大宰は正面の金髪オールバックの人物に指示を出した。


「マルス君、『ヴィルト(猟鳥)』隊の出撃準備を、ウィンドファルコンを迎えるためのゲート以外にも今からゲートを開放できるかどうかも確認してくれ、出撃可能な全ノーミル、UMAもね、それから……」


「お待ち下さい、お言葉ですが、相手はたかが海賊です」

「そのような大兵力は必要ありません、現状のこちらの兵力で十分に対処できます」


「いいや、私は今すぐにでも我が娘に会いたいのだよ」


っと太宰とレノンが会話をしていると

突如スピルウィアー星と繋がっていた方のモニターの画面にノイズが入る。


「何だ!?」


「通信系統にダメージを受けています」

「外部との通信手段を積極的に狙われています」


「ゲートへの突入を最優先で考えていたが、やはり外の海賊を追い払うのが先か……」


「そう言えば、この船にはご自慢のノーミルもUMAもいないのか?」


翼雷が尋ねる。

モニターから翼雷に視線を移したレノンはそれにいつものような余裕を少し取り戻して答えた。


「このウィンドファルコンは元々偽装用の機体だ」

「そのためバルベアの戦闘機は配備していないのです」

「UMAに関してはそんな野蛮な物、檻無しには積めませんよ」


そしてその後、弟の崎村の方を見て……


「そうだレゾン、兄弟としてのよしみだ、一緒に周りの海賊どもを掃討するのを手伝ってくれないかな?」

「ほら、ゲーテル家では私が君に優しくしてあげてたじゃないか」


と、レノンは懇願するように言った。

その様子はついさっきまでの余裕も無くなったようであった。

けれども、崎村はそんな兄の様子を見ても同情を見せずに冷たく言い放つ。


「今更何を……」


「このままではこの機体は墜落してしまう」

「君達の機体を乗せたままね、ここはお互いに共闘して事に当たった方が良いのではないかね」

「他の人達はどうだね?」


「私は出ますよ、ここでやられるのを黙って見ていたくは無いですし」


楊と翼雷はそれぞれ現状に対処する事が優先と考えていた。

その時モニターでは先ほど出撃したセイレーンが周囲の小型挺に反撃を開始した。

性能はセイレーンの方が上だが、如何せん小型挺は数が多く、防衛の手が足りていないのは明らかである。


「機体に細工とかさしてないんでしょうね?」


「もちろん細工などしておりませんよ」


「そうなのね……」

「でもピンチになったらすぐ手のひらを返すのね……」

「こんなにあっさりと私たちを自由にしても構わないの?」


飛鈴はレノンへの不信感を言葉にしぶつけた。


「あぁ構わないさ……」

「柊君以外は出ていって貰って構わないと先ほど話したばかりじゃないかね」


レノンがそう飛鈴にいい終えると隣にいた若い女性にこう話した。


「少尉、君も一緒に外の海賊の対処を頼む、この船にあと残っているのはスピルウィアー星の戦闘機しか無いがもう偽装も必要無いからね」


「了解しました」


その少尉と呼ばれている女性はコツコツとブーツの音をたてながら翼雷たちの元へと向かってきた。


「それでは格納庫へ案内いたしますのでこちらへ……」


女性は丁寧な口調で話した。

しかし……


「それじゃあ、宇宙人のお姉さんよろしくね」

「あ!あとくれぐれもこちらの邪魔はしないようにお願いしますね……」


しかしそんな態度の女性に対して翼雷はまるで相手を挑発するかのような態度を取った。

そんな翼雷の態度にイラついたその女性はこんな発言をした。


「……私の名前はレギーネです」

「その言い方は止めて頂きたい」

「あと逆にあなたたちこそ足を引っ張らないでくださいよ……」


両者険悪化したムードの中翼雷たちは柊と崎村とジョセフを残し格納庫へと向かっていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ウィンドファルコン内部通路……


レギーネが先行する中、八重咲、青海、翼雷、飛鈴は格納庫へと向かってゆく。

八重咲と青海はレギーネの後ろにぴったりとくっつきながら歩いており、その少し後ろを翼雷と飛鈴が歩いていた。


「ねえ翼雷君だっけ?」

「君は崎村少佐の件についてどう思う?」


格納庫へと向かっている途中飛鈴は翼雷に対して崎村の件について聞いてみた。


「どうこうなんて僕は崎村さんじゃないんすからわかるわけないじゃないっすか」

「ただあの反応を見る限りだとほぼ真実なんじゃないんすか?」


翼雷はまるで人形のように表情を一切変えず答えた。

そんな翼雷の態度に少し引き気味な飛鈴であった。

しかしそんな翼雷の発言に対して飛鈴はは少し不自然な点があることに気がついた。


「ほぼ真実?」

「ほぼってどういうことよ」


飛鈴は翼雷の目をジッと見つめながら彼に問いかけた。


「うーんなんというか……」

「僕は子どもんころからあの人には世話になってますし本当にあいつのいうことが全部真実だっていう風には捉えれないんすよ」


「子どものころから世話になってる?」


「はい……崎村さんにはここ(ナディエージダ)に入る前から色々と世話になってるんすよ」

「ってかここに入ったのもあの人のコネっすし……」


「子どものころからってあなたたちどういう関係なの?」


「うーん……正直僕もよくわからないっす」

「というか僕襲撃前後の記憶があやふやなんすよね……」

「まあこんなこと今話しても仕方ないしもうこの話はやめましょうか……」

「今はとりあえず目の前の敵の対処からっすよ」

「僕は単純なんで目の前に敵が来たら撃破せずにはいられないんすよね」

「たとえそれが僕にとっての恩人だとしてもね……」


翼雷は最後に意味深な発言を残し早足でレギーネの方へと歩いていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ウィンドファルコン格納庫……


「着きました……」

「こちらにあなた方の機体があります」


レギーネが格納庫の壁についていたスイッチを入れると照明がピカッと勢いをつけ光だし皆の機体が一斉に姿を現す。


「今現在こちらの戦力は劣勢状態となっております」

「早めに準備を済ませてすぐに出撃出来るようお願いします……」


「言われなくてもわかってますよーだ……」


レギーネの敬語混じりの言葉に対し壁にもたれながらの体制の翼雷は適当な返事で答える。


「ちっ!」


それに対してレギーネも負けずに舌打ちをし翼雷を睨み付けた。


「ぴゅーぴゅーぴゅー」


しかしそんなレギーネを横目に翼雷は口笛を吹きながら自分の機体の元へと向かってゆく。


「あの地球人も海賊と一緒に撃ち落としやる……!」

っと恐ろしい言葉を吐きながらレギーネもその場をあとにした。


「え、えっとー……とりあえず私たちも準備しよっか……」


「で、ですね……」


そんな二人のやりとりを目撃した八重咲ら三人も自分たちの機体があるところへと向かってゆく。


ーーーーーーーーーー


飛鈴がフェニックスの元へと向かうとそこには翼雷がいた。


「翼雷君さっきのレギーネって人?すごく怒ってたよ」

「海賊と一緒に撃ち落とすとか言ってたし……」

「とにかくあの人たちは敵だけど今は味方な訳なんだしあんまり喧嘩売るようなことをしないでよね」


飛鈴は翼雷を軽く叱った。

しかしそんな翼雷の反応はというと……


「へいへい……」

っとこの有様であった。


「はあー本当に反省してるんだか……」

「ん?そういえば翼雷君の機体って確かゼロだったよね?」

「ねえちょっと見せてもらえない?」


「いいっすけど壊さないでくださいよ」

「この機体脆いんで……」


「そんな私怪力じゃないから壊せないよ!」


翼雷へのノリツッコミを入れたあと飛鈴はゼロの元へと向かってゆく。


「ゼロ……正式名称は零-三七ゼロスリーセブン)……」

「日本で作られた最高傑作……」

「機体の軽量化に重点を置いた機体でとりあえず軽いのが特徴なのよね」

「でも軽さは逆に長所でもあり弱点でもある」

「軽さに重点を置いてあるから耐久性はかなり低いのよね」

「そして扱うのも至難の業……」

「武装の特殊機関銃『HANABI』は他の機体に比べて弾が小さくて目標に当てるのが困難なのよね……」

「でも弾の中には火薬が仕込まれているから火力には劣らないのよね」

「弾が爆発する様子が花火みたいだからHANABIって名付けられたんだよね 」

「そしてもう一つの武装の神速もまた技術がいる武装なのよね」

「神速は加速ブースターの一種なんだけど最高でマッハ7まで加速することが出来るんだよね」

「でも基本この神速は主に素早く細かな動きをして敵を翻弄する際に用いることが多い」

「っとまあ簡単に私の知ってることを説明したらこんなとこかしら!」


飛鈴は自慢げに長文を並べながらゼロの説明を翼雷へとしてゆく。


「よく知ってるね……」


翼雷は少し引き気味の様子であった。


「そりゃあまあ私は一応香港支部の次期エースパイロットだし他国の機体情報くらい把握しておかないとね!」


飛鈴は腰に両手を当て小さな胸を前に突き出し誇るような態度で翼雷に言った。

すると翼雷は少し口角を少し上げて笑顔になった。

ただし彼の目は笑ってはいなかった。

アンティーク物の人形のようなどこかに寂しさを残したようなその笑顔で彼は飛鈴にこんなことを聞いた。


「元気そうですね……」

「えっと楊さんでしたっけ?」

「あなたは平気みたいですね……」


「平気?なんのこと?」


「崎村さんや柊中尉の件ですよ」


「!!?」


翼雷のその言葉を聞いた瞬間飛鈴の表情が変わった。

しかしそんな彼女の様子には気がつかずに翼雷は淡々と話し出した。


「よかった……僕だけじゃなかったんですね……」

「その……なんて言ったらいいですかね……」

「僕って……他の方に比べて感情の部分が少し欠損してるんですよね……」

「皆が泣いていても何故泣いているかわからないし誰かが怒っていても何故その人が怒っているのかもわからない……」

「だからさっきも皆なんで驚いていたのかがわからなかったんです」

「確かに僕もずっと一緒にいた崎村さんが宇宙人とは知りませんでした」

「でもその事実がわかったということしかわからなかったんですよ」

「それにどう驚いていいのかも僕にはわからないんです……」

「なんでショックを受けるのかもわからないんです……」

「でも楊さんも僕と同じで平気なんで……」


「平気なんかじゃないよ……」


「?」


翼雷が飛鈴の方を見ると彼女は下を向いていた。

床にはぽたぽたと水がこぼれ落ちてもいた。


「私は平気な振りをしてただけだよ……」

「そう思っておかないと私が私でいられなくなっちゃっう気がしてね……」


「……」


「あの人は私の憧れの人だったんだ……」

「格好よくって頼りがいがあって……」

「今回の任務でちゃんと話したのは初めてだったんだけど私すごい嬉しかったんだ」

「だってずっと憧れだった人と話せた訳なんだしさ……」

「でもあの人は私たちを騙してたんだよ……」

「本当に信じられない……」

「信じられるわけないよ……」


「……」


この時の翼雷には何もわからなかった。

彼女が急に涙を流した理由もそして時々感じる彼の胸の不自然な痛みの原因も……

先ほどまでの明るいムードとは違いどこか暗ーいムードが広がってゆく……

そんな時であった……


「こちら管制室、こちら管制室」

「出撃体制が整いました」

「もうまもなく出撃となりますのでパイロットの皆様は準備の方をお願いいたします」


出撃の準備が整ったという知らせの艦内放送が流れた。

この放送を聞くと飛鈴は翼雷に……

「ごめんね……」

「急に泣いたりして……」

「さっきのことは忘れていいから……」

と軽い謝罪を入れて出撃の準備を初めていった。

翼雷もそれを見て飛鈴に背を向け淡々と準備を初めていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ウィンドファルコン:応接室


管制室よりレノンへ一件の報告が入って来た。


「通信系統の修復についてですが、予備の回線を作動させたところ通信、通話が再び可能となりました」


「でかしたっ、じゃあ急いで官邸に繋いでくれ!」


間もなくはるか遠い地に居るバルベアの首脳たちの姿が再び映し出された。

そのうち紫アフロと金髪オールバックはホッとした表情を浮かべているが

なぜか金髪秘書は残念そうな面持ちで、そして太宰弘はまるでカメラに噛り付きそうなほどに

必死な形相で画面を凝視していた。


「突然様子が分からなくなって心配したが、とりあえず無事なようで良かった」

「レノン君、今そちらはどんな状況かね?」


「ご安心ください大統領閣下」

「現在レギーネ少尉が戦隊を率いて出撃しており、さらに地球のパイロットも

助っ人に加わったので、あのような海賊程度ものともしません」

「それに、この機は元々防御重視で頑丈な作りなうえに、現在チャフとECM装置が作動中でもう撃墜される心配はないでしょう」


「そうか、それなら一安心だな…… 瑠湖との話も中断して肝心なことをまだ何も言えてないからな……」

「それにレオンくんも弟君と積もる話があるだろうから、それも一緒にだな……」


いくらか落ち着きを取り戻した太宰は、片側のソファーに佇む紫髪をした強面の腹心に目線を向けるとその人物はどう応じれば良いのか戸惑った表情をしている。


「閣下、よろしいのですか?」

「お嬢様との会話を何よりの楽しみにしていたでしょうに……」


「なあに時間は充分あるし構わんさ、10年間離れ離れだったのは君たちも一緒だろう」

「レノン君が一足先に再会できてるのに、もう一人の兄である君が全く話せてないんじゃ気の毒じゃないか」


鷹揚な態度を見せる太宰の提案に、その紫アフロの男は意を決して画面の向かい側に視線を落とした。


「本当に久しぶりだなレゾン、いい面構えだ。昔は線が細くて頼りなかったが

今やどう見ても鍛え抜かれた軍人そのもので立派になったな」


その場に残っていた柊は彼らの会話を隅っこで聞いていた。

ジョセフも下を向いた状態であったがその会話に少し耳を傾けている様子であった。


「そちらにいるのはミス柊と……レゾンの同僚の方か……」

「あなた方とは初対面だ」

「初対面の人に出会ったら自己紹介ということで私の名前はレオン・ゲーテルです」

「レゾン……そこの崎村の兄だ」

「以後お見知りおきを……」


レオン・ゲーテルと名乗り軽くお辞儀を入れた。

そして柊達が質問を入れる隙もなく崎村に話しかける。


「今回のレノンの計画でミス柊が来ることは知っていたが、まさかお前にまで会えるとは思わなかったぞ……」


レオンは10年ぶりに再会する年の離れた弟崎村に感慨深い眼差しを向けていた。

その様子に益々疑念が深まっていく柊とジョセフだったが、自分たちを置き去りに話が進むことに業を煮やした柊が口を開く。


「感動の家族の再開に水を差すのは気が引けるけど、どういうことなのか説明してくれないか?」

「こっちは全然訳が判らないんだ」


これに応えるのは崎村の兄たちである。


「おおっ、これは失礼。こいつの同僚である貴方がたにも知る権利はありますな」

「しかし全て話すとバルベアの恥部を知られることになるわけで……兄上、如何いたしますか?」


「止む得ないだろ、このままレゾンが誤解され疑われたままというのも拙いだろうし。私から説明するよ」


しかし崎村は兄たちに頼ることを望まず、自ら語ることを選んだ。

いまは部屋に入った時のこわばりも消えて、柊とジョセフに意を決した表情を見せる。


「待ってくれ兄さんたち、気持ちはありがたいが、ここは俺に任せてくれないか」

「仮にも数年間生死を共にしてきた仲間だから、自分の口で話したいんだ」


「いいのか? 彼らはお前への不信で凝り固まっているが、ちゃんと聞いてもらえるのか?」


「兄上、同じ場にオレもいる事だ、いざというときはフォローしますよ」

「ということでレゾン、とりあえずやるだけやってみろ」


「すまない兄貴……じゃあやってみるよ」

「なあ柊、ジョセフ中佐、今の俺が何を言っても信じられないかもしれんが聞いてくれ

今から話すことになる、俺の運命が激変した全ての出来事を……」


ここから長年同僚として過ごした男の過去と、地球に来るまでの経緯が語られることになる。


「ちょうど10年前のことだ。いまは廃止されたが、かつてALTERシステムという計画が行われていた。

地球での大混乱に乗じて、現地の子どもを誘拐しバルベアの道具として利用するというもので

俺も新米の一兵卒として、それに関わっていた」

「表向きは動乱に巻き込まれた子供たちを救出するという口実で行われ。国民の殆どもそれを信じていたが。

実際は投薬や催眠術での洗脳に人体実験など、当時はピルヴィの前身である別名の組織だったが、あいつらはやりたい放題だった」


レノンもこの件で思うところがあるのか、今までにない真面目な表情でひと言付け加えた。


「あれはまさに鬼畜の所業だったよ。流石に先の大統領も『そこまでやれとは言っとらん』と激怒されて

関係者の大半は処刑か永久追放などの処分を受けたわけなんだが」


かつて遠い異星で起きた知られざる大事件を、地球人として初めて耳にする柊とジョセフの目は

あまりの驚愕に大きく見開かれていた。


「だがそんな組織のなかにも良心的な者がいたんだ。あるとき、ある施設の関係者から実験の資料を託され

世間に公表するように頼まれてな。そして俺は監視の隙を見て脱出したわけさ」


「ほんとあの時は驚いたよ、突然お前が地球人の子供を連れてきて、我が家に駆け込んであの組織の非道を訴えたのには

さっきまで、この部屋にいたパイロットの少年があの時の子なんだろう?」

「そのとき同時に持ち込まれた資料の映像を見たときは私たちも愕然としたよ。あの組織の良くない噂は以前から聞いていたが、

まさかあれほどだったとはな……どう扱うべきか相当悩んだが、結局は事情を知ったバルス大統領の許可を得て自国の報道機関に全て流したんだ」


兄弟の口から交互に語られる事情は、ここまでだけでも充分波乱と呼べるものだが

この続きとなる、その後の出来事の数々は更にとんでもない展開ばかりだった。






















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