表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

第8話 明けない夜

……俺は挫折を知らない子どもだった

勉強も運動も人間関係も苦労したことは特になく、自然と「俺が誰かを守るのは当然」という驕りがあった


大学の時、サークルで顔を合わせた新入生の朝子に告白をされたのがきっかけで、付き合い始めた

朝子の親戚には警察官僚がいて、俺は自然と「正義」の道に進むことを選んだ

警察官は誰かの暗闇を照らす事ができる仕事だと思った

俺は俺の「正義」が肯定される仕事に就けて満たされていた


そんな時……俺は汚職を見つけた…組織ぐるみだった……朝子の親族も関係していた…

俺は、俺は何も告発できず、結果として警察官を辞職した


朝子には何も言えなかった

両親は俺を今まで見たことがない目で見た

「根性が足りない」

母には泣いて揺さぶられ、父には殴られた


俺は自暴自棄になり、朝子はいなくなり、でも酒を飲んでも酔えなくて、


そんな時

「酔えないくせに酒が好きなのかい?ガハハ、ならBarの仕事でもやってみるかい?」

たまたま入った飲み屋のマダムが俺をそう誘ってきた


警察とは関係がない仕事…いいかもれない…

俺は深く考えずに頷いた


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


そんな風に店を始めて数年が経った

やる気がない俺が運営するBarは流行らない


いつも通り、客がいない店内に、見た目も口も軽い若い男が飛び込んできた

聞いてもない事をべらべらと一方的に話す男

急に話すのが止まったので、視線を上げると目が合った


あの日の俺だと思った


「うちで働くか?」

つい、こぼれ落ちたあの言葉


俺が言われたかった言葉だった

あの日、両親に、朝子に、


ただ傍にいるだけで、それだけで良いと言われたかったんだ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ