8 ベルン公爵
(`・ω・)ノ.oO
「それで本日はどのような要件でしょうか?ハウル公爵」
俺が出向いていたのはこの前も来ていたドロテアの実家、ベルン公爵家だ。何故かって?これからドロテアを貰うためさ。
「単刀直入に申しましょう。実はベルン公爵の娘さんを貰いたいのです」
「………それは、どのような意味でしょう」
「豚公爵らしい下衆な意味でですよ」
普通の親ならそれこそ有り得ないと一蹴するだろう。しかしこの親に関しては別の意味で否定するはずだ。
「それは難しいですね。ご存知の通り娘はケーニッヒ殿下と婚約していますから」
「その婚約が無くなった場合、貴方にとって邪魔な娘を引き取ると言ってもですか?」
ピクンと眉を釣り上げるベルン公爵。ま、前妻の子供なんて後妻が好きなら邪魔でしかないのだろうね。俺はそう思わないが………少なくともこの人達はそういう人間だ。
「実はですね、家に新しく養子を迎えたのです。その娘と殿下は大層親しいようでしてね」
「………なるほど」
これで大方伝わったのだろう。俺の根回しが既に完了していることに。
「そういう訳です。もしも仮に婚約が破棄になれば………娘さんの行き場を与えようという提案をしに来たのです」
「いやはやお見事。そうまでして”アレ”が欲しいと?」
自分の娘をアレ呼ばわり……キレなかった俺を褒めて欲しい。
「ええ、是非とも欲しいですね」
「でしたらどうぞ遠慮なく持って行ってください。婚約が無くなればアレに価値は無くなりますから」
…………おk。今夜は藁人形と五寸釘で呪い祭りだ。皆俺の怨念で呪ってやろうかなぁ。まあ、無理そうならなんとかして懺悔させたいが……まあ、目的は果たしたのでここには用はない。
ドロテア・ベルン公爵令嬢。彼女の家庭環境は思ってたより酷かった。前妻は彼女が幼少の頃に亡くなって、その後来た後妻に色々とされたみたいだし、しかも目の前にいる父親は誰とも知らない平民を愛人として囲っている始末。
そこにプラスで王子の件ともなれば、もう正気で居られたことが奇跡に近いだろう。将来的に悪役令嬢なるのも全ては環境のせいとも言えるほとだ。
そんな彼女を救うためにどうすればいいか。色々考えてみたけど、やっぱり1番手っ取り早いのは当事者達に納得させてから、豚公爵としての悪名を利用することだろう。
そう、俺がドロテア欲しさに暗躍したとすればいい。嘘ではないしね。まあ、ドロテアにはもちろん他に好きな人が出来れば身を引く覚悟はあるけど……本音を言えばこのまま俺のものにしたいのだ。