【第十章】私と脚フェチと上京した幼馴染的な存在が会わないうちになんとやら【九十八話】
「え? カズミさん何考えているんですか! そんなことダメに決まっているじゃないですか」
私の考えていることをトウフに言ったら案の定反対された。
でも、あいつは危険だぞ?
火事になる可能性があるんだぞ?
まあ、炎天下の中、外に長時間放置してたからかもしれないが。
それでも、実際、置く場所ないしな。
「でもほら、チョウさん置いておくとカラカサが今度は出ていくことになるぞ? それにチョウさんには火事の危険性があるしな」
昔はどうだったか知らなけど、今は水と油のような関係…… とも違うか。
カラカサが提灯お化けのチョウさんのことを一方的に嫌ってて一緒にいたがらないからな。
「いいじゃありんせんか、そうしちまいんしょう」
カラカサは私の案に承諾してくれた。
「カ、カラカサさんまで!? 本気でチョウさんを売る気なんですか?」
売るっていうとちょっと感じが悪い。
ただ単にリサイクルショップへ持っていくだけだよ。
まあ、結局は売るんだけどさ。
ぬらりひょん曰く割といい提灯だから、高く売れるかもって話なんだよ。
まあ、提灯の火袋の部分が真っ二つに割れてるんだけどさ。
そこから舌を出すから。
それでも物が良ければ売れるだろ。
ついでに、さっき焼け焦げたところはいつの間にかに治ってた。
「じゃあ、トウフ。おまえはカラカサとチョウさん、どっちを取るんだ?」
私としては、カラカサでもチョウさんでもどっちでも……
いや、カラカサガがいなくなって、チョウさんが私の脚でも求められだしたら面倒だな。
ヌリカベのこともあるし、カラカサのほうが有用だよな。
「え? 選べませんよ、そんなの!」
私に二択を迫られたトウフはあわあわと選べないでいる。
「選べないなら私が選んでやるぞ。今まで一緒に住んで来たカラカサを取り、ついでに火事を起こす危険性を持っているチョウさんをリサイクルショップに売ってくる」
カラカサにはヌリカベに報酬を与えるという仕事もあるしな。
チョウさんにできる仕事がないうえに、火事の危険性まであるからな。
比べるまでもない。
「そ、そんな!」
「ついでにぬらりひょんの奴も、ここが火事になられては困ると、了承してくれたぞ」
了承というか、快諾してたな。
あいつはトウフとは違い妖怪の仲間意識とか皆無だよな。
「嘘ですよ! ぬらりひょんさんがそんなことを言うだなんて!」
「いや、普通に言ってたぞ。あと、提灯お化けはそうやって受け継がれていくとも、移動して行くとも言ってたな。まあ、それはカラカサも同じだけど、あいつは自分で動けないから特にそういうことらしい」
自分で動けないからそうやって移動して行くんだそうだ。
昔は質屋経由でいろんな所へ行っていたらしい。
なら、リサイクルショップに持っていかれるくらい慣れっこだろ。
「そ、そうなんですか……」
しょんぼりしたトウフも可愛いな。
「それが摂理という奴でありんす」
カラカサは嬉しそうに同意してくれている。
というか、カラカサ的には厄介払いできて嬉しそうだな。
「でも、折角来てくれたのに!」
来てくれたというか、私が面白そうだから拾っただけで。
もう少しドロドロした愛憎劇をしてくれると思ったんだけど、カラカサが思いのほかドライでドロドロしなかったな。
「トウフ。このアパートが火事になってなくなってもいいのか?」
実際火事になりかけてたしな。
今どき蝋燭の明かりなんて、光源にもらならない。
けど、チョウさんの蝋燭はなくならないのか?
だから必要以上に蝋が垂れて燃えてたのか?
んー、あんまり利点はなさそうだな。
無限蝋燭か。
まあ、現代社会じゃ役に立たないな。
せめて食いもんだったらな。
「それは絶対にダメです!」
トウフもここが火事になるのはいやらしい。
「なら、トウフも選ばないとな」
私はそう言ってトウフの頭を撫でてやる。
「選べませんよ!」
と、トウフは涙目でそう言ってはいるが、もう決定事項だ。
「じゃあ、私が選んでやる。チョウさんはリサイクルショップに売る」
「でもなんで、リサイクルショップなんですか?」
トウフにそう聞かれる。
同じようなことを私もぬらりひょんに聞いたよ。
ただ捨てただけじゃダメなのかって。
ただ捨てただけじゃ巡り巡って帰ってくるらしい。
付喪神との縁切りは質屋がいいらしい。
なんか色々と説明してたけど、質屋にはそういう性質があるらしい。
まあ、質屋なんてこの辺りにはなくてな。リサイクルショップしかなかったけど。まあ、似たようなもんだろ?
「それはぬらりひょんが質屋に流せばいいってな。付喪神はそういうもんなんだとさ」
そうやって質屋の蔵に保管されている間は、付喪神も大人しくしているらしいな。
なんでだろうな。
それも聞いた気がするけど、話が長くて聞き流してたからよく覚えてない。
「そ、そうなんですね……」
ぬらりひょんの名を出され、トウフも渋々認めたようだ。
さすがは総大将だ。
「そう言われると少し複雑な心境でありんすな」
カラカサがそう言ったのは、質屋に売られる付喪神の心境からか?
「カラカサさんも寂しいんですね」
と、トウフが聞き返すと、
「違いんす」
と、カラカサは即座にそれを否定した。




