【第十章】私と脚フェチと上京した幼馴染的な存在が会わないうちになんとやら【百話】
「え? 提灯お化けパイセンどうしたんデスか?」
妖怪連合の秘密基地ともいえるとある場所の会議室、その机の上に置かれている提灯お化けを見つけて、先輩の妖怪にそう聞いたんデス。
提灯お化けパイセンは、一言もしゃべらないデス。
あれほど無駄に喋っていたのに、今は一言も発していないデスね。
ただ虚ろな一つ目で虚空を見つめています。
提灯お化けパイセンに何があったんでしょうか?
「んー、なんかリサイクルショップに売られてたらしいよ? それを誰かが買い戻して、ここまで、妖怪連合の本部まで連れて来たのよ」
と、少し困ったように妖怪のパイセンがそう言いました。こっちのパイセンは普通の人間みたいな格好デスね。
リサイクルショップに売られていた? デスか。
酷いことをする人もいるもんデスね。
というか、提灯お化けパイセンがこうなってしまったのって私のせいデスかね?
何も考えずに言われるまま提灯お化けパイセンを連れて行ってしまったせいデスか?
「そ、そうなんデスか? 私、提灯お化けパイセンに言われて、例のアパートの付近まで運んだのデスが私のせいデスか?」
「いやいや、口裂けちゃんが悪い訳じゃないよ。それに頼まれてでしょう? なら自業自得だよ」
別の妖怪パイセン、この人が何の妖怪か、分からないデスよね。でもなんか生理的に受け付けないものがあるんデスよね、そんなパイセンがフォローしてくれます。
妖怪連合のパイセン、みんないい人達なんデスよね。
まあ、妖怪としてはどうかと思いますが。
それでも提灯お化けパイセンをこんな目に遭わせるなんて一体誰が?
「そうなんデスか? でも、提灯お化けパイセンなんかおかしくないですか?」
なんていうか、ずっと心ここにあらずというか、呆けているというか。
「んー、多分売られるときに蝋燭の火を消されちゃった、というか、蝋燭自体を取り除かれちゃったから、そのせいじゃないのかな」
まあ、確かに。
売るなら蝋燭の火はそりゃ消しますよね。蝋燭自体も取るでしょうね。
提灯お化けパイセンにとって、蝋燭は人間でいうところの脳味噌、記憶装置的なもののはずデス。
それを取られてしまったら、提灯お化けパイセンもこうなってしまうんデスね。
私もマスクを誰かに取られないように気を付けないといけないデスね。
「でも提灯お化けパイセンは提灯お化けパイセンなんデスよね?」
「まあ、人間でいうなら人格リセット、脳味噌を…… というか記憶をリセットした感じかな?」
それはもう私の知っている提灯お化けパイセンじゃないんじゃないデスか?
「え? じゃあ、前の提灯お化けパイセンはもういないってことですか?」
って、ことデスよね?
「同一個体ではあるけど、まあ、そーなるかなー、儚いね」
は、儚い……
というか、あっけらかんとしているというか、これが江戸生まれの妖怪の倫理観なんデスか?
「随分とあっけらかんとなされてますがいいんデスか?」
「ああ、うん、妖怪なんてそんなもんだよー」
「はぁ? まあ、確かに妖怪デスしね」
「そうそう、深く考えないで気楽にいこよー」
そう言って妖怪パイセンは笑いますが、このパイセン。
何の妖怪でしょうか?
舌をだらんと垂らして、どこか汚らしい感じがするのデスよね。
あと、この妖怪パイセンが他の妖怪パイセン達を絡んでいるところ見たことないんデスよね。
名前なんて言いましたっけ?
たしか、アカナメパイセンでしたっけか?




