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真珠の姫君~海に捧げる子守歌~  作者: とも
第一章 緩やかな時
20/36

~緩やかな時~19.

私は、失念していた。この、幼い頃のウィルと、五年後の今のウィル。

ーー少なくとも、彼は二回死にかけている。


二回会って二回、海で遭難しているなんて、そんなコトがあるだろうか。

逆を言えば、私が知らないときもーー例えば陸の上でーー彼は恐らく危険な目に遭っている、ということになる。


あの時。三隻の船が嵐に遭っていた時、海上は恐ろしい程の悪意に満ちていた。海の魔法に護られている自分が恐怖する程に。


まさか……、こんなことがずっと続くの?


バシュッ

そこにはウィルがいた。明らかに大人になった彼は、背が伸び、長めの髪を無造作に横に流し、何かを叫んでいる。

そこはまたも、船上だった。しかもその様子は前回と大差ない。

襲われている風ではないのに、沢山の人が剣や獲物を振り回し、戦っているようだ。


ーーこれは、何?今度は何が起こっているの?


甲板には、無惨に引き裂かれた飾りや食べ物、ワインの瓶や杯などが多数転がっていた。


ウィルを始めとする殆どの人が、綺麗なパーティー用の衣装を身に付けている。

見える場所には居ないようだが、どうやら女性のものとおぼしき悲鳴が時折響いていた。

ウィル自身も戦いながら、味方に何かを言っているようだが、様々な音にかき消されてマリエッタには聞こえない。


ーーもっと近くに……。

頭上から見下ろすようにしていたマリエッタの視界が、少しずつウィルの側に寄っていく。

ウィルが剣を交えていた一人の剣を弾き飛ばすと、何人かがを縛り上げているとき、彼の背後で何か動いた。

船室へと続く入り口の影から突然現れた()()は、幅広の帽子を目深にかぶり、音もなくウィルに近づくと、短剣を背中に突き刺した。


ーー!!

ゆっくりと、ウィルが振り返ると、帽子の下から見据える瞳と目が合った。

そしてその男は、トンと、ウィルの肩を押した。

長身のウィルの身体は、仰け反りながら手すりを越え、吸い込まれるように落ちていく。



ーーいやーーっ!!










*************

「マリエッタ。目をお開け」


急激に現実に還ったマリエッタは、今にも大声をあげそうになっていた口元を、慌てて押さえる。

自分のものとは思えぬほど胸は早鐘を打ち、すぐには息を調えられそうもなかった。


そんな彼女を知ってか知らずか、ヴァリーは言葉を続けた。


「お前が今視たものは、想い人の過去と未来だよ。過去はもう、確定しておる」

今より、ずうっと大きくなったウィル。けれど、未来の場面は、少し靄がかかっているようだった。

過去は……、確定している。

「では、未来は?」

「左様、未だ定まっておらぬ。王子というと、何かと敵も多かろうて。今現在、死相がちらついておるということは、これからも何度もこのような目に遭い、お前が()た、その時に命を落とす可能性が一番高い、ということになるな」


マリエッタは、ショックで鈍った思考を、懸命に働かせた。


死ぬーー。ウィルが?

殺されるの?

あの、冷たい色の()をした人に……。


私は、彼のコトが、知りたかった。

ただ一方的に想っているだけから、ウィルがどんな人でどんなことを考えてどんなことが好きなのか…。

彼のコトをもっと知って、初めて感じる、“恋”というものを知りたかったのかもしれない。


でも、好きという気持ちと、その人の“死の運命”を一緒に知りたくなんて、なかった。

どうすればいいーー?

ヴァリーは『可能性』と言ったわ。それならーー


「彼が死なずにすむ可能性は、どのくらいあるの?」



会うたび死にそうになってるウィルくん。

彼がキライなワケじゃありません~(^^;


読んでくださってありがとうデス(^o^)

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