~緩やかな時~13.
「これを」
ウィルが、何か懐から出してきた。この闇の中でも、少しキラキラ光っている。
「これは……?」
きれい……。うっすらと見える透明な石は、表面が沢山の面に削られていて、僅かな光を集めて輝いている。
「色々考えたんだけど、……これが一番、マリエッタに似合いそうだったから」
手渡されたはいいが着け方が分からず、ただ眺める彼女の手からするりと持ち上げ、ウィルは暗がりの中でも器用に手探りで着ける。
金剛石の首飾りは、銀色の髪、青銀の鱗を持つ彼女の胸に、あつらえたようにおさまった。
居心地が悪いような、くすぐったいような気分で鎖の部分を指でもてあそぶ。
「……似合うよ」
「今、心の中で『多分』って付け加えたでしょ」
こんな真っ暗なのに、分かるかっ。
「……」
「ホラ、やっぱり!」
こんなやり取りをきっかけに、すっかり打ち解けて話が弾み始めたのだった。
殆ど表情も分からないような闇の中で、二人は、たくさんのことを話した。
好きな物や嫌いな物。得意なことやマリエッタの海での暮らしなど、他愛もないこと。
「マリエッタって、困ってる時に颯爽と現れるよね」
「そうね、きっとお姫様が困ってたからね」
「……ソウダネ」
「ちょっと!突っ込んで!!」
終始こんな感じである。一緒に居るうちにウィルの態度も、ただ大人びたものではなく、打ち解けたものになっていった。
「海の中で生活するのって、楽しい?」
ウィルのこの質問に、マリエッタは首をかしげる。
「そうね……。生まれてからずうーっと海の中だから、よく分かんないわ。でも、海の底で時が経つのも分からずに、ぼ~っとしていると、時々息がつまりそうになるの」
そこで一旦切る。けれど……
「でもね、そんな時は外に出て、思いっきり歌を歌うと、少しすっきりするわ」
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