表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真珠の姫君~海に捧げる子守歌~  作者: とも
第一章 緩やかな時
10/36

~緩やかな時~9.

ぽつりと、そう呟いた。

あれから地上の時間では、五年の月日が流れている。私が一つ年をとる間に、彼は同じ歳になっていた。


ーー私達は流れの違う時の中に生きている。

たった二度、偶然出会っただけなのに、まざまざと違いを感じて、彼女は憂鬱な気分になってしまった。


「……そうだね。確か、あれは五年前だったか……。俺は十六になったよ」


けれど、ウィルは特に悪気はないであろうことを、次の瞬間口にした。


「あの頃マリエッタは、今の俺位だった?じゃあ素敵な大人の女性になっただろうね。……さっきは目が霞んでたのと一瞬だったから、よく分からなかったんだ」


残念。

そんな感じに、他意無く呟いたのだ。


彼女は、訳も分からず冷や汗をかいた。時の流れが違うことは、当たり前のことではないのだ。


その事に妙な焦りを覚えて、つい言ってしまった。


「そうなの!ついこの間、二十歳になったわ!」


彼は、殆んど変わっていない自分に気付かなかった。そして何故か、ウィルに異質な者と思われることがイヤだと思ってしまった。


「その布、取らないでね。傷口押さえてあるから、後、また送って行く時に海水から少しでも保護できるように」


ウィルが私の姿を目にしなければ、おかしいと思わないよね?


そんな思惑で口にした言葉だったが、彼はとても好意的に受け止めてくれた。


「また送ってくれるんだ?……ありがとう、それに何度も助けてもらったね。」


そこで一度言葉を切る。

「あなたがいなかったら、俺は今頃生きてはいなかった」


マリエッタは、そっと首を降る。でも、首を振っても見えないと気付き、そっと付け足した。


「あなたの運が良かったのよ」

と。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ