表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
90/90

どちらを優先するべきか⑥

「うん、そうだよね。ザナフェルには、お兄ちゃんがいるんだし」


ミカエル兄様は満足そうな顔をしていた。

ミカエル兄様にしてみれば、そうなのかもしれない。

それを聞いたミカエル兄様の雰囲気が、少しだけ和らいだように感じた。

でも……。


「ミカエル兄様、ごめん。俺は、これからも母さんたちと一緒に過ごしたい。だから、ミカエル兄様のもとには行けない」

「それで、お兄ちゃんが納得すると思う?」


俺が確かな想いを伝えると、予想どおりの答えが返ってきた。


「……思わない。それでも、俺はこれからも母さんたちのそばにいたい!」


俺は確かな決意を口にする。

すると少し間を置いて、ミカエル兄様は楽しそうに微笑んだ。


「ザナフェル。お兄ちゃんとしては諦めるつもりはないよ。この意味、分かるよね?」

「……っ」


俺の意思がどうであれ、ミカエル兄様の考えは変わらない。

無理にでも連れていくと、その眼差しが伝えていた。

改めて、ミカエル兄様にとって、俺は特別な存在なのだと自覚するには十分すぎた。


「さあ、どうする? 私の提案を受け入れるか、それともすべてを諦めるか」

「……っ」


改めて突きつけられた絶望的な選択に、俺は絶句する。

不穏な空気が漂ったものの、ミカエル兄様の口から突いて出たのは意外な言葉だった。


「そういえば、ザナフェルは今世の母親たちと一緒に過ごしたいから、私のもとには行けないって言っていたよね?」

「……えっ?」


ミカエル兄様の言葉に疑問を覚えた俺はつい、声を上げてしまった。


「だったら、今世の母親と一緒なら、私のもとに来てくれるというわけだ」

「いや、それは――」


俺が否定する前に、ミカエル兄様は満足げに転移魔法を駆使した。

俺たちは一瞬で、ネーア王国の王宮に移動させられる。


「はい! ザナフェル、確保! お兄ちゃんから逃げられると思っていたら、大間違いだよ!」

「うわあっ!? ここって、ネーア王国の王宮……!」


それはただ事実を述べただけ。

だからこそ、余計に俺は自身の置かれた状況に打ちのめされる。


「なに、これ……?」


周囲の変化についていけず、母さんが驚きを口にする。

突然、ネーア王国の王宮に移動したのだから無理もない。


「相変わらず、ミカエル兄様は呼び寄せ方が強引すぎる……」


俺ががっくりと肩を落とすと、ミカエル兄様は勝ち誇ったように胸を張った。


「このままじゃ、みんなが大変なことに……」


俺は悔やむようにつぶやく。

アナスタシア様たちを陥れようとした者を捜さなくてはいけない。

そして、苦戦しているローゼンさんたちを救わなくてはいけない。

それなのに、俺たちは、ミカエル兄様の圧倒的な力の前に翻弄されているだけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ