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演奏の力は効果抜群①

「そろそろ時間だな。ライルくん、アイリス様、演奏を頼む。冒険者の方々は、彼方に並んでくれ」

「はい」


ローゼンさんたちと話している間に、スタン様たちのやり取りも終わったようだ。

出発の時間が来たようで、居並ぶ冒険者さんたちのために演奏会をするように言われた。

これから出発式が行われるようだ。


「今日は、ここにいる吟遊詩人の方々の演奏の力を借りて、森の調査を行うことになる。共に力を合わせ、任務に当たって欲しい」


出発式では、スタン様が俺たちを紹介した後、冒険者さんたちに激励の言葉を贈った。

そして、スタン様の挨拶が終わると、俺たちは前に出る。

ここに集まったみんなのために、演奏を披露することになったからだ。


「おおっ! 吟遊詩人様たちの演奏だ!」


前に、俺たちの演奏を聞いた人たちが噂を流したのだろう。

この場にいる人たちみんな、一心に期待の眼差しを向けてくる。


「ライル、無理はしないでね」

「……うん。母さん、ありがとう」


心配そうに気遣う母さんの言葉に同調するように、俺はうなずいた。

森の調査の方針としては、スタン様から聞いた通りだ。

いくつかの班に分かれて、まずは周辺を調査し、その結果を持って次の行動を決定する。

森にはドラゴンを始め、手強い魔物が出るみたいだ。

しかも、冒険者さんたちの話では、森は鬱蒼と生い茂る木々のせいで、昼間でも薄暗く感じるらしい。

そんな森の中を、複数の班に分かれて移動する。


「瘴気の方はもう大丈夫だと思うけれど、森の視界の悪さと手強い魔物が問題だな……」


俺は森の現状を思案する。

まずは、森の入口周辺を回ることになった隊の人たちに対して演奏会を開くことになった。

演奏の音色に混じって、支援魔法をこっそりと使っていく。

強化や抵抗、魔よけの効果を施す。

今度こそ、やり過ぎないように、ほどほどに。

それでも、その支援を受けた冒険者さんたちは歓喜に湧いた。


「すげえ!」

「力が湧いてくるぞ!」


冒険者さんたちが互いに恍惚とした表情で、声を震わせている。

創造魔法で創った『隠蔽魔法の強化版』のおかげで、周りの人たちに、俺の力がバレることはないんだけど。

その代わりに相変わらず、『奇跡の演奏』だと言われて、多くの人たちに称えられている。

何だか、不思議な気持ちだ。

前世では嫌われるのが普通だったから、こんなにも自然に頼ってもらえるのがすごく新鮮で嬉しい。

とめどなく弾む胸をおさえて、俺は深呼吸をひとつする。

そして、次に向かう班に目を向けると――。


「あれ……?」


そこには偶然にも知った顔がいた。

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