表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/187

夜のお誘い


 コゼットと勇者リアムは暗闇を駆けている。

 深い森の先に平野が見えた。


 「あの部隊、夜間に魔物との防衛戦なんて街を守る気概を感じますね。ちょっと押されてますけど」


 コゼットの視線の先では魔物と人間が激戦を繰り広げていた。魔法が飛び交う本格的な集団戦である。


 「逆だ。人側が攻めているのだ」


 「は?夜にですか?」

 信じられない。バカじゃないの?

 

 「あの部隊を指揮しているのはここの守護の長男アークだ。魔物討伐で功を挙げようとレッドラインを度々越えて攻め込んでいるバカ息子だ」


 「レッドライン?」


 「守護と闇堕ちした元勇者が定めた人と魔物が暮らす境界線のことだ。本来、一歩でもどちらかが超えたら全面戦争だが、魔物側は忍耐強く対応している」


 「魔物側が忍耐強くですか?溜息が出ますね」


 「魔物側は守護があの方であるから抑制している。しかし、もし亡くなりでもしたらハザドはすぐに火の海になるだろう」


 「それでも最近は抑えきれなくなっている兆候が出てるがな」


 「高レベルの冒険者の死亡ですよね?」

 ここまで聞けば繋がる。


 「そうだ。今までは手加減されてたことに気づかないバカどもだな」


 「でも、城から援軍が出てましたし、いい線まで押し返せるんじゃないですか?」


 「あれは次男のイザヤの部隊だ。魔物と挟み打ちにして長男のアークの首を獲るつもりだ」


 「なんかどこまでもグズグズな兄弟ですね。もう帰りません?」


 「イザヤが攻めかかったら背後から攻撃して欲しい」


 「いやですよ。ご自分でやって下さい」


 「俺は顔がバレている。お前なら大丈夫だ」

 そんな理由で人殺しは出来ない。断固断る。


 「残念ですが自分の意思だけではこの剣は鞘から抜けないんですよ」

 

 「好都合だ。どんどん前に追い込んでくれ」


 「貸し1つでいいですよね」


 「ああ、任せてくれ」

 なんだろうこの不安感。覚書でも結ぼうかしら。


 そうこうしているうちに、次男の部隊が平野に現れた。長男の部隊から歓喜の声が上がる。


 次男の部隊が突撃を開始する。


 「このまま、援軍になるっぽいですよ」

 コゼットは長男の部隊の声が聞こえてそう思った。


 「さっき売ったアンクレットの力を開放してみろ」

 ん?ああ、確かに買った後、装備している。

 次男の部隊に集中すると声が聞こえた。


 "目的はアークの首。それだけだ、進め"


 「・・・挟み打ちでした」

 こんなに距離があるのに声が聞こえた。


 「それでは頼む」

 そう言うとリアムは闇に消えた。何か考えがあるのだろう。


 コゼットは次男イザヤの部隊目掛けて走り出す。


 兵たちの背中を次々に鞘ごと斬り捨てる。

 斬られた兵は前に向かって気絶していく。

 手加減してるが、打ちどころが悪いと死ぬだろう。


 部隊の対応は急に現れた敵に恐怖の余りへたり込むか、全速力で前に走るか2つのパターンに分かれた。

 リアムに言われた通り、前に走る奴らを追い込んでいくのを優先する。


 気がつくと長男と次男の部隊がひとつになっている。極限状態に追い込まれてやっと協力する気になったようだ。


 コゼットを警戒しつつ、前方の魔物に長男次男両方が兵を展開して再攻勢に出ている。


 どれくらい時間が経ったのか、両軍ともに疲れを見せ始めたタイミングで夜空に花火のような炎の爆裂魔法が弾けた。それを見た魔物側は徐々に引いていく。


 人側はその場にへたり込んでいく、疲労困憊な様子だ。


 戦線は解除でき兄弟喧嘩も収まった。これでよかったのかな?とりあえず、明るくなる前に姿を消して宿屋に戻ることにした。


 完全に寝不足だ。お肌に悪いじゃないかなんてことを考えて来た道をコゼットは駆けて行く。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ