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大激戦 ④

同じ戦いのシーンをあまり続けたくないのですが、今回の戦いに限り別シーンと考えて書いています。

シルバーファング、ダミアン、デトレフ VS 白&黒 


白の上位魔族にはダミアンが、黒の上位魔族にはデトレフとクラウスが対峙していた。


「まあ・・・分かってはいると思うけれど、私たちが本気を出したら、すぐに勝ってしまうのよね」


白の上位魔族があっけらかんとした口調で語る。


「その通りかも知れないが、私はここで引く訳にはいかんのだ!」

「へえ~、引いても殺すことには変わりはないから、別にいいけどね」

「そうだね、最後は勝っちゃうから、できるだけ楽しみたいよね」

「それでは、このまま待機するのはどうだ?」


デトレフがおどけて聞いた。


「う~ん・・・何もしないと、ベリアルに怒られるからなあ・・・」

「そうだよね・・・手抜くのは怒らないけど、ベリアルは何もしないと怒るからなあ・・・」

「「少しだけ戦おうよ!!」」


白と黒の上位魔族が同時に動き始める。

白は縦に、は横に腕を振り始めた。

縦に振られた両手の指からは、間髪入れずに切り裂く音がして、張られた防御結界にぶつかり弾ける。

横に振られた両手の指からは白い10本のビームが結界にぶつかり、火花を飛ばした。


「面白いから徐々に結界を削ってゆくね」

「結界が破れた時、あなた達はどのように刻まれるのか?楽しみねえ」


白と黒の上位魔族は余裕の表情で、腕を振り続ける。

時間にして20分程が過ぎ、防護結界の障壁が目に見えて薄くなり始めた頃、


「ダミアン殿、連中少々、調子に乗りすぎだと思わんか?」

「全くですな、デトレフ殿。少しは驚かせてやりましょう!!」

「よし!!奥の手行こうか!!シルバーファングもいいか?」

「「「「「了解!!」」」」」


ダミアンが防御結界から踊りでる。

デトレフ、クラウスが続く。


「「えっ!?」」


結界から飛び出し、白と黒の上位魔族の攻撃をものともせずに切りかかるダミアンに、二人が驚く。


「お前達の攻撃で、刻むのは無理だ!!手を抜いてくれて、感謝する!!」


ダミアンがロングソードを大上段に振りあげ、白の上位魔族に切り下ろす。

それに続き、デトレフが同じようにロングソードを黒の上位魔族に切り下ろした。

意表を突かれながらも、片手でロングソードを受ける白と黒の上位魔族に、クラウスが横から剣を突きたてる。

すぐに3人は後ろに飛び、二人の上位魔族を横から串刺しにしたクラウスの剣が残された。

そこへ、シルバーファングの5人がスクロールを広げ魔法陣に魔力を込めた。


天井に稲光が走り、白と黒の上位魔族の上に、5つの違う色の落雷が落ちた。

通常の雷、闇魔法を帯びた黒い雷、冷気を帯びた真白な雷、炎を纏う雷、空間が歪む見えない雷が、コンマ1秒のずれで、二人の上位魔族を襲った。


クラウスの剣には、攻撃魔法を集める避雷針の魔法が掛かっていたのだ。

ダメージはないであろうが、白と黒の上位魔族は一瞬固まるように動きを止める。

そこへ、ダミアンが、


「今です!!ヒデキ殿!!」


そして俺に声がかかった。

予め用意しておいた複合6大魔法λ(ラムダ)・・・白と黒の上位魔族に向けて放つ。

クラウスの剣のおかげで、狙う必要もない。

まず聖なる光が二人の魔族を襲い、闇魔法が追撃し、最後にもう一度聖なる光がぶつかって行った。


仮の身体には通用した複合6大魔法だったが、さすがに本体には通用しなかった。

クラウスの剣に串刺しになりながら、二人の上位魔族は、パチパチと拍手を始めた。


「見事!実に見事な連携!!これだからお前達は面白い!!」


白の上位魔族が自分たちに刺さっていた剣を引き抜きながら言った。

その剣を黒の上位魔族が受け取り、ひょいとクラウスに投げる。

クラウスは無造作に受け取って、剣を構えた。


「やはり、こやつ等の奥の手を全部受けてから、滅ぼすべきだな?」

「うむ!でなければ、500年の退屈を解消できぬからな!!」

「フィロゾが魔法体系を生み出した時から500年、ここまで魔法が進化しているとは、愉快な事だ」

「しかも、ここにはフィロゾ以来の天才がいると言うではないか!?」

「よかろう、お前達の参謀がどのような戦術を練るのか?待とうではないか?」


白と黒の上位魔族は背中合わせに床に座り込んだ。

横腹に開いた穴は塞がり、ドレスさえも綺麗に修復されていた。

白と黒の完全なシンメトリーである。

その二人がこちらを見ながら、にやにやと笑っていた。


「攻撃したければ、攻撃しても良いぞ!」

「但し、面白くなければ、殺すがな!」


ぶっそうな事を言う・・・

無駄に命を捨てる奴はいないさ・・・

コロシアムほどあるボス部屋を見回すと、全て戦闘は終わっていた。


ナナシは赤と橙の上位魔族の腕を掴んだまま動かない。

さすがである。


セルゲイは狂戦士バーサクを使い、緑の上位悪魔を倒していた。

緑のドレスごと、バスターソードは床に刺さっている。

当然、セルゲイはリタイアだ。


ゴールド・エクリプスが戦っていた藍の上位魔族には、何故か狼と豹の頭を持つ獣が対峙して、睨みあっていた。


私設騎士団は、床に腰を降ろした黄の上位魔族と向かい合っている。

その横には青色のドレスが転がっていた。

残念なことに1人犠牲者が出ている。

鎧だけが残され、既に荼毘に付されていた。


親衛隊はベルタがリタイア。

紫のドレスが転がっていた。


「皆、待つ事にしたのか・・・ならば我らも、焦る必要はないな」

「そうだな・・・だが、こやつだけはここで退場させておくか?」


ナナシに拘束されている赤と橙の魔族がぽつりと呟いた。


「何のことです?」

「お前はこの後の戦いに邪魔になりそうだ。だから・・・ここで退場せよ」

「?それは無理と言うものですよ」

「そう思うか?」

「こうすれば、お前は退場だ」


赤と橙の両魔族の身体が輝き始める。


「何をしようと?」

「さあ、このままでは、周りを巻き込むぞ!!」

「!!」


ナナシが自分と両魔族の周りに小さな結界を張った。

と、同時に赤と橙の魔族が爆発を起こす。

赤と橙の魔族はそのドレスだけを残して消滅・・・ナナシの身体がバラバラに散らばった。


「ああ、これはしまった・・・自爆は予想していなかったな・・・すみません、ここでリタイアです」


ナナシの首が呟いた。


「ヒーリングでも無理なのか?」

「ええ、ヒーリングが無効になる呪いが掛かっています。自然に身体が戻るまで転がっているしかないようです」


俺の問いかけにナナシは残念そうに答えた。



どうやら9人の上位魔族はエバートンが術式を完成させるまで、本気を出さないらしい。

勤勉な魔族でなくて、助かるな。

まあベリアルが配置した魔族だ・・・普通の性格はしていないのだろう。


□ □ □


数分後エバートンが立ち上がり、


「完成です!!皆こちらへ!!」


エバートンの声を聞くなり、皆が多重結界の中へ集合し始めた。

ふらふらの者は誰かに肩を借り、元気なものは小走りに集まってくる。

双頭の獣が結界に入るなり、ゴールド・エクリプスのメンバーに戻り、皆、床に蹲った。


「私たちは、これで戦う力は残っていません。リタイアです」


エルザがよろよろと立ち上がりエバートンに報告をする。


「俺もリタイアだが、他のメンバーはまだやれるぜ!!」


セルゲイもラザロスの肩を借りながら、残念そうに言った。


「皆、よく時間を稼いでくれました。これで勝てます!!」

「「「おおぉぉぉーー」」」


皆が歓喜の声を上げる。

と同時に、


「待っていたぞ!!さあ、お前達のとっておきを見せてみろ!!」


紫の上位魔族が叫んだ。

その声をきっかけに、ドレスだけ残していた上位魔族達も、あっと言うまに復活してゆく。


「ご要望通り、ご覧いただきましょう!あなた方を倒すために組んだ魔法陣を!!」


上位魔族達にそう答え、エバートンは5つの魔法陣に魔力を込める。

5つの魔法陣はそれぞれ光はじめ、小さな竜巻が5つ浮かび上がった。

やがて5つの竜巻は1つになり、アーチをかけるように斜め上に上昇し、そのまま伸びて9人の上位魔族まで達した。


「?これがお前達の切り札か?」

「がっかりじゃな」

「この程度の気流の渦で、我らをどうにかできると思っているのか?」


上位魔族が失望の声をあげ始めた時に、竜巻のアーチが横倒しの真円状になり9人の魔族を渦の中心にして、時計周りに回転し始めた。


「今だ!!ありとあらゆる攻撃魔法を打ち込め!!」


エバートンの指示に、攻撃魔法を持つ者はドーナツ状になった竜巻に魔法を打ち込み始めた。

魔法は竜巻に巻き込まれながら、9人の上位魔族へ炸裂し始めた。


「こんなちっぽけな攻撃魔法で、我らが滅ぶと思うのか?」

「つまらん、さっさと奴らを滅ぼし・・・何ぃぃぃぃ!?」


竜巻に巻き込まれた攻撃は消えることなく、9人の上位魔族に攻撃を繰返していた。


「これは?」

「何故攻撃魔法が消えぬ?」

「何をした!?」


上位魔族達から驚愕の声が上がった。

俺は以前からエバートンと練っていた打ち合わせ通り、6大魔法のうちアルファ(聖なる光)、ガンマ(絶対零度)、イプシロン(闇)を打ち込んだ。

当然エリーがポーションを飲み続けながら、魔力を補給してくれている。

3つの6大魔法は竜巻の渦に乗り、9人の上位魔族に繰り返し炸裂し始めた。


「馬鹿な!?このような攻撃魔法が続けば、すぐに魔力の枯渇がおこるはず!!」

「この竜巻は一度発動すれば、この空間に存在する魔力を供給し続ける。そこに魔法が乗れば、この竜巻を止めない限りその魔法は発動し続けるのだ」


当惑する上位魔族の声に対し、エバートンはたんたんと語った。


「どのような小さな攻撃魔法でも、ダメージは蓄積する。ましてや3つの6大魔法を繰り返し受けるのだ。いかなる魔法耐性があろうとも無駄だ」


エバートンはここで、ぐっと拳を握り、


「高次元に身体を移そうとしても無駄だぞ、この竜巻はどの次元にも追尾するよう術式が組んである。当然この渦から、抜け出ることも多重結界のため不可能だ!!この魔法が発動し、お前達に到達した時、我々の勝利は確定していたのだ!!」


エバートンは高々と勝利宣言をした。






大激戦のサブタイトルはここまでです。

明日は別のサブタイトルとなります。

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