大激戦 ②
別々に戦闘を書いてますが、少しのタイムラグで、戦闘は行われています。
ゴールド・エクリプス VS 藍
エルザが闇魔法をレイピアに纏わせ、藍の上位魔族へ攻撃を開始した。
セルゲイと同じで、様子見は一切しない。
いきなり奥の手を見せた。
エルザがレイピアに闇魔法を纏わせたのを見て、藍の上位魔族はにやりと笑い、
「獣人が闇魔法を使って、何をしようと言うのかしら?そんなものが、私に通用すると思っているの?」
「もちろん通用するとは思っていないわよ!!」
エルザもにやりと笑った。
闇魔法に黒く染まったレイピアを頭上に掲げる。
そのまま頭上にレイピアで円を描き始めた。
円に沿って黒い雲が流れ始め、直ぐに竜巻のようにエルザを含めたゴールド・エクリプスのメンバーを包み込んでゆく。
「一体何を?」
藍の上位魔族も当惑気味だ。
エルザが作り出した黒い竜巻は暫くゴールド・エクリプスを覆っていたが、徐々に異形の者になり始めた。
黒い竜巻はもはや竜巻ではなく、固体となり4つ足双頭の巨大な獣が姿を現した。
「地獄の獣だと!?」
藍の上位魔族が驚愕の声を上げた。
獣の容貌は前足が獅子のような鋭い爪、後足は狼を思わせる筋肉。
体毛は漆黒、胸には6つの猫のように光る瞳。
二つの頭は狼と豹だった。
体高は2メートル程、体長5メートルはある巨体だ。
双頭の口から、凄まじい唸り声が上がると同時に藍の上位魔族を漆黒のブレスが襲った。
ブレスに包まれた藍の上位魔族は、そのブレスを軽く散らすが、その隙に獣が襲い掛かった。
「生意気な!!獣人の分際で!!」
藍の上位魔族は漆黒の獣が振り下ろす前足を軽く受け止め、双頭の首を二つとも、手刀で切り落とした。
ところが、切り落とされた二つの首は、床に落ちる前に消滅し、新たに双頭の首が生えてきたのだ。
「なんだ?只の召還魔術ではないと思っていたが・・・」
藍の上位魔族は、自分の両腕に魔力を纏い、力一杯に獣の腹に手刀で貫いた。
だが、手刀を引き抜くと同時に、獣の腹部の穴は塞がってしまう。
再び獣がブレスを放つ。
「このような攻撃は効かぬ!!」
魔族がブレスを散らそうとした瞬間、魔族に強烈な電流が流れ、雷球が飛散った。
「こしゃくな事を!!」
逆に藍の上位魔族が獣に凄まじい落雷を落とす。
獣は落雷の威力に霧散するが、すぐに元の姿を取り戻した。
そして、双頭の首が藍の上位魔族に話しかける。
「どうだ?これが我らゴールド・エクリプスの秘術、『ヘル・ビースト』だ」
狼の首がエルザの声で話す。
次いで、豹の首が続ける。
「この姿でいる以上、我らを倒すことは決してできぬ!!」
シーナの声だった。
「だが、我を倒すことも出来ぬぞ」
「確かにそうだが、我らは、お前を倒す必要はない。時間を稼いでいれば、我らの参謀がお前達を倒す準備が完了するはずだ」
「なるほどな・・・そういう訳か・・・だが、その準備が終わる前に、お前達の秘術が尽きれば、我の餌食ではないのか?」
藍の上位魔族の口元が残忍そうに笑う。
「その通りだ。この秘術が解ければ、我らに戦う力は残っていない。これが最後の戦いなのだ。準備が間に合わなければ、殺すが良い」
「そこまでの覚悟か!面白い!!お互い面倒なことはせず、待つとしようか・・・」
藍の上位魔族はゆっくりと腰を降ろした。
それに併せて、獣も床に座った。
「かたじけない」
「お前達の覚悟に敬意を表しただけだ・・・」
藍の上位魔族は、両手を頬にあて、今度はにこりと笑った。
― ― ―
私設騎士団 VS 黄&青
アイオロスとサラサは黄と青の上位魔族と対峙していた。
ガウラン私設騎士団には、獣人はいない。
ヘンドリクやベルタのような特殊技能を持っている騎士もいない。
純粋に剣技と魔術との連携で戦う訓練をしてきた集団である。
彼らはこれが最後の戦いと認識していた。
そんな彼らが取った作戦は・・・
直接攻めるのはアイオロスとサラサのみ。
剣に魔力を纏わせ、アイオロスは黄の、サラサは青の上位魔族に切りかかる。
魔術師から牽制の攻撃魔法は飛ぶが、当然のように両上位魔族に簡単に打ち消されていた。
その隙をつき、アイオロスが黄の上位魔族に切りかかり、サラサが青の上位魔族に突きを入れる。
その瞬間に後ろに控えている騎士団全員がスクロールを取り出し、魔法陣に魔力を込めた。
回復魔法、結界魔法、ブースト魔法がアイオロスとサラサに乱れ飛んだ。
ブーストが多重にかかった両者の剣は、黄の上位魔族の右腕を切り落とし、青の上位魔族の腹部を貫く。
「ほう、人間風情がここまでやれるのか!?」
「面白い!!少しは楽しめそうだ!!」
黄の上位魔族は切り落とされた右腕をい上げ、簡単に元通りにくっつけ、青の上位魔族は腹部に開いた孔をドレスごと修復した。
黄の魔族は左手を、青の魔族は右手を挙げて、騎士団に振り下ろす。
左手からは黄金色の、右手からは青白い直径10センチくらいのビームが騎士団を襲う。
防御結界が発動し、凄まじい爆発が轟音と供に起こった。
爆発の猛煙の中から、一度引いていたアイオロスとサラサが二人の上位魔族へと突っこみ、二人は黄と青の首を見事に切り飛ばす。
だが、どちらも切り口からは、全く血が流れなかった。
ポーンと上に飛んだ首を、まるで見えているかのように、首の無い上位魔族の右手と左手がそれぞれ受け止めた。
すぐに首を元に戻すが、お互いの首だと気付き、
「おっと間違えたわ・・・」
「面白いから、このまま戦わんか?」
「お前の身体は使いにくい。ふざけていないで、さっさと取り替えよ!」
青の首をつけた黄の上位魔族が、ひょいと青の首を引っこ抜く。
「ふん、つまらん奴じゃ」
黄の首をつけた青の上位魔族が、やれやれと肩をすくめ、同じように簡単に首を引き抜いた。
引きちぎられた二人の首の後からは、先ほど一切出なかった血が、噴水のように噴出している。
それぞれの首を交換し、黄の上位魔族はすぐに自分の首を元に戻したが、青の上位魔族はわざと前後を逆につけ、180度首をくるりと回し元に戻し、にやりと笑った。
「せっかくの攻撃のチャンスではなかったのか?ん?」
「そうじゃ、何故攻め込まぬ?」
二人の上位魔族の問いに、アイオロスが答える。
「あれを見れば分かるだろう?我らは勝たなくとも良いのだ!」
アイオロスは、ゴールド・エクリプスが秘術をつくして変身した地獄の獣を指差した。
腰を下ろし、頬杖をついている藍の上位魔族の前にちょこんと双頭の獣が座っていた。
「何をやっておる?おい!!」
黄の上位魔族が藍の上位魔族へ声をかけた。
「ん?こやつの術が解けるのを待っておる」
「お前なら、その秘術、すぐに破れるであろう?何故破らぬ?」
「無粋なことを言うな!こやつらが全力を出し、それを全て封じる・・・実に楽しみじゃ・・・最も、その前に術が解ければ、すぐに引き裂くがな」
「やれやれ、お前といい、こやつといい、もう少し真面目にやれぬのか?ベリアルが見たら・・・」
そこで黄の上位魔族が押し黙る。
「ベリアルが見たら?」
藍の上位魔族がにやりと問い返す?
「喜ぶじゃろうな・・・」
額に掌を当て、黄の上位魔族は横に首を振った。
「まあ良い・・・我はそこまで優しくはないぞ。このまま殲滅してくれるわ」
黄の上位魔族が再び騎士団に向き直る。
青の上位魔族が見守る中、つかつかと騎士団に歩き始めた。
黄の上位魔族の身体は騎士団に近付くにつれ、青白く発光し始めた。
「確かお前達の中にも、このような技を使う者がいたな・・・だが・・・我の技はお前達とは桁が違うぞ・・・」
黄の上位魔族が歩く度に足元の床が「ジュッ」と音を立て溶け始める。
「さあ、この技・・・どうやって防ぐかの?」
床を溶かしながら、黄のドレスを纏った上位魔族は残忍に笑った。
明日も戦闘シーンですね




