思わぬ援軍
ようやく80話に到達です。
100話まであと20・・・だけどプロットがそこまで上がっていない・・・
6大魔法『β』でサラサは九死に一生を得た。
だが、上位魔族3人を倒したわけではない。
「残り二つの6大魔法・・・使えないのですか?」
黒の上位魔族が俺に微笑みながら聞いてきた。
「使ったところで、あなた達には通用しないでしょう?」
俺は下手に出て答えた。
「そうね。でもあと二つ6大魔法を使っている間は、皆を殺さないであげるけど・・・」
白の上位魔族が答える。
エバートンが俺に指示を出した。
「ヒデキ殿!『ラムダ』の連続魔法陣を白の上位魔族へ!!」
「!!了解!!」
来た!!連続6大魔法!!
俺は『ラムダ』のファルダを呼び出した。
エリーがλ(ラムダ)と聞いて、4本の魔力回復ポーションの口を開け、連続で飲めるように準備をしている。
「では行きますよ!!」
俺は白の上位魔族に攻撃の宣言をした。
「あら!?嬉しいわ!!」
白の上位魔族が嬉しそうに答えた。
その余裕が命取りだ!!
俺はλ(ラムダ)を発動した。
「なんだ?がっかり・・・さっきと同じ!」
α(アルファ)=聖なる光が白の上位魔族を襲う。
がっかりしたように白の上位魔族は、α(アルファ)を打ち消した。
「エッ!?まさか!!??」
間髪入れずにυ(イプシロン)が白の上位魔族を襲う。
「6大魔法の連発?ありえない!!」
黒の上位魔族がυ(イプシロン)を打ち消すが、一瞬遅れた。
白の上位魔族は白いドレスを残し消滅した。
さらにα(アルファ)が黒の上位魔族を襲う!!
「なっ!?3連続!?ロ・ク・ダ・イ・マホウ?・・・」
白の上位魔族の続き、黒の上位魔族も黒のドレスを残して消滅した。
「あらら・・・油断しちゃったかしら・・・」
赤の上位魔族は肩をすくめ、首を左右に振った。
「エバートン参謀、次のフォルダは?」
「次は・・」
「ああ、攻撃の必要はありませんわ。第9階層の扉は開けてあげます!!」
「何?一体どういう?」
「あなた達の実力が本物と分かりましたので、こちらも本物がお相手することにしましたの」
「本物?」
「こんな外側がお相手するのは失礼ですから」
「!?」
赤の上位魔族の姿が消え、ドレスだけが、そこに立っていた。
あたかも透明人間がドレスを着ているようだった。
黒と白のドレスも立ち上がる。
「「「第9階層でお待ちしているので、途中で挫折しないで下さいね。それでは第9階層でお会いしましょう!!」」」
3人の上位魔族の声が響き渡り、3つのドレスがスカートの裾をつまんで挨拶をして、ドレスは床に落ちた。
「ただのドレスと戦っていたのか・・・」
「どうやらベリアルと同じで、本体は別にあったようですね」
デトレフさんが愕然とし、エバートンが冷静に分析した。
「残り2階層、階層ボスはどちらも上位魔族。ダンジョンマスターは不明。ここで一旦休憩します。食事休息を各々取って下さい。私はここに第5階層への転移魔法陣を描きます。休憩は、その魔法陣が描き終るまでとします」
「転移魔法陣?帰る準備なら攻略が終わってからで良いのでは?」
デトレフさんが聞いた。
「残り2階層の階層守護者は想像がつかない強敵です。ここで皆さんには。今一度撤退する選択肢を与えますので、休憩中に、よく考えておいて下さい。あ、今返事は必要ありません。休憩後に、尋ねますので・・・」
取り付く島も無く、エバートンは転移魔法陣の制作作業へと入った。
残り2階層・・・正念場である。
エリーの切り札とノーマの目覚め、この二つがなければ全滅する。
恵理子とイシュタルの予言では、そうなっている。
ならば、確かにここが最後の決断の場だ。
実際2つの条件を満たしたとしても、全滅を免れるだけで、犠牲者が出ない保証はない。
いや、さっきの上位魔族本体の実力、ベリアル本体の実力から考えれば、犠牲者は出るだろう。
ここまで一緒に戦って来て、ここで撤退を選ぶ者はいないと思う。
だが、気を引き締める意味でも、休憩は正解だ。
さすがはエバートン参謀である。
俺は食事を取った後、6大魔法連続発動の精神的消耗で横になって休息を取っていた。
エリーが膝枕をしてくれると言ったが、エリーはエリーで魔力回復ポーションを飲み続けた影響で、身体に気だるさが残っているはず。
エリーも横になって休むように言った。
そういう訳で、俺とエリーはお互いに添い寝する体制で横になっている。
やはりエリーはドーピングで無理をしていたのだろう。
横になると、すぐに寝息を立て始めた。
俺はエリーに腕枕をしてやり、この後の事を色々と考えていた。
俺の頭で色々考えていても、下手の考え休むに似たり・・・意味はないのだが・・・
いつの間にか眠っていたらしい。
周囲の喧騒で目が覚めた。
「なんでお前がここに来るんだ?」
セルゲイが誰かに絡んでいる声だ。
ここまで来て仲間割れとか・・・何を考えているのだ?
起き上がって、セルゲイの横に行くと、相手の正体が分かった。
確かに何故来たのだろう?
正体は第4階層の守護者だった。
正確には守護者だった者だ。
俺が『エクセレント・ヒール』で厚みと自我を与えて、懐柔した相手だった。
「何故かと問われますと、退屈だったからですね」
「お前、第4階層を守るのが仕事じゃなかったのか?」
「その責務からは開放されております。私がここまで下りてこられたのが、その証左です」
確かにその通りだ。
階層守護者はその階層から移動できない。
だがこの男?は第8階層まで下りて来ている。
「途中のモンスターとか、どうしたんだ?」
「私を見ると、皆逃げてゆきました」
「へえ、馬鹿な魔物でも、元階層ボスだと分かるのか?」
「いえ、最初に襲って来た魔物を3匹ほど片手でくびり殺して、引きずっていたら、皆逃げて行きました」
カラス避けにカラスの死体を吊るすようなものか?
「お前実は強いのか?」
セルゲイは誰とでも遠慮なく話すなあ。
彼の特技と言っても良い。
「強いという言葉は相対的なものですからね。ここに下りてくるまでに出会った魔物達よりは強いでしょう。ですが、ここにいる皆様と比べると、強いかどうかは分かりませんね」
「お前が言っている事のほうがよくわからん。で、何をしたいんだ?」
「あなた方に同行させて下さい」
「はあ?」
セルゲイは理解不能という顔をして、口をあんぐりと開けた。
ギャグ漫画なら、顎が落ちて床についていただろう。
「我々と供に戦ってくれると?」
言葉を失っているセルゲイに代わって、ダミアンが聞いた。
「率先して戦いはしませんが、襲って来る者には対応しますよ」
「我々を攻撃しない保証は?」
「攻撃するなら、先程不意打ちも可能でしたよ。信用できませんか?」
「確かに、それに第4階層で我々を通してくたか・・・」
「信用していただけましたか?」
「しかし・・・」
顔無し(俺の中でこう呼ぶことに決めた)は好奇心のみで行動しているように思えた。
ダミアンは押し黙ったままだ。
「ダミアン殿、この男はただ好奇心のみで行動しているのです。同行してもらいましょう。かなりの戦力になることでしょう。元第4階層守護者ですからね」
エバートンが魔法陣を描きながら言った。
「エバートン殿がそうおっしゃるなら・・・」
「ダミアン殿、心配ならば、この男に先頭に立ってもらえば良いだけです。頼めるかな?えーと・・・」
「ナナシとお呼び下さい。構いませんよ、私には正しい道が分かりますので、皆様を案内しましょう」
顔無しではなくナナシだったか・・・
デトレフさんの問いにナナシが答えた。
「ほう、正しい道を、これは思ったよりも早く進めそうですな!どうですか?ダミアン殿?」
「そうですね、時間と戦闘の短縮・・・これほどの利点はありませんな。多少のリスクに目を瞑っても・・・」
ダミアンも納得したようだ。
ナナシは何事もなかったように聞き流し、エバートンが描いている魔法陣を眺めた。
「これは第5階層に描いてあったものに似ていますね」
「まさに、その第5階層の魔法陣の前に転移する魔法陣ですからな」
エバートンは作業の手を休めずに、答えた。
「ナナシ殿は、この先、正しい道案内をしていただけると?」
「そうです。同行させていただけるお礼としてと言ってはなんですが・・・」
「正しい道を案内していただけるならば、時間の短縮と体力、魔力の無駄な消耗が防げます。充分です。ぜひご同行願います」
「承知いたしました」
エバートンが正式にナナシに同行を要請し、ナナシは承諾した。
いきなりだが、我々に予想外の戦力が加わったわけだ。
頼りになるのかどうか?




