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攻略再開

仕事で遅くなるはずが、早めに帰宅できたので、通常の投稿です。

国境でのイーゼルト帝国との戦いは一日で終わってしまった。

俺の魔法陣のおかげと言いたいが、俺の魔法陣の力を完全に把握しているエバートンの作戦のおかげだ。

俺一人の判断なら、どの魔法を使って良いか分からずに右往左往していただろう。

投降した帝国兵は全て捕虜となり、投獄された。

5万人近い帝国兵の死体は、俺がファイヤーゴーレムを召還し(ダンジョンで倒されたのだが、無事に召還できた)、全てを焼いて土に還した。

ブライアンは結局放心状態から復帰できず、エバートンはルーカスに伝言を残した。


「王都方面は戦争が続いているだろうが、ブルネル方面は暫く大丈夫だろう。帝国もまさかブルネル方面へ向かった兵が1日で全滅するとは思わないだろうからな」

「攻城戦は時間がかかるのが相場ですからね」

「うむ、この間にダンジョン攻略を終わらせて来る。異変があれば、また知らせるように」

「はっ!!必ず!!」

「では、また会おう!」

「皆様!ご武運を!!」


ルーカスに見送られながら、ガウラン辺境伯邸への転移魔法陣に入る。

辺境伯邸で一度解散して、明日の日の出より再びダンジョンに挑むことになった。

一度休むなら、ダンジョンよりもこちらの方が良いとの判断である。

エバートンの屋敷に戻り、食事を取って、すぐに休んだ。

床について、自分が戦争で人を殺したことを思い返した。

セルゲイに別れ際に言われた言葉を思い出す。


「いいかヒデキ・・・戦争で初めて人を殺すと、誰でもその夜は、色々と考えちまう。だが後悔して落ち込むことはするな。この世界で冒険者になったなら、必ずいつかは経験することだ」


無神経で大雑把が服を着て歩いているようなセルゲイが俺を気遣ってくれている。

良い奴だ。


「特に能力の高い魔術師は、戦争に借り出されると治療魔術師以外は必ず経験する。争いのない世界なら別だが、それが必然なんだ。だから気にするな」

「ありがとう。気にしない事にするよ」


俺はこう答えたが、床につくと色々考えてしまうだろうと思っていた。

だが、今回の戦争で俺の魔法で死んだ敵が5万人弱・・・あまりにも多すぎて、現実味がない。

まるで、ゲームの中で人を殺したような感覚だ。

疲労が思考を飲み込み、すぐに眠りについた。

翌朝、日の出前に起床。

朝食を取って、ガウラン辺境伯邸へ向かう。


「ヒデキ殿、気分は?」

「大丈夫です!昨日の戦争はあまりにも現実味がありませんでしたので、色々考える事がありませんでした」

「そうですか、それは重畳。今度こそ決着をつけましょう!!」

「もちろんです!!」


俺は拳を握り締め、気合を入れて答える。

ダンジョンの残りは3階層、全滅か?成功か?運命が決まる。

ガウラン辺境伯邸へ到着し、転移魔法陣の部屋へ入った。


「残り3階層、攻略するまで帰還はしない。物資も充分に補給してある。食料、ポーション、武器、防具、必要になれば直ぐに進言する事」


エバートンの指示で、補給は完璧らしい。

運搬役の自動人形オートマターは凄まじい荷物を背負っていた。


「出発!!」


第5階層の転移魔法陣へ飛んだ。

そのまま第6階層に下りる。

第6階層は守護者の魔族が滅んでいるので、ほぼフリーパス状態だった。

そのまま第7階層のアンデッド階層へと突入、エバートンがゾンビが延々と湧き続ける魔法陣を封じていたので、領域ボスのドラゴンゾンビも簡単に倒せた。

そして、いよいよ第7階層ボスとの対決である。


領域ボスのドラゴンゾンビが楽勝だったので、6大魔法『α』で階層ボスも楽勝だと、高を括っていた。

だが、『α』=聖なる光は、全く通用しなかった。

第7階層守護者はアンデッドではなかったのだ。


アンデッドどころか、魔法攻撃を一切受け付けない存在だった。

姿形はでかいイソギンチャクのような奴で、色は真白。

高さは10メートほどだろうか?

厚さは2メートル6メートの楕円形の身体をして、50本以上の触手が頭部にあった。

目に付く範囲には瞳はない。

ボス部屋に突入するなり、その触手を伸ばして攻撃して来た。

前衛が剣で即座に対応し、襲って来た触手を叩き切ったのだが、触手はすぐに再生してしまう。

俺は『α』を即座に発動したが、全く効果がなかった。

効果がないことを確認したと同時に、魔術師達からの攻撃魔法がイソギンチャクを襲ったが、『α』同様、全ての魔法がノーダメージだった。

いや、それどころか、全ての攻撃魔法を180度反射して返してきたのだ。

防御結界が発動し、味方へのダメージもなかったが、通常の魔法攻撃は封じられてしまった。

いや、大魔法も反射される可能性を考えると、へたに魔法攻撃は使えない。


「ヒデキ殿、直接の魔法攻撃は避けて、間接的に攻撃しましょう」

「間接的?」

「前衛の皆に『ブースター』をかけて下さい。物理的に削り切るのが無難です」

「なるほど!では早速!!」


『ブースター』の魔法陣を呼び出し、前衛の皆をブーストしてゆく。

以前検証した結果、ブーストの効果は約5分だった。


「前衛の皆にかけた魔法は、諸君の力を一時的に跳ね上げる。効果は5分、その間に敵を倒してくれ!!」

「俺やベルタのバーサクみたいな、リバウンドは?」

「私にのはバーサクじゃないよ!!」

「副作用は無い!!」


この声を合図に俺は前衛をブーストしてゆく。

エリーはポーションを飲みながら、俺に魔力を流し込み続ける。

この魔力直列方式もかなり慣れてきた。

ブーストを受けた前衛が、順にイソギンチャクへの攻撃へ移行してゆく。


触手の攻撃を簡単に薙ぎ払い、イソギンチャクの胴体を切りつける。

触手も胴体もすぐに再生してしまうのだが、皆、気にも留めずに攻撃を繰返した。


当然5分でブーストが切れるのだが、切れた者から俺が再ブーストを掛けなおし、再び攻撃に参加する。

エリーはエリーで魔力回復ポーションを立て続きに飲み干し、俺に魔力を流し続けていた。

この流れが1時間続いた頃、徐々にイソギンチャクの再生よりも俺達の攻撃が勝るようになってきた。

そして、2時間後にイソギンチャクは細切れになっていた。

エバートンが魔力勝負になると言っていたのは、こういうことだったのか!


「さあ、この勢いで第8階層へ!!」

「「「おおっ!!」」」


久しぶりに前衛職がメインで突破した階層だったので、彼らの意気が異常なほど上がっていた。


そして第8階層に突入する。


何もない漆黒の空間に、下りの階段が1本延びていた。

階段の幅は20メートルほど。

結構広い。


「いかにも、誘っている感じだが・・・エリー殿魔物の探知を!!」

「はい、先程からやっていますが、何も感じられません。少なくとも私が探知できる範囲には、魔物はいません」


エリーの回答にエバートンは、一瞬目を閉じ、


「他に道もなし、行くしかないですが・・・これまで以上に警戒を!!防御結界は私が最大限に上げておきます」


前衛も後衛の魔術師も、即座に攻撃と防護ができる態勢で、そろりそろりと階段を下りてゆく。

いきなり階段がなくなり、漆黒の底へ落ちて行くようなこともなく、ましてや敵の襲撃もなかった。

1時間ほど階段を下りると、巨大な壁が俺達の前に立ちふさがり、俺達の行く手を阻んだ。


「行き止まり?」


前衛の何名かが、警戒しながら、壁をコンコンと軽く叩く。


「うおっ!?」


と、いきなり壁に7つの扉が出現した。


「計ったように我々の行動最小単位に併せて・・・ここから分岐せよ・・・ということでしょうね」


エバートンは冷静に分析した。


「エバートン様、この先はどの扉の先も仔細気配から大きな気配まで魔物の気配で一杯です」


エリーがエバートンに進言する。


「ここから先は、いつも通りの攻略です。恐らくこの先の分岐はありません。当たりを引いたチームは即座に連絡を!!」


さあ、ここからが第8階層攻略の本番開始だ!!







ダンジョン攻略も終盤です。

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