表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/130

アクシデント

ダンジョン攻略再開・・・だったのですが・・・

エバートンに指示したがって、連続魔法の魔法陣を作りフォルダに入れてゆく。

連続6大魔法とか、かなり無茶なフォルダもあった。

合計10のフォルダを作りそれぞれ、イータ、シータ、イオタ、カッパ、ラムダ、ミュー、ニュー、クサイ、オミクロン、パイと名付けた。

αから始めて全てギリシャ語だ。

クサイとか飛ばそうかと思ったが、いずれオメガまで使いそうなので、順番通りにした。

オメガは最終魔法がいいな。

こうして、連続魔法の準備も整った。


「これより第7階層攻略を開始する!!」


もはや聞きなれたエバートンの声に、全員が一斉に立ち上がる。

ジョゼの亡骸は運搬専用の自動人形が運ぶことになった。


第7階層は第5、第6階層と違って、普通のダンジョンだった。

但し、襲って来る魔物達が全てアンデッドだとう言うところが、皆の不安を募らせた。

道はどんどん枝分かれし、俺達はいつもの最小パーティで探索を続けていた。

襲ってくるアンデッドはスケルトンから始まり、ゾンビ、ゴースト、レシス、ヴァンパイア、リッチ、エルダーリッチ、グール、エトセトラ、エトセトラ・・・


剣に聖なる魔法を纏わせるか、聖なる魔法で消し飛ばすのが手っ取り早い。

どんどんアンデッドを倒し、進んで行った。


これも毎度のことだが、エバートンの『ホットライン』が鳴り響く。

ベルタからの領域ボスの部屋発見の報だった。


「突入しても良いが、ヒデキ殿の聖なる光があったほうが、損耗が少なくてすむ。待機だ」

「了解しました」


確かにそうだ、第7階層は死者の国だ。

俺の6大魔法の1つ『α』=聖なる光は、アンデッドに無双することだろう。

第7階層はボーナスステージかも知れない。

そう思いながら、ベルタのコースへ方向転換し、進んだ。

ベルタが待機している場所に到着すると、俺達が最後のパーティだった。

『α』の準備は万端だ。


「これより領域ボス攻略を開始する。作戦は単純だ。領域ボスにはヒデキ殿の『聖なる光』をぶつける。他の皆は、ヒデキ殿の露払いだ。質問は?・・・ないようなら、突入!!」


突入した瞬間に嫌な臭いが漂ってくる。

ゾンビの大群が目の前にいた。

見た目で500体以上のゾンビが蠢いている。

そして、一番奥に巨大な領域ボスが佇んでいる。


「ドラゴンゾンビだ!!各々ブレスに対する対策をしておけ!渡している簡易結界だけでは防ぎきれん!!並びに攻撃開始!!ヒデキ殿が『α』を発動する道を開け!!」


エバートンの指示が飛ぶ。

すぐさま、ゾンビの群れに聖なる魔法が飛び、被弾しても問題ないので、前衛がゾンビの群れに突撃した。

ゾンビはどんどん減ってゆくのだが、ドラゴンゾンビの手前にある魔法陣から、減ったゾンビの数と同数のゾンビが出現している。


「きりが無いぞ!!でかいヒール魔法で、大幅に減らしてくれ!!」


魔術師がグレート・ヒールやパーフェクト・クリーンの詠唱を始め、ゾンビを100体単位で浄化してゆく。

だが、すぐにゾンビは魔法陣より召還されて、元の数へ戻ってゆく。


「皆、少し時間稼ぎしていてくれ!!あの魔法陣を潰す。リリスを送り返した魔法陣が応用できる」

「そういう事なら、時間を稼ぐか」


セルゲイ達前衛が後退して、ゆっくりと向かって来るゾンビ達を、剣が届く圏内だけ切り捨てて行った。

ゾンビを召還する魔法陣は、減った数だけしか召還されないらしい。

じっくりと時間稼ぎをしている間、ドラゴンゾンビは何もしなかった。

ひょっとして知能が低いのだろうか?

暫くして、エバートンが魔法陣への書き込みを終わらせた。

エバートン自身が直ぐに魔力を込めると、エバートンの魔法陣と、ゾンビを召還し続けていた魔法陣が同時に光を発し始め、相殺するように消えて行った。


「これでもうゾンビは召還されない。思う存分蹴散らしてよし!!」


エバートンの声と供に、魔術師から魔法が放たれ、前衛は勢いよくゾンビを蹴散らし始めた。

ものの数分で数百体のゾンビは消え去った。


ようやく俺の出番だ。

満を持して『α』を発動させる。

俺が魔法陣に魔力を注ぎ込み、エリーが俺に魔力を送り込む。

聖なる光がドラゴンゾンビを捕らえ、ドラゴンゾンビはここで初めてブレスを吐いたが、時すでに遅しだった。

ドラゴンゾンビは何もする事なく消滅する。


やはり第7階層は俺無双ステージ!!

と調子に乗ろうとした時、ガウラン辺境伯からエバートンへ『ホットライン』が入った。


「エバートン、至急撤退しろ!!」

「は!?いや、どうされましたか?ガウラン辺境伯?これから第7階層ボス部屋へ突入するところで・・・」

「イーゼルト帝国が戦線布告と同時に国境を越え、攻め込んできおった」

「なんですと!!」

「既に国境兵と戦闘が始まっておる。今回は我ブルネルの国境に5万。王都へ15万の兵が攻め込んで来たようだ」

「ブルネルへも!!そうですか・・・残念ですが、至急戻り、ブルネル国境の5万を駆逐してしまいましょう。それでダンジョンの攻略に戻ります」

「うむ!!」


『ホットライン』が切れ、エバートンは皆を見渡した。


「皆聞いた通りだ。ダンジョン攻略も佳境に入ったと言う時だが、帝国が攻め込んで来た。王都方面の侵略であれば、ダンジョンを優先するのだが、ブルネル地方の国境にも敵兵が攻め込んで来ている。残念だが一度撤退する」

「しかし、それではダンジョンが成長して、取り返しのつかないことに・・・」


アイオロスが悔しそうに言う。

他の皆も不安げだ。

ダミアンだけが、複雑な表情をしていた。

王国騎士団なのだから、さもありなんである。


「だから、最長で5日!この日数で帝国軍を退けて、ここへ戻りダンジョン攻略を再開する!!」

「5日!?国同士の戦争ですよ!!そんな短時間で終わるはずが・・・」


サラサが無茶だという顔でエバートンに進言する。

皆も5日という言葉に度肝を抜かれたようだ。


「何も戦争を終わらせるとは言っていない。ブルネル国境の兵を退けて、ダンジョンに戻るだけだ。戦争自体は王都方面で継続している。ダンジョンを攻略し終えてから、帝国を叩くだけだ」

「しかし・・・5日とは・・・」

「皆、ヒデキ殿の力は見て来たであろう!ヒデキ殿の魔法があれば、不可能ではない!!」


皆が俺を見た。

やはりそうなるか・・戦争となると人を殺す事になる。

俺は数ヶ月前までは、普通のサラリーマンだった。

自衛隊でも、人殺しでも、警察官でもない。

人を殺めて、精神が崩壊する気がするのだが。

エバートンは俺の気持ちを察したのか、黙って俺の決断を待っている。

自信なさげに黙っていると、セルゲイが俺のところへやって来た。


「ヒデキ、お前の顔を見れば、何を考えているのかは察しがつく。だが戦争となれば、冒険者も街を守るため、必ず借り出される」


セルゲイは俺の両肩に手を置いた。


「そして強い魔法を持つ魔術師は、多くの軍勢にぶつけられる。大量殺人を強いられるわけだ。ヒデキがこれまで人を殺したことがないのは、顔を見れば分かる。だがな、敵はそんな事情を考えてはくれない。戦争は殺し合いなんだ」

「ヒデキ殿、王国騎士団の自分が言うのは説得力がありませんが、ブルネルにお知り合いもいるでしょう?その者達を守るためと思うのです」


ダミアンも俺の方を見て助言してくれる。

知り合いか・・・イレーネやトムの顔が思い浮かんだ。


「敵が街に攻めてくれば、住民達は蹂躙され、街は焼かれてしまいます。それが戦争なのです。私もセルゲイ殿や、国境警備兵、私設騎士団、冒険者達も、街を・・・国を守るために戦うのです」


セルゲイとダミアンの言葉には重みがあった。

俺はもう平和な地球のサラリーマンではないのだ!

今こそ覚悟を決めるべきだろう。

俺はエリーを見た。

エリーは何も言わずに、うなずく。


「セルゲイさん、ダミアンさん、ありがとう。決心がつきましたよ。エバートン参謀行きましょう!!さっさと敵兵を蹴散らして、ここに戻ってダンジョンの攻略を続けましょう!!」


俺の言葉を待っていたのだろう、エバートンは全員に号令をかけた。


「それでは即座に撤退を開始する!!第5階層に戻り、転移魔法陣を発動させガウラン辺境伯邸へ戻り、その後国境へと向かう。よろしいか?」


皆頷くが、エバートンはダミアンに向かい、言った。


「ダミアン殿は王都へ戻られても「いいえ!私も皆と行動し、ダンジョン攻略へ戻ってまいります!!」

「承知いたしました!!」


エバートンが珍しくにっこりと笑った。


「それでは戻りましょう!!」








意図あって、ダンジョン攻略を一時中断しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ