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再び力の底上げ

一息つきましょう。

女神イシュタル降臨のおかげで、魔女リリスを退け、第7階層への扉は開いた。

ジョゼの亡骸はベルタが側に置いていた。

アンデッド化はしないそうだが、腐敗を防ぐための魔法が掛けてある。


「ここで休憩をする。休憩時間を長く取るので、食事、睡眠を充分取るように!!その間一人ずつ面接をして、各自の戦力底上げの算段をつける。順番は問わない、休憩優先、相談優先、各自の判断にまかせる」


エバートンの指示で、各々が休憩、エバートンへの相談に向かった。

俺はスマホの充電に余念がない、エリーと交代で充電し続ける。

リリスとの戦いでは、充電切れで危ないところだった。

二度とこのようなことは避けたい。

5時間ほど蓄充電器を回し続け、スマホはフル充電、蓄電も100%まで回復させた。

手首が少し痛いが、ヒールするほどではないだろう。


エリーが補給専用自動人形の所へ行き、食事をもらって来た。

ポーションに食料、武器防具の予備、さすが補給専用に連れてきただけはある。

尋常じゃない運搬量だ。

残り3階層・・・正念場である。

恵理子の助言が只の夢ではなかった事がイシュタルのご神託で確定した。

エリーには話しておかねばならない。


「エリー、折り入って話がある」

「はい」

「さっきの女神イシュタルの言葉だが・・・」

「ヒデキ様、分かっています」

「何?」

「恵理子様から聞いております」

「!!エリーもか?」


どうやら恵理子はエリーにも助言していたらしい。


「ですから、覚悟は出来ています。その時が来たら・・・」

「そうか・・・その後のことはまかせろ!必ず俺が守ってやるから」

「はい!信じています!!」


と、格好つけてみたものの、その時と言うのが、何時かがわからない。

第7階層なのかその次?いや、ダンジョンマスター戦?

必ずその時は来る。

でなければ、俺達は全滅だ。

そして最大難関の事をエリーに相談する。


「エリーに何かアイデアはあるか?こいつを叩き起こす方法?」


俺は首のロケットをちょこんと弾いた。


「ノーマですね。確かにいつ目覚めるかはわかりませんが・・・目覚めることが出来るのに、そうしないのならば、惰眠を貪っているのでしょう」

「・・・ありえるな・・・なら、起こすことが出来るかもしれないな」

「そうですね。イフリートを凍らせた時のノーマの消耗がどの程度だったのか?あの頃の戦いと今を比較すると・・・」

「そうだな、今の戦いは桁が違うな。そう考えれば、惰眠を貪っている可能性が高いな」

「でしょう!!」

「かなり希望が出てきた。ありがとう、エリー」

「いいえ、私は何も・・・あ、皆さんとエバートンさんの話は終わったみたいですよ」


皆、エバートンからアイテムをもらったり、スクロールをもらったりしていた。

中には防具や武器に魔法陣にエバートンが書き足していた者もいた。

戦力の底上げは出来たらしい。

さて、ラストは攻略の鍵の俺達の番だ。


「いくぞ、エリー。それとも俺一人で行くか?」

「いいえ、ご一緒します」


俺達はエバートンのところへ行って、二人で前に座った。


「エバートン参謀は休まなくて良いのですか?ずっと何か作業をされていて、休まれているところを、見た事がないのですが」

「これはヒデキ殿、お気遣い感謝します。が、大丈夫です。この指輪をしていれば、3日は寝ないで済むのです」


便利なアイテムだな。

俺も欲しい。


「本来なら皆にも配りたいのですが、私も1つしか持ち合わせがないのです」


まるで俺の心を読んだような、解説だ。


「そうですか、それでは本題に入りましょうか?」

「ええ、我々3人が攻略の鍵・・・戦力の底上げが私の仕事。特にお二人には6大魔法や他の特殊魔法もどんどん使っていただく事になります」

「ええ、スマホのほうは充電完了しています。ポーションさえあれば、かなりの魔法は使えます」

「それは頼もしい。この先の攻略に6大魔法は必要不可欠、恐らく多様する事になりますので、よろしくお願いします」

「こちらこそ、どの魔法を使えば良いのか、自分にはさっぱりなので、指示をお願いいたします」

「イシュタルが言っていたのは、その辺りでしょうね。各々の戦力の底上げは完了しました。後は我々の6大魔法の使いどころが鍵となってくるでしょう。そこでお願いがあります」

「何でしょう?」


エバートンは暫く押し黙っていたが、


「ヒデキ殿は、スマホに魔法陣を連続して表示し、魔法を連続発動することができますな?」

「ええ、可能ですよ。現に6大魔法は連続した魔法陣に魔力を込めて発動しています」

「そこで!!」


エバートンはドンっと、床に手をついて、ずいっと乗り出した。


「6大魔法に別魔法を連続させて発動させたいのです」

「えっ!?」


俺はエバートンの迫力に押されて、少し仰け反った。


「さすがに魔力が切れで、途中で発動しない可能性がありますよ!」

「それです!!ヒデキ殿はエリー殿と魔力を共有して6大魔法を発動させていますよね?」

「ええ、二人分の魔力を平行して使わないと、一人では魔力切れ起こしてしまいますから」

「その魔力の使い方を変えるのです」

「どういう事ですか?」


エバートンの瞳がギラリと光った気がした。


「ヒデキ殿の魔力を先に使い、エリー殿は魔力をヒデキ殿に流す。流しながら魔力回復ポーションで回復する。こうすればポーションが追い着かなくなるまで、魔法を使えるのではないですか?」


あっ、そうか!!目から鱗だった。

俺はエリーと魔力を共有することだけを考えていたから、同時に魔法陣に魔力を流し込んでいた。

だけど魔力が共有できているなら、エバートンの考え方はありだ。

科学的に考えれば、電池を並列に繋ぐか、直列に繋ぐか違いとなる。

俺が今までやっていたのが並列、エバートンの提案が直列だ。


「なるほど、訓練が必要かも知れませんが、やれそうです」

「休憩時の間に訓練をお願いできますか?目処がついたところで、出発します」

「わかりました、早速、訓練にかかります」

「ポーションはまだまだあります、どんどん使って下さい」

「ありがとうございます。遠慮なく使わせていただきます」


エバートンの提案で、色々と巧妙が見えて来た気がする。

俺達は元の場所に戻り、早速訓練を始めた。


「エリー、エバートンの言っていたことは分かったのか?」

「はい、魔法陣ではなくヒデキ様のに魔力を流せばよいのですね?」

「そうだ、やれるか?」

「はい、多分簡単だと思いますよ」


エリーはにっこりと笑って言う。

自信満々だ。


「そうか、じゃあさっきと同じウォーターボールで行くが、今度は俺だけが魔法陣に魔力を送り込むことになる。いいか、行くぞ!!」

「はい!!」


エリーは俺と手を繋ぎながら返事をした。

俺は宣言しながら、ウォーターボールを作り出す。

少し魔力が減るのがわかる。

と同時にエリーから魔力が流れ込んで来た。

あれ?本当に簡単に成功してしまった。


「ね!ヒデキ様!簡単だったでしょ?」

「ああ、びっくりだ!エバートンに報告して来るから、エリーは待っていろ」

「はい、ヒデキ様!」


エリーの実に嬉しそうな返事を聞きながら、エバートンのところへ向かった。

エバートンは何か熱心にメモを書いていた。


「エバートン参謀!!」

「これはヒデキ殿、どうされました?」

「成功しました・・・」

「そうですか!!素晴らしい!!これで私の計算通りに戦える!!」


エバートンが珍しく興奮しながら、言った。


「何故か簡単でした」

「それだけ魔力の共有が完璧だと言うことです。イシュタルの言っていた、戦力の底上げ、これで完璧です!!」


エバートンはさっきまでメモしていた紙を俺に渡した。

エバートンから文字を習っていたから、読めるかと思ったが、読めない文字のほうが多かった。


「エバートン参謀、読めない文字が多いです」

「ああ、これは失礼した。私とした事が興奮してしまって」


メモを俺から渡し返されて、エバートンは解説を始めた。


「ヒデキ殿に作ってもらいたい、連続魔法のリストです。読み上げますので、作って行ってもらえますか?」

「分かりました。どうぞ・・・」


俺はスマホを取り出し、エバートンの読みあげを待った。





次回から戦闘です。

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