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ベルタの奥の手

最近のアニメを見ていなかったので、見ようと思いあせりました。

「異世界はスマートフォンとともに」・・・

このタイトル見た時に、連載やめて削除しようかと、一瞬思いました。

が、1話を見てほっとしました。

使い方が違う、テーマも違う。

これなら行けるだろうと、立ち直りました。

魔術師の攻撃を平然と受け、前衛たちの突撃を光の棒で横薙ぎにして蹴散らしていた魔族の動きが止まる。

バルディッシュを肩にゆっくりと近付いてくるベルタに気付いたのだ。


「おや・・・あなたは少し雰囲気が違いますね」

「分かるか?さすがは上位魔族だな・・・今からお前を滅ぼしてやるからな。争いごとが嫌いなら、復活するまでは争わないで済むだろ?」

「まあ・・・確かにそうですが、このまま素直に滅ぼされてしまうと、上司にはばれてしまいますからね、手抜きはできないのですよ」

「手を抜く必要はない!!実力で滅ぼしてやる!!」


ベルタは肩にかついでいたバルディッシュを降ろし、ドンと砂に突き立てた。


「それは凄い自信ですね・・・では行きますよ!!」


魔族はベルタに向けて赤く光る腕を振り下ろす。

その光をベルタのバルディッシュが受け止めた。


「!?あなた・・・その技は・・・」

「ふん?さすがに気付いたか?このままお前を削ってやる」


ベルタがバルディッシュを振り被り、凄い勢いで振り下ろした。

魔族の身体を覆う赤い光が丸くなり、急激に広がった。

その衝撃は後ろに控えていた前衛やもっと後ろにいた俺達にも届く。


多重結界の他にエバートンが特殊結界を張っていたおかげで、俺達はよろめくだけで終わった。

だがベルタはびくともしない、バルディッシュを振るい続けている。

よく見れば、ベルタの身体やバルディッシュは、俺がブーストを掛けたような感じの白い光で覆われている。


「あなた、自分の命を削っての攻撃とか・・・何を考えているのですか?」


魔族は赤い衝撃波を発し続けながら、ベルタに問いかけた。


「お前に時間をかけている暇はない・・・ならば誰かが命をかけて倒さねばならない!!」

「無茶な!!私は魔王でもダンジョンマスターでもないのですよ!!ただの領域守護者です!!命と引き換えにするなんて・・・いや、分身を?」

「ようやく気付いたか?今お前を攻撃しているのは分身だ」

「その魔法知っていますよ!分身のダメージは本体へもフィードバックされます。分身が死ねば、本体も瀕死・・・ダメージによっては死にますよ!!」

「知っているさ・・・だが・・・散々砂の巨人を操って消耗しているお前を倒すチャンスは今しかない!それぐらいの博打を打つのは当然だろう!!」


ベルタの攻撃が激しくなり、魔族の衝撃波は徐々に弱くなっていった。


「なるほど・・・楽をしてあなた方を消耗させようとした私のミスと言うことですか?ですが・・・」


魔族を包む光の色が青白く変化する。


「このまま引き下がる訳にはいきません!!命の削り合い、受けて立ちましょう」

「望むところだ!!」


ベルタがバルディッシュを振るう音、魔族が青白い衝撃波を発する音が響き続けた。

誰も手が出せなかった。

攻撃魔法はベルタにも当たってしまう。

かと言って、ヒーリングなどの援護魔法は、魔族の衝撃波で打ち消されてしまう。

前衛は衝撃波で近付くこともできない。

だが、決着は唐突に着いた。

ベルタの膝が折れ、倒れたのだ。


「魔族と人間・・・生命力の差が出ましたね・・・あと一歩でした」


そう言った魔族も膝をついている。

青白い光も弱々しくなっていた。

分身が倒れ、消えた瞬間に、前衛たちが魔族に襲い掛かった。


「無駄です!!」


魔族の光が赤色に変化し、前衛をはじき飛ばす。

その直後に魔術師達の攻撃魔法が飛ぶ。


その間に親衛隊のリラがベルタの本体にヒーリングをかけていた。

ベルタはやはり瀕死だったが、なんとか死に至らないですんだ。

ベルタはふらふらと立ち上がり、俺の方を向いた。


「ヒデキ殿、待たせたな!今から私の奥に手を見せてやる!!」

「えっ!?さっきのが奥の手じゃなかったのですか?」

「命を削って戦うぐらい、少し訓練すれば誰でもできる」


いや、いや、俺には出来ません。


「これから見せるのが、私の奥の手だ!!」


ベルタはバルディッシュを置き、両手を握り、拳を作った。

気合一閃、ベルタは黄金色に輝き出した。

スーパーベルタだ。

髪が金髪なので、実際リアルにそう見える。

さすがに髪の毛は逆立ってはいないが。


「一日に一度だけ、どんな瀕死の状態からでも復活し、数倍の力で戦える・・・これが私の奥の手だ!!」


能力もそのまんまだったのか・・・

ベルタはバルディッシュをひょいと担ぎ、皆を掻き分けて魔族へと突撃して行った。


「あなたは!?」


魔族はあわてて身体の光を白く変化させる。

だが『スーパーベルタ』は意にも介さなかった。

ガンガン魔族の命を削ってゆく。


「なるほど・・・あなたが瀕死になった理由はこれでしたか・・・これは計算外でした・・・」

「私は計算通りだ。言っただろう、実力で滅ぼしてやる・・・と!!」

「なるほど・・・その通りですね・・・これは私の負けですね・・・」

「これなら、上司に怒られる事はないだろう!!安心して滅びろ!!」


魔族の徐々に光を失っていく。

『スーパーベルタ』は最後に思い切りバルディッシュを振り被り、横薙ぎに払った。

魔族は上半身と下半身に分断されて、崩れ落ちた。


「やあ、有難う・・・これなら上司に怒られずに滅びることができそうだ・・・君達の健闘を祈るよ」


魔族は徐々に光が消え、最後には塵となって消えて行った。

その瞬間、砂漠が消滅し奥へ扉が現れる。

ようやく第6階層ボスとの対決だ。

ベルタさんが『スーパーベルタ』さんでいるうちに・・・と思ったら、普通のベルタさんに戻ってしまった。


「無茶言わないで欲しい!!奥の手は消耗が激しいのだから無理だ。領域ボス排除で勘弁してくれ」

「すみません、つい甘えてしまいました」


思わず謝ってしまった。


「ここで、暫く休憩を取る、皆ポーションの補充、武器、防具の点検、食料の補給もできるので申告して受け取るように!!」


エバートンの一言で休憩となった。

ボス部屋に前に補充点検は当然だ。

領域ボスでさえ、この苦戦。

第6階層ボスも苦戦は免れないだろう。


エリーが食料を受け取って来た。


「ヒデキ様、食事にしましょう」


持って来た物は、パンと干し肉に、干したフルーツだった。

手持ちの食料もあったが、節約するのに越したことはない。

この考えは常に変わらない。

伊達にダウの森を抜けて来てはいないのだ。

エリーと並んで食事を取り、ポーションの補充もすませた。


「エリー、この後のボス戦で、機会があれば6大魔法を使うぞ」

「はい、魔力の共有は問題ありません」


しかし、使うタイミングと種類の判断がつかない。

俺はエバートンに相談することにした。

エバートンの所に行くと、熱心に魔法陣の書き込みをしていた。


「エバートン参謀、忙しいところ済みません。少し相談があるのですが・・・」

「これはヒデキ殿、相談とは何ですかな?」


エバートンは作業をしながら、返事をした。

手を休めないとはさすがだ。


「実は6大魔法が使える目処が立ちました」

「!?何ですと!?」


エバートンの手が止まった。

俺の方を見て、真剣な眼差しで俺に聞いてきた。


「6大魔法を・・・それは確かですか?ヒデキ殿?」

「はい、エリーと魔力の共有が可能になりまして、二人で魔力を使えば、発動は可能かと・・・」

「魔力の共有!?それは不可能・・・いや・・・ヒデキ殿はストレンジャー・・・可能かもしれない」


エバートンは書きかけの魔法陣をしまい、少しエリーの方を見て俺に向き直り、


「6大魔法が使えるのならば、この先の戦いは有利に運ぶことができるでしょう」

「俺とエリーが魔力を目一杯使って、1つしか発動できません」


俺もエリーの方を見て、エバートンに言った。


「ですから使うタイミング、種類の判断をエバートン参謀にお願いしたいのです」

「なるほど、二人で魔力使い切って1度ですか・・・」


エバートンは顎に手を当てて考えた。


「魔力回復ポーションで補給しても連発は難しいですか?」

「魔力を使い切った時、気を失わなければ可能かも知れません」


俺は肩をすくめた。


「なるほど、使えるのは1つの戦闘で1回きりと考えておいたほうが無難ということですな」


エバートンはうんうんと頷いた。


「分かりました、6大魔法の使う種類とタイミング、私が指示を出しましょう!」

「よろしくお願いします」

「こちらこそ!!さあそろそろ、第6階層ボスの攻略を始めましょう!!」


よく考えれば、気絶しなければ連発、いけるかもと、改めて思った。




お気づきかも知れませんが、私は以前アニメーション業界で仕事しておりました。

シナリオやシリーズ構成、文芸担当をしておりました。

プロット重視しているのは、そのせいです。

小説はこれが初めてです。

シナリオと違い、難しい部分が多くあり、勉強になりますね。

明日も投稿頑張ります。

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