表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/130

純白の魔族

本日今から外出して、帰りが遅くなるので、今投稿します。

昨夜は後書きでは、夜遅くなると言ったのですが、やはり今投稿することにしました。

氷のダンジョンの主は、魔族に似つかわしくない純白の魔族だった。

真白なスーツにシルクハット、白い蝙蝠の翼。

暢気な口調で親しげにしゃべる魔族だったが、その実力はとんでもなかった。

ファイヤー・ゴーレムの炎を凍らせ、粉々にしてしまったのだ。

その魔族が言ったのは・・・


「このまま終わらせてあげるからねぇ~」


だった。


「全員最大防御!!物理、魔法両方だ!!」


普段口調がていねいなエバートンがあせって指示を出した。

エバートンは魔族の口調に危険を察知したのだろう、防御魔法陣を取り出し最大の防御結界を展開させる。

皆、前日に配られた3つの指輪に魔力を込め、さらに各々最大防御の体制を取った。

魔術師は防御結界を全員に張り、凄まじい多重結界になった。

通常なら無敵状態だが・・・


「すごい!すごい!ベリアルにやられたのが相当堪えたみたいだねぇ~」


魔族は余裕の言葉で、腕をこちらに向け続ける。

シンと静まり返った空間に、微妙な音が響き始めた。


ピシッとか、パキッとか、何かにひびが入るような音だ。


「気をつけろ!!何か変だ!!」


俺の前で防御姿勢を取っていたダミアンが、辺りを見回しながら叫んだ。


「床が・・・」


誰かが呟き、皆が床を見た。


床にひびが入り始めている・・・いや、よく見ると壁や天井にもひびが入り始めていた。

崩落?違う!この空間がどんどん冷え続けているのだ!!


「まずいぞ、足が床に張り付いて動かん!!」

「俺もだ!」「私も!!」

「魔術師で熱魔法が得意な者、全員を暖めよ!!凍死を防げ!!」


魔族の攻撃はこちらの防御魔法、多重結界を無視してこの部屋全体を冷やし始めたのだ。

エバートンは指示を出し、新たに魔法陣を取り出して書き込み始めた。

が、その手が止まる。

見れば魔法陣のスクロールが凍り始めていた。

エバートンの得意技が封じられてしまった。

魔法陣への書き込みが出来ないのだ。


「!?一時撤退するぞ!皆、撤退だ!!」


エバートンが叫ぶが遅かった。

誰も動けなくなっていたのだ。

魔術師による保温で身体自体は動くものの、靴が床に張り付き足が床から離れない。

防具は凍り、身体を動かす事が出来ない。


「僕はベリアルと違って、手抜きはしないからねぇ~逃げる事が出来るなんて思わないでねぇ~ここで終わらせるからぁ~」


いちいち鼻につく喋り方だが、その実力は計り知れない。

これは・・・絶対零度の魔法だ・・・

摂氏マイナス273.15度・・・到達不可能な温度・・・

魔族の魔法なら可能なのか・・・

全ての動きが止まり凍りつく・・・


俺は辛うじてスマホを操作して『ブースター』を呼び出し自分に掛けた。

これで少し動ける、動けるうちに『サンダーレイン』をこの空間全体に落とす。

魔族、味方、全員に落とした。

防御結界が発動しているので、ダメージはないが、運動エネルギーの回復を狙ったのだ。

魔族には当然効果はなかったが、全員が辛うじて動けるぐらい回復したみたいだった。


「今だ!!少しでも良いから動けるうちに下がれ!!」


俺は魔力回復ポーションを飲みながら叫び、スマホを操作して『指定崩壊』を呼び出し、魔族が翳している右手を凝視する。

その間に全員が少し下がり、そこで再び凍り始める。

当然、俺が一番前に立つ形になった。


「ヒデキ様!!何故?」

「ヒデキ、何故下がらない?」


エリーとセルゲイが同時に叫んだ。

下がろうと思ったのだが、攻撃を優先したら、逃げ遅れただけなのだ。

格好悪いから言わないけど・・・


「今からあいつの右手を消す、動けるようになったら撤退だ!!」

「ヒデキ殿!!可能なのか?」

「出来る!!」


ダミアンの問いに答えたところで、魔族の右腕がぼろぼろと崩れた。


「おや?やりますねぇ~でも・・・腕はもう1本ありますからぁ~」


魔族は暢気にしゃべりながら、すぐに左手を翳す。

一瞬弱まった冷気が一気に元通りになる。

冷気が弱まった瞬間にエリーが俺を少し引きずり、皆少し下がった。

未だ俺が先頭の態勢だ。

エリーが俺の横に付いているのが、少し違うか・・・

脱出口にはまだまだ距離がある・・・


魔族の右手は既に復活していた。


「次はすぐに右腕と交代するからねぇ~さっきの戦法は使えないよぉ~」


むかつく奴だ・・・

俺は次の魔法陣を呼び出す。


「エリー、ファイヤー・ノヴァを撃てるか?」

「はい、なんとか行けます!!」

「よし、やってくれ!!」

「はい!!」


エリーがファイヤー・ノヴァを魔族に放つ!

と、同時に後方から攻撃魔法が魔族に飛んだ。

数名の魔術師が援護してくれたのだ。

全ての攻撃魔法は打ち消されたが、その隙に俺は『スーパー・ノヴァ』を発動させた。

魔族の身体が一分揺らぎ、冷気が少し緩む。

俺も含めて、2、3歩後退したところで、また凍りついた。

急いで魔力回復ポーションを飲み干して魔力の回復をする。


「ヒデキ殿暫く休まれよ!!私が引き続き攻撃する」


エバートンが俺に助言をくれたので、振り返るとエバートンが新しいスクロールを取り出していた。

その魔法陣にエバートンが魔力を注ぎ込む。

その瞬間に魔族の周りがスパークし閃光に包まれた。

冷気は少し緩むが、すぐに元に戻り、スクロールは粉々に砕け散る。


「逃げるまでスクロールが持つとは思えないなぁ~あきらめて、みんな凍りついてしまおうよぉ~」


魔族は平然と絶対零度の攻撃を継続させていた。

確かにこのままではジリ貧である。

多重の防御結界と魔術師の発動魔法で皆は辛うじて生きている。

しかし、ほとんど身動きもとれない。

魔力が切れた時が、最後だ。

なんとか打開策はないのだろうか?


「ヒデキ殿、自動人郷オートマターに『ブースター』をかけてもらえるか?奥の手を使う」


エバートンが「奥の手」と言うからには、何かこの現状を打開する方法があるのだろう。


「分かりました、行きます!!」


急ぎ『ブースター』の魔法陣を呼び出し、二人の自動人形オートマターに魔法をかける。

同時にエバートンがスクロールを取り出し、二人に魔法をかけた。


「行け!!」


エバートンが命じると、自動人形オートマター二人は高熱を発しながら魔族へ向かって行った。

高熱とブースターのおかげで、自動人形オートマターは走りながら魔族へ向かう、それが小走りになり、歩くスピードになり、スローモーションになった時に魔族に到達した。


「何ですか?あなた達?」


魔族が面喰って、普通の口調に変わる。

その瞬間に二人の自動人形オートマターは魔族に抱きつき・・・大爆発を起こした。

核爆発のような閃光と爆煙が立ち上る。

あっと言う間に周囲が常温に戻る。


「今だ!!撤退!!」


エバートンの叫び声を合図に全員が出口へと走り出す!!

先頭を行くゴールド・エクリプスのパーティが出口に達しようとした瞬間、バシッという音と共に、出口が分厚い氷で閉ざされた!!


「!!??」


ゴールド・エクリプスが急ブレーキをかけた乗用車の様に止まった。


「エバートン殿!!出口を塞がれました!!」


魔術師がファイヤー・キャノン等で出口の氷を攻撃するが、全く溶けずに凍りは厚さを増すばかりだ。


「闘って勝つしか道はありません!!」

「当然でしょう!!ここで終わらせると言ったのですからぁ~逃げられる訳がないでしょう~」


魔族の声が非情に響き渡った。

全員が同時に振り向くと、上半身だけの魔族が両手を翳していた。

よく見ると、徐々に下半身も再生し始めている。

自動人形オートマターの姿は影も形もなかった。


「「「攻撃魔法だ!あらゆる攻撃魔法を打ち込め!!」」」


複数の声をきっかけに、再び攻撃魔法が乱れ飛ぶ。

俺も『サンダーレイン』を全員に落として、凍るのを遅らせ、続いて『スーパー・ノヴァ』を発動させた。

ここで魔力が切れ、急ぎ魔力回復ポーションを飲む。

魔族は下半身の再構成に魔力を使っているせいか、周囲が絶対零度になるのが遅れていた。


「一か八かだ、前衛、魔力を纏わせた武器で突っ込むぞ!!」

「「「おう」」」


セルゲイの掛け声と共に、前衛が各々の武器に魔力を纏わせ、魔族へと切りかかって行った。

セルゲイ、ダミアン、サラサ、アイオロス、エルザ、ヘンドリク、クラウスと連続して切りかかり、すぐにステップバックで離脱した・・・ところで皆再び動きが止まった。

絶対零度が再び発動したのだ。


「よく頑張りましたぁ~でもここまでですぅ~」


魔族は完全復活していた。




人が魔族と戦うという事は本来こういうことだと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ