表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/130

第4階層の守護者

漸く第4階層です。

物理、魔法攻撃とも跳ね返すとんでもない領域ボスだったが、所詮は魔物か?

知恵は回らなかったらしい。

実に単純な手で駆除が出来てしまった。


「いったい何だったんだ?あいつは?」


セルゲイがぼそりと呟いた。


「皆、いよいよ第4階層のボス戦となる。どのような敵であれ、撃破以外考えてはいない。しかし、こんな所で犠牲者を出すわけにはいかない!!慎重に敵の傾向を見極め、打ち合わせ通りに戦闘すること!!よろしいか!?」

「「「おお!!」」」


全員の意気は高かった。


今回はアイオロス、サラサが先頭で、ボス部屋へ突入した。


闇が玉座に座っていた。

比喩ではなく、人間の形をした黒い影が玉座にいたのだ。

見たところ目鼻口も一切ない。

それどころか、身体に厚みもなかった。

人型に切り取られた真黒な紙が、玉座に座っていると言う表現が一番そいつに当て嵌まる。


「後衛投擲を!!」


エバートンの指示で、親衛隊からダガーが闇に投擲される。

ダガーは闇に吸い込まれ消えた。


「!?」

「皆、触れぬように!!触れればその部分は全て消される!!」

「攻撃は?」


エバートンの接近禁止命令に、質問が飛ぶ。

影はゆらゆらと玉座から立ち上がり、ゆっくりとこちらに向かって来た。


「治癒魔法が使える者、あの影に放て!!」


エバートンの攻撃命令はアンデッドには有効なヒーリング系魔法だった。

あちこちから、影にホーリーヒールが飛んだ。

影に聖なる光がぶつかる。

一瞬だが、影の動きが止まったが、光が消えると同時に、何事もなかったように、動き始める。


「通常の魔法では全く効果がありませんな・・・ヒデキ殿、魔力を使わせて申し訳ないが、『奈落』を・・・効果がなければ『エクセレントヒール』を・・・」

「了解!!」


エバートンの指示に、俺は魔力回復ポーションを飲みながら、『奈落』を影に対して使った。

ポーションを飲んだのは、途中で魔力切れを防ぐためだ。

無駄な使い方だが、このような使用は許可されていた。


そして案の定・・・『奈落』は発動しなかった。

厚みの無い存在。

ベリアルでさえ、一度は落ちた『奈落』なのに、こいつは一体どういう存在だ?


「続けて『エクセレントヒール』行きます」


『エクセレントヒール』の魔法陣を呼び出し、影に狙いを定め魔力を込める。

影はゆっくりとこちらに向かっており、俺達は距離をとるためにじりじりと後退していた。

『エクセレントヒール』が発動したと気付いたのは、影がぴたりと止まったからだ。


「何だ?何が起こった?」


周りがざわつく中、影に変化があった。

全体に厚みが・・・通常の人間と同じように身体に厚みが出てきたのだ。

但し、真黒のままである。


「今なら行けるか!?」


俺は『奈落』をもう一度立体なった影にぶつけてみた。

今度は影の足元に孔が開き、影は一瞬だが孔に落ちるように見えた。

しかし、5センチほど落下は止まり、影は何事もなかったように前進を再開した。


「今度は切ることが出来るんじゃねえのか?」


セルゲイが思い切りバスターソードを影に振り下ろす。

高い金属音が響き渡り、バスターソードが弾かれる。


「何だと!?」


オリハルコンに変化した強靭なバスターソードを弾き、刃こぼれさえさせていた。

影はゆらりと動き、セルゲイの腹部にパンチを繰り出した。


「ぐっ!!」


フルアーマーの腹部が凹み、セルゲイは蹲った。


「あぶない!!」


影が追撃のパンチを入れようとしたところを、イグナーツがラージシールドで受け止める。

オリハルコン製の盾に拳大の穴が開いた。

イグナーツは殴られた衝撃を利用してセルゲイを抱え、後ろに飛んだ。


「全系統の魔法攻撃を!!」


エバートンが再び全系統魔法攻撃の指示を出す。

炎、氷、水、風、雷、闇の魔法が乱れ飛ぶ。

影はその攻撃を避けることなく平然と受け止めていた。

効果があったとすれば、歩みが止まったくらいか?


「高次元の存在ではない・・・しかし物理的に硬すぎ、しかも魔法攻撃さえ受け付けない・・・となると・・・」


エバートンが思考に入る。

何か戦略を思索しているはず・・・

その間、俺達は時間を稼ぐ事になっている。

親衛隊から執事のおっさん・・・もといヘンドリクが、二本剣を振るいながら切りつける。

ダミアンが剣に魔力を込め、その後に続く。

どちらの攻撃も見事に弾かれ、再びパンチの逆襲を受ける。

両名とも素早く後ろに飛び、影の理不尽極まりない打撃を避けた。

その隙をつき、魔術師達のストーン・キャノンが連続で影に命中、影は動きを止める。

俺はストーンゴーレムを呼び出し、思い切り殴るように命令を出した。

ストーンゴーレムの拳にも満たない大きさの影にその拳が叩き付けられる。

ひょうひょうとこちらの攻撃を受けていた影が、今度ばかりは足に力を込め、踏ん張った。

ストーンゴーレムの拳に影の身体がめり込む。

めり込みながら、影は弾き飛ばされるのを防ぐ。

さすがに5メートルほど後退したが、影は無傷、それに対してストーンゴーレムの右の拳は砕け散っていた。

いや、拳どころか右腕全体が砕けていた。

ストーンゴーレムに痛覚はないようだが、右腕を失いバランスを崩して立っている。

即座に魔法陣への帰還を命じた。


影が少し後退したのに勢いを得たのか、私設騎士団、冒険者チーム、親衛隊が波状攻撃を仕掛け始める。

影自体にダメージは与えられないが、完全に動きを止めることには成功していた。

但しそれだけであり、この影を倒さない限り第4階層は突破できないのだ。


ここまでの攻撃を全て無傷に受け流す影をどのようにすれば排除できるのか?

俺にはさっぱり思いつかない。

と、頭脳担当のエバートンが沈黙を破り命令を下した。


「第4階層ボスに弱点はない!ならば弱点を作り出すまで!」

「!?・・・と言うと?」


俺は思わず聞いてしまう。


「ヒデキ殿、これは賭けだが、今一度『エクセレントヒール』を奴に!」

「!!エクセレントヒールを!?」


エバートンは俺の問いかけに答える。


「そうだ、エクセレントヒールの魔法陣は、恐らく禁忌魔法陣・・・無生物を生物に作り変える魔法」

「確かに自動人間オートマターがクロエになりました」

「先程厚みの無い影が立体になり、明らかに形質が変化した。攻撃無効であることには違いがないが、厚みのない影であった時よりも、攻略しやすくなったように見える」

「それで、今一度エクセレントヒールを?」

「さよう、敵の身体を強制的に変質させ、弱点を作り出す!!」

「うまくいきますか?」

「最初触れることが出来なかった敵が触れることが可能になった・・・次はどうなるのか?」

「やってみる価値はある・・・」

「そう、お願いできますか?ヒデキ殿!!」

「了解です!!」


俺は魔力回復ポーションを取り出し、一気に飲み干した。

『エクセレントヒール』の魔法陣を呼び出し、思い切り魔力を込め、影にぶつけた。

効果はすぐに現れた。

影が苦しみ出したのだ。

魔法だろうが、物理的暫撃だろうが、全く受け付けなかった影が『エクセレントヒール』の二度掛けに苦しんでいるのだ・・・

影は苦しみながら蹲ってしまった。


「苦しんでいるぞ!攻撃するなら今だ!!」


前衛の数名が攻撃しようと、刀を振り上げた刹那・・・


「待ってくれ!!」


影が口をきいたのだ!!


「!?」


切りかかろうとしていた、セルゲイ達の動きが止まった。

影はゆらりと立ち上がり、こちらを見た。

そう、見たのだ。

影は最早影ではなかった。

目鼻口があったのだ。

決して人のようではない。

しかし、ゴーレムのような目鼻と口ができていた。


「私に戦う理由は無い、此処を通る者を阻害する命令は解除されている」

「戦う意思もないと?」

「そうだ、もとより私に意思などはなかった。先程、初めて自我が目覚めたのだ」


エバートンの問いに影が答える。


「私の座っていた後ろに次の階層への入り口がある。すでに開けておいた。自由に行かれるが良い」

「貴殿はどうされる?」

「せっかく与えられた自我だ。暫くは色々と思索を楽しみたい」

「そうか・・・」


影は玉座に座り直し、考える人のポーズを取った。


「これより第5階層へ突入する!!」


エバートンの大きな声に俺達は第5階層へと向かった。




プロットの進みが3日に1話と、かなり遅れ始めました。

なんとかペースを上げなければ。といいつつペースがあがりません。

困りました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ