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ダミアン

この3日間プロットが進んでいません。

ストックが減ってゆく。

会議が解散してから数時間後、パワーボムのメンバーが王国騎士団の馬と、腑抜けになったダミアンを連れて帰って来たそうだ。

呆然としたまま、馬をガウラン辺境伯にあずけ、とぼとぼと宿屋に帰っていったらしい。


「とまあ、王国騎士団ダミアン隊長のプライドはずたずた、部下は全滅、自殺しないのが不思議なぐらいだったぜ」


翌日、セルゲイと彼御用達の食堂で食事をしながら、ダミアンの様子を聞いていた。

エリーは、少し離れたところで、クロエと食事を取っている。

最近エリーとクロエは中が良い。


「ショックだったでしょうね。自慢の王国騎士団があっと言う間に全滅でしたからね」

「全滅は気の毒だが、騎士や冒険者をやっていれば、まあ、たまにある事だ」

「そうですか・・・」

「大事なのはその後どう立ち直るかだ・・・」

「立ち直れるでしょうか?」


セルゲイがぐいと酒を煽って、ふうと息を吐く。


「貴族出身の騎士はプライドが高い、言い古された言葉だが、身体の傷はポーションで治せても・・・」

「心の傷は直せない」


どこの世界でも同じ言い回しがあるのだ。

しかも、この世界にカウンセラーはいないだろうな。

いや、教会とかあったから、教会でカウンセリングをしてくれるかも知れない。


「王国に尻尾を巻いて逃げたって、誰も攻めない。貴族だから、騎士を辞めても食っていけるさ」

「そうですね。相手が悪すぎましたからね」

「まあな。貴族のお坊ちゃんで、プライドだけ高い男なら、二度と立ち直れないな」

「黙って聞いていれば、言いたい放題言ってくれるな」


後ろから怒気を含んだ声がした。

振り返れば怒り顔のダミアンが立っていた。

ダミアンはそのまま、近寄って来てセルゲイの横に座った。

カウンター席なので、すぐ酒を注文し、一口飲んだ。


「私は誇り高きマッカレル家の生まれ、この程度では折れはせん!!」

「おっ!聞いたか?ヒデキ!貴族のお坊ちゃんでも、厳しく育てられたほうだったぜ!」

「当たり前だ!!身分だけで、王国騎士団の大隊長になれる訳がなかろう!!」

「その通りですね」

「昨日の呆けた面を見たら、そう思われても仕方がないだろうが!」


セルゲイが酒を飲み干し、言い返す。

ダミアンはしかめ面をして、さらに言い返した。


「昨日は少し気が動転しただけだ」

「ああ、そうかよ!で、今日は何の用だ?こんな安酒屋まで出向いて?」

「昨日の礼と謝罪に来た。ヒデキ殿には失礼な口を聞き大変失礼をしまた。貴殿の忠告を聞いてさえいれば、部下を失わずに済んだのです。重ね重ね非礼をお詫びいたします」


ダミアンは椅子から立ち上がり、深々と頭を下げた。

言葉使いも、いきなり丁寧になっている。


「セルゲイ殿にはお礼を申し上げる。私の他、王国騎士団の所有馬まで帰還させていただき感謝の言葉もありませぬ」

「気にするな、誰かがやる事を俺がやっただけだ」


セルゲイが珍しく優しい言葉を使っている。

俺も続けた。


「部下の方々は残念でした。力ずくでも止めていれば・・・」

「そんな事をすれば、反逆罪で死刑になります。私の判断ミスなので、ヒデキ殿は気に病む必要はありません」

「ですが、人の命が・・・」

「皆、王国騎士団に入団したからには、覚悟はできていたのです。部下の家族には、私が報告し、謝罪と賠償をいたします」


昨日は傲慢で、ただのプライドだけが高い貴族だと思ったが、普通に話せば良い人だ。

ダミアンなんて悪魔っぽい名前なのに・・・名前は関係ないか・・・

やはり、王国騎士団の大隊長までなった人だ。

一角の人物なのだろう。


「そうか、部下の家族に謝罪と賠償をな・・・じゃあ、明日にでも帰還するのかい?」


セルゲイの問いかけに、ダミアンは首を大きく横に振った。


「いいえ!このままでは帰れません!!なんとしてもあの魔族に一矢報いたい!ヒデキ殿!エバートン殿にあの魔族を破る算段があると言うのは、本当ですか?」

「ええ、俺と二人で戦術を練りました。今度はベリアルに一泡吹かせてやりますよ!!」

「それです!あんな口をきいてしまい、お腹立ちでしょうが、是非私もダンジョン攻略メンバーに加えていただけないでしょうか?どうか!なにとぞ!どうか!」


ダミアンはその場で、土下座をした。

ああ、土下座ってこの世界でもあるのか?まあ人間が者を頼む時、だいたいは頭を下げる。

低姿勢になる。

それがとことん突き詰められると、土下座になる訳だ。


「ダミアンさん、いや様」

「どうか呼び捨てで!!」

「さすがにそれは・・・ダミアンさん、立って下さい。エバートン参謀が言ってました。このダンジョンはベリアルと対峙したもの意外は、戦えない・・・と。ですから、ダミアンさんも闘う資格があるのです!!」


「本当ですか?」


ダミアンは土下座したまま、顔だけ上げた。


「ええ、ですから、食事が終わったら、エバートン参謀の所へ行きましょう。さあ立って、座って下さい」

「ありがとう、ありがとう・・・これで、部下の無念が晴らせます」


ダミアンは涙をぼろぼろ流して、泣いていた。

セルゲイはそんなダミアンをまじまじと見て、


「お前、良い奴だったんだな・・・」


ぼそりと言った。

食事の後、セルゲイはダミアンを気に入り酒に誘ったが、ダミアンは断って、エバートン参謀の屋敷にやってきた。


「ダミアン大隊長殿、ようこそいらっしゃいました」

「昨日は無礼な口を利いてしまい、まことに・・」

「お気になさらず!」


エバートンは魔法陣を書いている最中だった。

ダミアンは、さすがに土下座はしなかったが、頭を深く垂れて言った。


「お願いします。私に部下達の敵を取る機会チャンスを!どうか、今度のダンジョン攻略のメンバーの端に加えてください。謹んでお願い申し上げます!!」

「ダミアン殿は魔道剣士・・・端ではなく、どうか中心の一人になって参戦していただけますか?私の魔法陣、戦術を駆使して、必ず魔族を倒します」

「おお!では!」


ダミアンは歓喜の声を上げ、エバートンを見た。


「これから打ち合わせをしたいのですが、お茶でも飲みながらどうですか?」

「ぜひ!!」


□ □ □


珍しくクロエが全員のお茶を用意してくれた。

エバートンが上座に座り、右手に俺とエリー、左手にダミアンが座った。


「ダミアン殿、1つお願いがあるのですが・・・」

「はい、何でしょうか?」


お茶を飲み、カップを皿に置き、ダミアンは返事した。


「王都への報告ですが、9日後のダンジョン攻略を終えてからにしていただけないでしょうか?」

「それは何故でしょう?」

「ダンジョン攻略の邪魔をしてもらいたくないのです。私の書いた魔法陣と戦術、ヒデキ殿の特定魔法を駆使し、戦力に全くの無駄のないメンバーで闘います」

「ヒデキ殿よりお聞きしております」

「ベリアルの実力は口で聞いても信じないのは、ダミアン殿自身、体験済みのはず」

「はい・・・」


ダミアンは俯いて、元気なく肯定した。


「ダンジョン第3階層で、あの魔族の実力・・・誰が想像つきますか?ダンジョン攻略のための、人数が増えても犠牲が増えるだけです。だから王都へは連絡を遅らせ、攻略が終わってから、全てを報告していただきたいのです」


ダミアンは暫く無言で俯いていた。

自分の判断で、王国騎士団大隊を全滅させてしまった。

部下の家族には、早く知らせて謝罪もしたい。

しかし、王都に今報告すれば、再び増援が来るだろう。

大隊が来て、知識もなしに忠告も聞かずダンジョンに入り、犠牲になる。

火を見るよりも明らかだ。

ダミアンは顔を挙げ、しっかりとエバートンを見た。


「分りました。王国騎士団は未だダンジョンを攻略中と報告をしておきます」

「ご協力ありがとうございます。ではダミアン殿の実力を検証し、戦力としての検討を始めましょう」

「はい、よろしくお願いします」


長い夜になりそうだ。

俺とエリー、クロエは先に休ませてもらおう。



人間一度叩かれると謙虚になります。

今日は、なんとかプロットの吸っとくを増やさないと・・・

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