王国騎士団壊滅
皆様の予想通りです
エバートンのマッジクアイテム『観察眼』によって、王国騎士団大隊長ダミアンの鎧を通してダンジョンの様子を見ることができた。
丁度1階層を突破するところだった。
「さすが王国騎士団様だ、攻略に無駄がないな」
セルゲイが皮肉混じりに言った。
実際に第1階層ボスのヴァンパイヤを魔法一発で消し去り、サイクロプスとグリフォンもあっと言う間に切り刻まれている。
第2階層の領域ボスキマイラもボスのグレーターデーモンさえ、簡単に突破してしまった。
第3階層は転移魔法陣ですぐにボス部屋だ。
魔物溜まりは俺達が始末したので、すぐにボス戦の開始となる。
何故か3体の僕は再生していなかった。
玉座に座るベリアルは余裕の表情だ。
王国騎士団の魔法攻撃が連続で放たれ、ベリアルに向かうが、前回同様にぶつかる寸前で全て消滅する。
「なにい!!」
ダミアンの驚愕の声が聞こえた。
音声も聞こえるのか・・・凄いマジックアイテムだな。
何人かの騎士達がベリアルに剣を振るったが、素通りして玉座にぶつかった。
「馬鹿な!!」
王国騎士団の誰かが叫ぶ。
「あなたがた武器や防具は立派ですが、前回やって来た方々から私の情報は聞かなかったのですか?前回見逃してあげた意味がありませんね。がっかりです」
ベリアルがため息をつきながら、話した。
その間も王国騎士団の魔法攻撃がベリアルを襲うが、全て無効化されている。
ベリアルはやれやれという感じで肩をすくめた。
「これでは何の参考にもなりませんな。ベリアルが前回同様見逃してくれれば、彼らの大半は生還できるでしょうが・・・そうそう見逃してくれるかどうか?」
「おや、あなたの鎧・・・ははあ・・・なるほどなるほど・・・」
「何がなるほどだ!?」
ダミアンの怒鳴り声。
「こちらに気付きました」
エバートンが解説する。
「私の力が見たかったのですね?では、大サービスに一部をお見せしましょう」
ベリアルは立ち上がり、右手を軽く振った。
ダミアンの視線が横に移り、左横の騎士達が見える。
一瞬だけ光り、10名以上の騎士がガラスのように・・・いや、ガラスになった。
何故ガラスと分かったのか?・・・バランスが崩れて倒れ、ばらばらに砕け散ってしまったからだ。
「続けてもう1つ・・・よく見ているように!」
にっこりと笑い、今度は左手を指揮者のように振るベリアル。
今度はダミアンの視線が右横に移った。
「そ、そんな・・・」
騎士団は綺麗に圧殺される。
いや、圧殺と言うのは生ぬるい・・・プレス機でアルミ缶を潰したようになっていた。
「ばかな・・・我が誇り高き王国騎士団が一瞬で壊滅だと・・・」
「あなた、ここに来る前に私の事で警告を受けたのではありませんか?それとも真直ぐにここに来てしまいましたか?」
ベリアルが首を傾げながら質問する。
場面が小刻みに揺れているのは、ダミアンが震えているからだろう。
圧倒的な力の差・・・俺達が前回味わったのと同じだ。
「どうやら、情報はもらっていたみたいですね・・・それを軽く考えたのは、王国騎士団と言うプライドからですか?」
「貴様ぁー!!」
ダミアンが叫ぶと同時に、ベリアルに落雷が直撃した。
「当たった!?」
エバートンが思わず呟いた。
ベリアルは平然と、スーツの埃をはらっている。
「あなたは魔道騎士でしたか・・・さしずめ今の攻撃が奥の手ですか?少しだけ驚きました・・・」
魔法も使えて、剣も使えるとか、以外にハイスペックだったのだな・・・ダミアン君。
「御礼と言ってはなんですが、一度帰って再挑戦する権利を差し上げましょう。情報を持ってブルネルに戻り、あちらの参謀とよく相談して、戦力を整えて、今一度挑戦して下さい」
ガクンと視点が下がった。
ダミアンが膝をついてしまったらしい。
完全に心が折れたな。
「もうお引取り願って結構ですよ・・・もしかして動けませんか?それではサービスで、表までお送りして差し上げましょう」
にこりと笑い、ベリアルはこちらを見て言った。
「エバートン殿、どうですか?参考になりましたか?今度闘える時を楽しみにしておりますよ」
画面が光ったと思うと、ダンジョンの外の画像に切り替わっていた。
外になったのは良いが、画面はまったく動かない。
つまりダミアンは固まったままだ。
凶兆のダミアン君は神に敗れるまで、連勝だったが、こっちのダミアン君は、いきなり惨敗だ。
動けなくなるのも無理はない。
「おいおい、こいつずっとこのままじゃないのか?ほっておくと魔物や獣に襲われるぞ」
セルゲイがまともなことを言っているが、全然心配している風ではない。
「オリハルコンのフルプレートを纏っていますから、そうそうは殺されることはないでしょうが・・・」
「オリハルコンかよ、贅沢だな!王国騎士団様は・・・ん、ってことは・・・ダンジョンで壊されたり、潰されたりした連中の装備もオリハルコンだったのか・・・もったいねぇ!」
「セルゲイ!不謹慎ですよ!!」
エルザがセルゲイを窘めた。
「すまん、ついな・・・反省ついでに、俺達が王国騎士団の馬達と隊長どのを迎えに行ってくるぜ。かまわないか?ガウラン辺境伯殿?」
「許可する!!言って来いセルゲイ!!」
「おうさ!おめえら行くぞ!!」
パワーボムがぞろぞろと退出した。
止まっている画像を切り、エバートンが感想を話しだす。
「王国騎士団は全く役に立ちませんでしたが、ベリアルの性格のおかげで、実力の一端が分りました。今後の戦術に役立てられそうです」
「王国騎士団は再度増援を要請するか?」
「いえ、今回ではっきり分りました。あのダンジョンは一度経験しないと、誰も信じる事はないでしょう」
「まあそうだろうな」
ガウラン辺境伯が鷹揚に頷いた。
「前回のメンバーに、ダミアン殿は参加の意志があれば参加していただく形で良いと思います」
「勝てるのか?」
「勝てます!!私の戦術にメンバーの装備の底上げ、少なくとも10階層の突破は可能なはずです!!」
「ほう、そこまで戦力を上げられるのか?」
「はい、前回の10倍には上げられます!!」
エバートンは自信満々に言った。
「エバートン、貴殿がそこまで自信満々なのは珍しいな。秘策でもあるのか」
「秘策ではありませんが、ヒデキ殿の協力で、数多くの魔法陣を開発いたしました」
「なるほど、それが自信の根拠か?」
「それだけではなく、ヒデキ殿と検証を重ね、様々な戦術も練りました。前回のような無様な敗退はいたしません」
珍しくエバートンが拳を握り締めた。
「うむ、次回の戦闘で必要な物はあるか?」
「ヒデキ殿も要望を出されていましたが、魔力回復ポーションが大量に必要です。今回は魔法陣を多数使いますので、魔術師達の負担が膨大になります」
「失礼!!剣士や戦士の出番はあまりないのですか?」
アイオロスが横から聞いてきた。
「いいえ、攻撃に魔力を乗せますので、前衛の方々もかなりの魔力を消費します。端的に言えば、敵とこちらの魔力の総量が勝敗を分けると思います」
「ならば、用意できるだけのポーションを用意しよう。王都から取り寄せるのは時間がかかる。魔道都市ベルンから、大量に買い付けるように手配しておこう。他にはあるか?」
「後はダンジョン攻略を10日後にしておりますが、一日前に全員に集まっていただきます」
「作戦会議か?」
「いいえ、戦術はその場での臨機応変な対応が必要です」
「それでは何が目的だ?」
ガウラン辺境伯がエバートンに聞いた。
「メンバー全員の武器の強化、マジックアイテムの配布と魔法陣の配布。その使い方を説明いします」
「「武器の強化?」」
アイオロスとサラサが、ハモりながら聞いた。
「はい、現在皆が使っている武器を強化します」
「どのような?魔力を乗っけるのですか?」
「ある意味そうです。戦力底上げの一環とご理解下さい」
「承知いたしました」
「それでは、今日は解散とする!!」
ガウラン辺境伯の鶴の一声で、今日の会議は終わった。
そろそろ本格的な攻略です




