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王国騎士団

そろそろ戦闘へと話は進みます。

俺が誕生させたメイドさんの能力は、自動人形のメイドさんと全く同じ能力だった。

力も魔力も寸部狂わず同じなのだ。

エバートンは知力も検証して、全く同等だと結論付け、検証を終えた。


メイドさんは、俺の側にいて命令を待っている。


「ヒデキ様、この子に名前を付けてあげましょう。名前がないと不便です」

「そう言えばそうだな・・・クロエ・・・君の名前はクロエで・・・いいか?」

「畏まりました、ご主人様」


黒いメイドだから・・・とか思っている諸君。

クロエは立派なギリシャの女性名だ。

昔、人名事典で見た事があったのを思い出したのだ。


「ヒデキ殿、私はこれより対魔族用の魔法陣を組始めます。夕食の時間になるまで、この部屋で魔法陣の検証をされてかまいません。必要な魔法陣があれば、おっしゃって下さい、すぐに用意いたします」

「わかりました。ムカイから譲ってもらって、まだ検証していない魔法陣の検証を始めます」

「魔力回復ポーションは自由にお使い下さい。足りなくなれば、すぐに補充させますから・・・それとこの指輪を・・・ダミーを作れますので使って下さい」


エバートンは指輪を1つ取り出し、俺に渡してくれた。


「ありがとうございます」


俺とエリー、それにクロエにも協力してもらい、魔法陣の検証を始めた。

夕食の時間になり昼食を取った部屋に行って、エバートンと戦術の検討をしながら夕食を取った。

クロエの分もちゃんと用意してあった。

エバートンと戦術の話をしていて、召還魔法陣について分ったことがある。

召還魔法陣は1体しか召還できず、複数の同じ魔法陣があっても、一定の範囲では、最初に発動した魔法陣しか召還できないそうだ。

一定の範囲とはかなり広範囲で、ブルネル地方全域ぐらいだと、エバートンは教えてくれた。

夕食が終わり、深夜まで魔法陣の検証を続け、エバートンが用意してくれた客間で就寝した。

ちゃんと3人分のベッドが用意してあり、クロエもメイド服を脱ぎベッドに入った。


「明日、クロエの分の服と肌着を買いに行ってやろう」

「私がクロエと買いに行きます」


エリーが何故か張り切っている。

さすがに、今日は疲労困憊で、エロい事はなしで眠りについた。


朝食を取り、エリーがクロエと買い物に行くと言い出した。

昨晩言ったことを早速実行しようと言うわけだ。


「ついでに宿から荷物を引き払い、こちらに居を移されてはいかがですか?ダンジョン攻略まで、ここで訓練や戦術の検証が出来ますよ。アイテムもヒデキ殿、エリー殿にあわせた物を用意できます。どうでしょうか?」


俺はエリーを見た。

念話で何か言ってくるかと思ったが、エリーは即答した。


「ヒデキ様、今度の戦いでは万全を期して臨まねばなりません。準備を整えるのに、ここほど適した場所はありません。エバートン様の好意に甘えさせていただきましょう」

「そうだな・・・ではエバートン参謀、これからダンジョン攻略までよろしくお願いします」

「歓迎します。お互いの世界の知識を教えあいましょう」


エリーを檻に閉じ込めていた悪人・・・というイメージは完全に払拭されていた。

エバートンは魔族を滅ぼす目的のために、全力を尽くしている。

エリーの件も、その一環だったのだろう。


エリーとクロエが宿を引き払い、買い物に出かけた後、エバートンはこの世界の文字を教えてくれた。

俺がエバートンにカタカナを教えたら、それにあわせたこちらの文字の対比表を作ってくれたのだ。

これで少しは文字が書けるようになるだろう。

エリーとクロエが買い物から戻って来て、客間のクローゼットに荷物を運んだ。

軽装にして、昨日の部屋に移動する。

魔法陣の検証を続けた。


クロエはメイド部屋に移り、俺とエリー付きのメイドとして働いている。

夜はエリーと二人なので、色々と・・・である。


魔法陣の検証、フォルダの整理、エバートンが組んだ術式の新しい魔法陣の記録、戦術の検討。

数日が過ぎ、ガウラン辺境伯から、召集がかかった。

王国騎士団が到着したらしい。

エバートン、俺、エリーも含めて、王国騎士団に現状の説明と作戦の説明をしなければならないらしい。

朝食を終え、装備を整えてガウラン辺境伯の屋敷へ向かう。

屋敷に入り、会議室に入ると、ガウラン辺境伯、アイオロス、サラサ、デトレフさん、やたらとプライドの高そうな男が既に席についていた。

金髪碧眼の美男子だ。

やたらと高そうな甲冑を身に着けている。

オリハルコンかな?


「エバートン、冒険者ヒデキ、エリー、参上いたしました」

「うむ、こちらは、王国騎士団大隊長ダミアン・マー・マッカレル殿だ」


紹介された男は軽く頭を下げた。

貴族か・・・身体のどこかに666の痣が・・・ないだろうな?


「ダミアン殿にはデトレフから、先日の概要は説明してある。エバートンは今後の作戦を述べよ」

「はっ、冒険者チームは待たずとも・・・」

「よい、まだ戦略は完成しておらぬのであろう?今日は作戦の概要と、決行日の説明を・・・」

「無用です!!」


ダミアンが慇懃に言い放った。

おお!666の男は偉そうだ!将来大統領にでもなって、世界制服を企み、神に滅ぼされるのではなかろうか?


「無用とな?」


ガウラン辺境伯が聞き返す。


「我が王国騎士団大隊は、たかだか魔族には負けん!!このままダンジョン攻略に向かい、ダンジョンを叩き潰すのみ!!」


あー・・・これはあれだ・・・でかい口叩いた挙句に全滅するパターンだ。

一応止めて見るか・・・無駄な気もするが。


「第3階層で既に上位魔族がボスですよ。しかもそのボスに死者9名、S級の実力を持つ者が・・・です。さらに魔族は実力の10分の1も出していなかったです」

「貴様、誰に向かってそんな口をきいている!!」

「王国騎士団大隊長ダミアン殿にですが、何か問題が?」


ダミアンにだよ!!この凶兆オーメン野郎!!

と、心の中で叫ぶ。


「たかだか冒険者風情が、偉そうに指図をするな!!」


これは無理だ。


「それではダミアン殿率いる王国騎士団大隊は、我々と共闘を組む意思はないと、言われるのですね?」


エバートンが穏やかな口調で、ダミアンに尋ねた。


「当然である!!誇り高き王国騎士団は、このような田舎騎士団や冒険者とは共闘はしない!!」

「ふむ、となれば王国騎士団との共闘なしでの作戦を練り直す必要がありますね」

「可能か?エバートン?」

「問題ありません、ヒデキ殿のおかげで、戦力は大幅に底上げ可能になりました。親衛隊、私設騎士団、冒険者チームのみでも、対等に闘えると断言いたします」

「ならば、良い!我が所領でのダンジョン、こちらで対処してしまえば問題あるまい」


ダミアンを無視して、ガウラン辺境伯とエバートンが会話している。

これは地味にダミアンを刺激しているのでは?


「誇り高き我王国騎士団を愚弄するな!!」


拳をぶるぶる震わせながら、ダミアンが怒鳴る。

ほら、やっぱり怒っていらっしゃる。


「おう、ダミアン殿、まだおったのか?共闘しないとなれば、好きにすれば良い。王国にはこちらから、知らせておくでな」


ガウラン辺境伯が、あっさりと言ってしまった。


「失礼する!!ダンジョン攻略の知らせを受けて、己の無能を知るが良い!!」


つかつかと、部屋から出てゆき、ダミアンは思いっきり扉を閉めた。

やはりこうなったか・・・


「煩い奴だったな。奴に率いられて無駄死にする大隊が気の毒ではあるな」

「ベリアルの実力が多少は分るかも知れません。丁度良いので彼の鎧に観察眼をつけておきました」

「エバートンは抜け目がないのう。では暫くしてから、ここで見ることにしよう。その間に食事の準備でもさせて・・・そうだ冒険者チームも呼んでおけ」


ガウラン辺境伯がヘンドリクに指示を出した。

食事がすぐに用意され、食後のお茶を飲んでいると、シルバー・ファング、パワーボム、ゴールド・エクリプスの面々がやって来た。


「さて、皆さん、王国騎士団大隊がレイト村ダンジョンに挑みます。隊長の鎧に観察眼をつけたので、戦いぶりを皆で見て、後日、決戦のための参考にしましょう」


エバートンが右手親指の指輪を翳すと、テーブル中央に映画のスクリーンのように画像が浮かび上がった。





プライド高すぎる奴は、人の話聞かないですね。

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