検証
今日は珍しく休みなので、昼に投稿します。
ムカイを送ってから、宿に戻った。
「ヒデキ様、お疲れ様です」
「ああ、まさか俺以外に、こちらへ来ていた人がいたとは・・・」
「驚きましたね」
「うん、いい人で助かったよ」
「王国騎士団の大魔術師・・・ムカイ様。凄い人だったのですね」
「これがあれば、俺もそうなれるわけだ・・・なる気はないが・・・」
俺はムカイから譲り受けた魔方陣のフォルダを見ていた。
炎、水、土、風、治癒、闇、浄化、結界のフォルダに加え、未発動、欠如のフォルダがあった。
フォルダを1つずつ見てゆく。
発動可能フォルダは、それぞれ、C-1、C-2、C-3、B-1、B-2、B-3、A-1、A-2、A-3、S-1、S-2、S-3、と書いたアイコンが並んでいた。
下級、中級、上級、S級魔法が3つずつと言う意味だろう。
未発動と書いたフォルダの中には16個、欠如と書かれたフォルダの中には、なんと50個もアイコンが入っていた。
未発動はムカイさんが魔力不足で発動しなかった魔方陣。
これが16個、全てS級の大魔法に違いない。
これが発動できれば・・・俺は王国騎士団元大魔術師・ムカイを超えることができるのだ。
明日、ガウラン辺境伯への報告が終了したら・・・いや、朝起きたら街の外に出て、安全な場所で、試してみよう。
「エリー!明日、朝食を終えたら、魔法を確認のために、街の外へ行くぞ」
「はい!ヒデキ様」
「と、言う訳だから、今日は、早く寝るぞ」
「は・・・と言うと今日は?」
「悪いがなしだ」
「えぇぇぇ・・・では、せめてご一緒に寝ても?」
「構わないが、挑発はなしで頼む」
「はい、残念ですが、明日は大事ですものね?」
「そうだ!」
俺はローブと上下を脱ぎ、下着になってベッドに潜りこんだ。
エリーは俺のローブと自分のローブ上着をクローゼットに入れて、下着になる。
俺のベッドに潜り込み、俺の背中に胸を押し付けて眠り始めた。
エリーの狙いは明確だったが、今夜は乗らないで寝ることが出来た。
よほど疲れていたのだろう、夢を見ることなく、朝まで熟睡した。
目覚めた時、エリーは胸をはだけ、豊満な胸を晒して、何故か全裸で俺の前に回りこんでいた。
エリーの額にキスをして、起きた。
「エリー、朝食に行くぞ。寝たふりしていないで、起きろ!!」
エリーは一瞬びくっとなって、目を開けた。
「おはようございます。ヒデキ様」
「おはようエリー、朝食後街の外へ出て、実験をするぞ」
「はい、ヒデキ様!!」
俺の声が緊張感を伴っていたからだろう、すぐに起きて下着を着け始めた。
ローブを纏い、1階に降りて、朝食を取った。
パンとスープに果物。
モーニングセットと言ったところか?
朝食は宿泊費に含まれているそうなので、ガウラン持ちだった。
早々に食べ終わり、冒険者ギルドに向かった。
金貨を5枚下ろし、強力な魔法の実験が出来る場所が近くにあるか、聞いてみた。
驚いた事に、冒険者ギルドの裏が修練場になっていて、誰でも使用可能だそうだ。
富国強兵か・・・さすがガウラン辺境伯。
すぐさま裏手に回ってみると、そこにはダンジョンで見たコロシアムの10倍以上の闘技場が建っていた。
入り口に行って、冒険者カードを見せると、すぐに魔術使用の修練場に案内された。
そこはダンジョン見たぐらいの広さのコロシアムだった。
つまり、どでかいコロシアムに、いくつものコロシアムが入っている建物なのだろう。
俺とエリーはその1つにいる。
周りは多重結界が張り巡らされ、外に魔法の被害が及ばないようにしてあった。
「それでは、未発動魔方陣を発動させてみる。エリーと俺で半分ずつ発動させる」
「畏まりました!!」
修練用の空間なので、巻き藁が大量に置いてある。
中央に1つ置いて、狙いを定め、未発動魔方陣の1個目に魔力を送った。
ごっそりと魔力を持っていかれる。
エバートンの複合魔方陣を使った時の感覚を、もっと派手にした感じだ。
巻き藁は一挙に燃え上がり・・・巨大な炎となった。
その炎は巨人の形となり消えずに立っている。
炎のゴーレムと言う表現が一番正確だろう。
「ヒデキ様、あれは何ですか?」
「わからんが・・・右手を挙げろ!」
俺が叫ぶと、巨人は向かって左の手を上げた。
つまりこの巨人はこちらを向いている。
しかも俺の命令に従うようだ。
「命令は終わりだ、消えろ!」
俺の言葉と同時に巨人は消えた。
一個目のアイコンに『ファイヤーゴーレム』とネーミングした。
次の巻き藁を置き、エリーに2個目の魔方陣に魔力を送ってもらった。
巻き藁は一瞬閃光を放ち、消えた。
「え!?これだけ?」
「ヒ、ヒデキ様・・・」
「どうした?エリー?魔力を使いすぎたか?ポーションを飲むか?」
「いいえ、確かに魔力をかなり使いましたが・・・それよりも、この魔法・・・凄いです。巻き藁が一瞬で消滅しました・・・」
「消滅?蒸発して気体になったのではないのか?」
「はい、チリも、気体さえも残っていません。燃え尽きてこの世界から完全に消滅しました」
「・・・そうか・・・」
俺はアイコンに『スーパーノヴァ』とネーミングした。
一応炎系の名前にしたが、闇系かも知れない。
この世界から存在を消しさる魔法なんて、完全にエネルギー保存の法則を無視している。
さて次だ。
俺は同じ手順で3個目の魔方陣に魔力を送った。
巻き藁に氷の塊が集まり、氷の巨人が出来上がった。
これは分り易い。
『フロストジャイアント』にした。
巨人に消えろと命令すると、巻き藁ごと砕け散った。
エリーに4個目のアイコンに魔力を送ってもらう。
「ヒデキ様・・・狙いがつけられません。攻撃魔法ではないようです」
「ヒーリング系か?」
「そんな感じではないようです。もう少し魔力を送ってみます」
数秒後に巻き藁の横に、人ぐらいの大きさの影が現れた。
その影はだんだんとはっきりしてゆき・・・エリーそっくりになった。
服もエリーが今着ているものと同じだ。
「ヒデキ様、私、エリーです」
巻き藁の横に立っているエリーが俺に語りかけた。
俺は横にいるエリーを見ると、ぼうっと立っている。
「おい、エリー!どうなっている?」
隣のエリーがはっとしてこちらを見た。
正面のエリーを見ると、ぼうっとしている。
なるほど・・・仕組みは理解したぞ。
隣のエリーに話しかける。
「エリー、あっちのエリーになった時、魔法は使えるのか?」
「は、はい、やって見ます」
正面のエリーが再び動き出し、巻き藁から距離をとって・・・ファイヤー・キャノンをぶつけ、巻き藁を一瞬で灰にした。
「使えます!魔力は・・・」
「多めに魔力を使いますが」
複製エリーの言葉を、オリジナルエリーが途中から続けた。
「消せるか?」
「それは簡単です・・・消えろ!!」
オリジナルエリーの言葉と同時に、複製エリーは跡形も無く消えた。
俺に狙いを定め魔力を送ってもらうと、俺の分身が出現して同じ事ができた。
狙いがなければ、自分の、狙いがあれば狙った者の分身を作る魔法か・・・
『ドッペルゲンガー』と名付ける。
2個目と4個目の魔法は、単なるS級じゃない気がする。
さて次だ!次。
5個目の魔方陣を発動した。
何も起こらない?
何かが出現する訳でもない?
はずれだったか?
「ヒ、ヒデキ様!!どこですか?」
「!?ここにいるぞ!!」
「全く見えません?」
「ここだ、ここだ」
エリーの髪を撫でてやる。
「!?」
エリーは俺がいるだろう場所に手を伸ばした。
「!?」
「ヒデキ様、そこにいらっしゃるのですか?触っている感触がありません!!」
俺は自分の姿もちゃんと見えている。
エリーの手が俺の中にめり込んでいた。
しかし、全くその感覚はない。
俺はここにいるように念じてみた。
「あ、ヒデキ様!!」
『不可視』と名付けた。
6個目はエリーの番だ。
巻き藁の見た目・・・質感が変わった。
近付いて触ってみたら、石になっていた。
「エリー、金と念じて見ろ」
「はい!!」
石の巻き藁が金色になっていた。
なるほど・・・
『元素変換』と名付けた。
7個目の魔方陣に魔力を込める、眩暈がして来た。
俺の魔力量では、四個が限界か?
巻き藁が一瞬光った。
その光が薄く巻き藁の形に覆っているのが分る。
こいつは、後で実験だ。
『シールド』と仮に名付けた。
「エリー、俺は4個目で限界だ。エリーは4個めどうだ?」
「やってみます・・・私も4個が限界みたいです・・・」
「エリーは分身を二つ作ったから、5個だな」
エリーが魔力を込める。
ピンポン玉くらいの大きさの毛玉が現れた。
「・・・なんだ?これ?」
「何でしょう?」
二人で見ていたら、その毛玉が急にぴょんぴょん跳ねて、こちらにやって来て、エリーの肩に乗った。
「生き物?召還魔方陣だったのか?」
「何か可愛いです」
「エリー、消せるか?」
「ヒデキ様、可愛そうです!・・・どちらにせよ消えません!!」
「分った・・・よし!魔力回復ポーション飲んで、次行くぞ」
「はい!!」
『毛玉』と名付けた。
しばらく戦いはありません。
せっかく昼に投稿できたので、プロットを書き溜めします。




