魔法陣
プロットはだいたい800から900文字で書いています。
投稿する際に、そのプロットを3000文字以上にして、投稿するのですが、時々苦戦して何時間もかかる場合があります。投稿時間が遅い場合は苦戦したのだと、思って下さい。
植物系魔物の群れが、焼け野原をじりじりと迫って来る。
エリーは力尽きて倒れていた。
ここまで頑張ってくれたエリーのためにも、此処からは、俺がやらねばならない。
俺は、さっき撮ったエリーの魔方陣の写真をスマホの画面に出した。
そして、そのままスマホを地面に置いた。
俺は深呼吸をして、跪いて、スマホに手を置いた。
「これでうまく行かなければ、御免なさい!だ!」
魔方陣に魔力を込める・・・込める・・・こめる?
あれ?魔法が発動しない!?
冷汗が流れる。
「ノーマ、魔力って、どうやって込めるんだ?」
「何をやっているの?あなた素人なんだから、呪文を詠唱しなさいよ!!」
「そうか!!呪文を教えてくれ!!」
「いい、私に続けて!『炎の精霊よ!我が真名を糧としてこの身に宿れ!その力を顕現せよ!』」
「炎の精霊よ!我が真名糧としてこの身に宿れ!その力を顕現せよ!」
『ファイヤー・キャノン』
「ファイヤー・キャノン!!」
地面に置いたスマホから、ありえない光が迸る!!
一気に気力体力が持っていかれる。
これが魔力を使う感覚か・・・
空中に火の玉が現れ、凄まじいスピードで魔物の群れにぶつかり爆発した!
近付いて来ていた魔物達が一気に燃え上がる。
エリーのファイヤー・ブレスはないが、このファイヤー・キャノンだけでも、かなりの威力があった。
「おー、やるねえ、こんな魔方陣の使い方があるとはね」
「どんどん行くぞ!!」
「いい、少しずつ、詠唱を省略していくのよ!そのうち詠唱がいらなくなるからね」
「分かった、やってみる」
いつもはグータラしていて、憎まれ口や、冗談しか言わないノーマが的確なアドバイスをくれた。
俺は逆方向に向き、スマホを置き直す。
『炎の精霊よ!我が真名を糧として、その力を顕現せよ!ファイヤー・キャノン』
また魔力がぐっと減るが、火の玉が魔物に向かって行く。
魔物達は退くことは一切しない。
炎が魔物に直撃し再び燃え上がる。
俺はぐるぐると回りながら、ファイヤー・キャノンを連発していった。
魔物の数は、見た目でも分かる程に減少して行く。
当然魔物の進行速度は遅く、魔物との距離は遠くなり、直接の脅威はなくなっていった。
スマホも手で持っているだけで良い様になり、かなり作業工程が単純化された。
いちいち置き直す必要がないので、効率がグンと良くなる。
その場で回れ右するだけで、OKだからだ。
それに伴って、俺の魔力は激減して行った。
『ファイヤー・キャノン』
叫ぶだけで、魔法が発動するようになる頃には、俺は立つことが出来なくなっていた。
頭がくらくらして、まるで悪酔いしているようだ。
これが魔力切れの症状なのだろう。
樹海の木々が燃えてなくなり、直径100メートルくらいの広場に朝日が差し込んでいた。
残る魔物は、数十体、だが、ばらばらに散っていて、一発では倒せない。
「ノーマ、俺は多分あと一発で倒れる、残りの魔物なんとかなるか?」
「まかせなさい、休ませてもらったおかげで、魔力も多少回復したわ。これくらいの数ならウインド・カッターで、一匹ずつ倒せるわ!安心して倒れて良いわよ!」
ノーマが自信満々に俺を見た。
「おお!本当か!じゃあ遠慮なく・・・」
俺は4つんばいになりながら、方向転換した。
散らばっている魔物達の中で、一番固まっている所を選んで、無詠唱でファイヤー・キャノンをぶっ放した。
目の前が暗くなる。
「ノーマ、後は頼んだぞ・・・・」
「ヒデキ、良くやったわ、後は私がどんな事をしても、守ってあげるからね」
ノーマの言葉を聞きながら、俺は突っ伏して、意識を手放した。
□ □ □
「ヒデキ様!ヒデキ様!」
声が聞こえる。
心地よい声だ。
短い夢を見ていた気がする。
頭の部分が心地よい。
目が覚めた時、またエリーの膝枕で寝ていた。
もちろん恵理子バージョンのエリーだ。
「ヒデキ様、ご気分はいかがですか?」
エリーが俺に微笑みかけた。
「エリーの膝枕で目覚めたのだから、最高の気分だよ」
「ヒデキ様、私達を救って下さって、有難う御座います」
「お礼を言うのは俺のほうだ。お前達だけなら逃げられたのに、俺を見捨てなかったエリーとノーマに感謝するよ!いや感謝なんて言葉じゃ言い表せない」
「いいえ!私にはヒデキ様を見捨てる選択肢等ありえません」
「分かったよ、エリー。本当に有難う。それに・・・ノーマは何処だ?」
俺はエリーの膝枕から上半身を起こして辺りを見回した。
見事な円形の広場が広がっていた。
ちょっとした森林キャンプ場みたいだ。
日光を遮っていた樹海の木々は綺麗に燃え尽き、日光が天頂に輝いていた。
俺は眩しさに目を細めながら、ノーマを探した。
「おはよー、目が覚めた?」
ノーマは、俺のショルダーバッグの上で休んでいた。
珍しくちょこんと座ってこちらを正面から見ている。
「謙遜しなくていいわよ。あなたのおかげで、みんなが助かった。もしあなたを見捨てて助かっていたら、こんな気分の良い朝は迎えられなかったわ。一生心に傷が残っていたかも知れない」
「そんな大げさな」
「いいえ、ヒデキ様が死んでいたら、私は後を追っていました」
エリーが拳を握り締めて力説した。
ぷるぷると震える仕草が可愛い。
「分かったよ、俺が気を失ってからどうしたのか教えてくれるか?」
「別に・・・残った魔物達を、チマチマとウインドカッターとアイス・ピラーとストーン・キャノンで倒していっただけよ」
よく見れば、広場の外周近くに植物系魔物達の残骸が散乱していた。
かなりの数だ。
「ノーマ、お前、かなり無理したんじゃないのか?そんな属性の違う魔法を3つも使ってしまって?」
「ん?別に、大丈夫だったよ、後から来た魔物は小物ばかりだったから、雑魚よ雑魚!!」
ノーマの態度が少し変だ。
いつもなら自慢げに思い切り胸を張るはずだ。
「ノーマ、立ち上がって、背中見せてくれないか?」
「エッ!?なあに?私のお尻見たいの?嫌よ!イヤラシイ!」
ノーマは、まるで悪戯が見つかった時の子供のようにビクッとした。
やはり何か隠しているな!
「いつもおっぱい見せている人が何言っているんだ?いいから、後ろ向いて!!」
「嫌!!」
「ノーマ、どうせ、いずればれるのです。今でも良いでしょう」
「・・・うーーん・・・じゃあ見せる前に約束。絶対に怒ったり泣いたり笑ったりしない事!!」
「なんだ?そりゃ、何も言うなって事か?分かった約束する」
「じゃあ、私の色っぽいお尻で悩殺されてね」
「・・・・」
振り返ったノーマの背中に、羽がなかった。
スライムに溶かされてから、今までの行程で少しずつ伸びて半分ほどの長さになっていた羽が、根元からなかった。
スライムに溶かされた時も、根元だけは残っていたのに。
「ノーマお前「はい!何も言わない約束!!」
「いや、しかし「ヤ・ク・ソ・ク」
「分かったよ、頑張ってくれたんだな。有難う!!」
俺は頭を下げた、うかつにも涙が零れそうになった。
堪えてもこみ上げてくるものがある。
しかし約束だから、泣く訳にはいかない。
「いいから、いいから、時間はかかるけど、いずれ羽の根が復活して元にもどるから、気にしないで。でも森を出たらお別れってわけに行かなくなったから、その先もお願いね。羽がないと移動に時間がかかるからね。まあ、今まで通りってだけよ」
「そうか元に戻るのか、じゃあ森を抜けてからも一緒に行こう」
「よろしくね」
俺は立ち上がり深呼吸した。
とにかく全員生き残った。
それで良いじゃないか。
この後はこれといった事件も無く、俺達はダウの樹海を抜ける事ができた。
このお話で、森を抜け、次回からようやく、ヒデキ以外の人間が登場します。




