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嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第4章 水晶
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迷って

閲覧ありがとうございます。

「うわぁ、暗いね」


天気が悪いこともあって、辺りはすっかり暗くなっていた。

足元を気にしながら歩いているので、自然と歩みも遅くなる。土が、時折ヌルヌルと滑る。


「……ほんとだねぇ……」


愛はじぃっと空を仰ぐ。

その顔は、どこか不安げだ。


「……こ、これ以上暗くなったら、進めないもんね……!」


懐中電灯は電池が切れてしまっていてつかない。

家から持ち出すときに、電池を確認し忘れたのだ。痛いミスである。


そういえば、紗季達はもう頂上に着いたのだろうか。滴が思うに、滴達より紗季達が早く着く確率は、高いだろう。下手すると、既に頂上に着いており、滴達を待っているかもしれなかった。しかも、あちらには光がいる。紗季もそこそこ運動が出来るようだし、光の歩く速さに合わせて歩いているかもしれなかった。

待たせているなら悪いなぁ、とおもう。

まだ頂上までは遠いように思われる。


「ねぇ、ちょっと待って! この山ってこんなに高かったっけ!?」


プリちゃんが突然真っ青な顔をして、滴達を振り返る。

考えてみれば、もう夕方だ。

けれど、愛は山に登ったことがないのか、そんなプリちゃんにのほほんと返す。

普通、山は登るのにそんなに時間はかからないのだが。よっぽど大きい山でない限り。


「え? なんでぇ? 普通でしょ?」

「普通じゃないよ!」

「えぇ? でもぉ、テレビとかだとぉ、何日も登ってるじゃあん?」


はぁ。

愛を除いた3人は、ため息をつく。

愛は山を登ったことがないのだろうか。


「……と、取り合えず、確かに時間かかりすぎだよね……!」


波が話を戻す。

おかしいのだ。あまり、歩いても進んでいない気がする。


四人がすっかり黙り込んでしまうと、茂みがガサガサと動いた。


とっさに、滴達は茂みの方を向き、構える。

熊とかでなければいいが……。


ガサリ。

茂みから出てきたのは、真っ黒なウサギだった。

何だかこのパターン、キャンプ初日でもあったような……。







読んでくださりありがとうございました。

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