闇の中のトパーズ
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「助けてやろーか?」
生意気そうな言い方とは反対に、そのウサギはトパーズのような落ち着きのある瞳をしていた。その黒い毛は、闇のように艶もないほど暗かった。
「助けてやるって、何を?」
プリちゃんが、怪訝そうに眉をひそめる。
また喋るウサギに出会ってしまった。またお願いをされるのかと思ったが、今回は違うようだ。反対に、助けてやる、と言っている。
黒いウサギは滴達を見回す。そして、最後にその瞳で何故か滴を射ぬいた。
滴は、その形相に怯む。
何故って?
何故だろう。
滴にもそれはわからなかった。
今思うと、ウサギの顔にはなんの感情も見られなかった気がする。けれど、その時はその顔を怖いと思ったのだ。
「オメェーたち、道に迷ってんだろ?」
しばらくの間を作ったあと、ウサギは応えた。
随分口が悪いウサギである。うさぎさんより酷い。
滴達はお互いに視線を交わらせた。
これは迷ったというのだろうか。
迷ったというなら……、遭難したということだが。
私達がなかなか口を開かないので、黒いウサギは痺れを切らしたように眉間に皺を寄せた。
ウサギって、こんな表情もできるんだ、と滴達は素直に驚く。
「付いてこい!」
怒っているかのような声につられ、滴達は再び歩き出した。
それから数分経ち、今度は滴達が痺れを切らした。
ウサギの足が遅すぎるのだ。ウサギがゆっくりゆっくり進むものだから、全然進んでいない。
「……ね、ねぇ。もうちょっと早く歩けない……?」
気を効かせて、波がウサギに尋ねてくれた。
だがこのウサギは、意外にもマイペースなウサギだったようで、
「いいだろ、着けば」
としか言わない。
確かに頂上へ行くのが目的だ。けれど、それは最低目標であって、本当の目標ではない。
「お願いだからぁ、もうちょっぉと速く歩いてくれないかなぁ?」
愛の少しだけドスの効いた声で、やっとウサギの足は少しだけ速くなった。
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