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30.意外な訪問者②

速馬車に揺られながら、あたしたちはいよいよギルドを本格的に始動させるべく、アイリーンが用意してくれた事務局に向かった。

「なんか実際に無血戦争を見たら、あたしちょっと不安になって来ちゃったな」

これからやらなければならないことが、山のようにある。それを思い知らされたのだ。

「実はわたしも。魔法少女はわたししかいないし、事務局だって多分空っぽだろうから…いつになったらデビューできるか…」

「それを言うならわたくしもですよ。なんせスタッフがわたくし1人なんですから」

あたしが愚痴をこぼすと、マリーネもトルベも不安に顔を曇らせた。

「ま、まあとにかく今は事務局に行ってみるしかないし、落ち着いたら話そうか」

あたしは今は口を開けば不安な言葉しか出てこなさそうでそう言ったが、事務局までの道中無言なのもまた不安をかきたてた。


「さあ着きましたよ」

速馬車の御者が声をかけてきた頃には、すっかり日が落ちていた。

「ここ、どこ?」

「さあ?」

あたしたちは事務局の場所はアイリーンに聞かされていなかった。ただアイリーンが用意してくれた速馬車に乗っただけである。

「なぜアイリーンは場所を教えてくれなかったんでしょう。誰かが分かるところだと思っていたので、わたくしも聞かなかったのですがね」

トルベがそう言ってあたしたちに目線を送った。しかしあたしにはこの場所に見覚えはない。マリーネも首を横に振っている。

「ま、まあとにかく行ってみようか」

速馬車は街道を走れないから、ここからは歩くしかない。

「確か街道に沿って歩いて、最初にある建物から3つ目とアイリーンは言っていましたね」

確かにそんなことを言っていた。歩いてみるとそれらしき建物が見えてきた。

「す、凄い…こ、これなの?」

そこにはあたしの想像をはるかにこえた建物がそびえ立っていた。

「まあ、ギルドを運営するには十分な大きさですね」

「そうね、多分裏には練習スペースもあるんじゃないかしら」

あたしとは違って二人は全く驚いていない。建物の大きさに圧倒され、さらなる不安が押し寄せるところだったが、二人の様子にあたしは冷静さを取り戻した。

そして冷静によく見ると、誰もいないはずの事務局から灯りが漏れていた。

「あれ?灯りが点いてる?誰かいるのかな?」

「アイリーンは何も言ってませんでしたが、場所も言ってくれませんでしたし、もしかしたら誰かいるのかもしれませんね」

確かに。しかし不審者ということも考えられる。あたしは二人に慎重に動くよう促そうとした。

するとーー

ガチャ…

「⁈」

不意に事務局の扉が開かれた。

「……やっと来たの……、待ちくたびれたわ」

扉の向こうに現れたのは、あたしたちよりも更に小さい、しかし驚くほど美形の少女だった。

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