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23.無血戦争③

魔法解析学会での出来事から3日後、あたしたちはファイアーフロートを後にし、アイリーンから貰った無血戦争観戦チケットを手に闘技場に向かった。

「じゃあ、しっかり勉強してきてね」

アイリーンはそう言ってあたしたちを見送った。

「しかし、ほーんとに至れり尽くせりだったわね。学会の客室なんてトレドの宿屋とは比べものにならないくらいだったし」

そうなのだ。あれから今日まで、あたしたちは借りた事務局に向かうことになると思っていたのだが、ファイアーフロートからだと闘技場よりも事務局の方が遠いからと、アイリーンは学会の客室を用意してくれたのだ。

「それだけ期待されていると言うことでしょう。これは気合が入りますね」

あたしはやや複雑だったが、同意したように頷いた。まだまだ不安の方が大きいのだ。トルベのように気楽には構えられない。といってもやるしか無い事には変わりが無いが。

「よし、行こっか」

あたしは吹っ切るようにそう言って、これまた学会が用意してくれた速馬車に乗り込み、目当ての闘技場を目指した。


「ここがバロッサ闘技場?」

あたしは息を飲んだ。とにかく魔法界の建築物はなんにせよ規模がデカイ。どれを見ても科学界との差をまざまざと見せつけられる。

「ええ、先日学会と機構のいざこざでもここが使われましたね」

そうか、どこかで聞いたなとは思っていたが、たしかにリュゼがバロッサ闘技場に向かうと言っていた。

「あの戦いは結局どうなったのかな?」

マリーネはそう口にしながらも結果は分っているようだった。いや、あたしでも分かる。対戦カードの一枚はあのジェニー・エフォールなのだから。

「あ、あそこに前回の結果が張り出されていますよ」

トルベが指差した先は受付のようで、窓口の横には確かにそれらしきものが掲示されていた。

「確か観戦チケットを受付に見せなければならないはずですから、ついでに見てみましょうか」

トルベに促され、あたしたちは闘技場の入場受付に向かった。

「それにしても、思ったより人が少ないんだね」

周りを見渡しても人はまばらだ。まもなく開戦のはずなのにファンらしき集団がほとんど見当たらない。いるのはあたしたち同様来賓と思われる、上品な格好をした人達ばかりだ。まあシャイニーズでもメルキュールでもないギルド同士の戦いのようだから、魔法少女のファンが少ないのかもしれない。

「そんなことはありませんよ」

しかしトルベはニヤリと意味深な笑みを浮かべそう言った。

「どういうこと?」

「まあ、それはすぐに分かりますよ。それよりほら、前回の結果が……⁈」

「‼︎⁉︎」



あたしたちは一瞬言葉を失った。




な、な、な、なんと、そこに書かれていたのは……。

「ジェニーが……、負けた…⁈」

マリーネがようやく絞り出すようにそう呟いた。

そうなのだ、受付の横にある掲示板には紛れもなく、あの天才ジェニー・エフォールの敗北が記されていたのである。

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