20.ギルド新設への道のり〜魔法解析学会編〜④
「もちろん学会も今すぐになんて期待をかけているわけではないわ。まずは活動を始めてもらいたいと言うだけ。でもそこから何かが変わるのではということは期待しているかしらね」
「第三勢力の存在は均衡を打ち崩すきっかけになる、という事ですね?」
トルベが口をはさむ。
「均衡というのは正しくはないけどね。いまはシャイニーズの独占市場なのだから・・・。でもどこの組織もシャイニーズに期待し、どこのギルドも恐れているのだからそうなるのは必然なのよ。でも、もしルナのもとに魔法少女が集まるとすれば、シャイニーズを恐れないギルドに出来る可能性がある」
「だからこその支援、というわけね?」
アイリーンはあたしの言葉に強く頷く。
「あ、だったらこの前の無血戦争はどうなの?機構と学会の争いだったでしょ?」
アイリーンは言葉に詰まった。
「そこは彼女よりも上が動いているのでしょう。学会の中にもルナを支援することに前向きでないグループはいるでしょうし、メンツの問題も古い人間には無視出来ないでしょうから」
トルベが代弁するようにそう言った。確かにこれはアイリーンには口にしづらいことだろう。あたしは意地悪な質問をしてしまったことを後悔した。あたしのおじいちゃんみたいな人も沢山いるはずだし…。
「アイリーン、あなたは大丈夫なの?」
あたしはアイリーンの学会内での立場が心配になった。
「もちろん、反対はされたわ。でも大丈夫。ギルド開設のルールには反してないし、賛成派も少なくはないから。でなければ協力するなんて言えないわ」
なるほど。ただあたしがギルドを開設するだけなら、事務的な処理だけでよかったはずだ。それをしなかったということは少なくとも、協力する承諾は得られたということか。
「分かった、じゃあ早速手続きしちゃおうか?」
あたしは指定された書類にサインし、アイリーンに渡そうとした。
「ギルド名、か。ねえ、マリーネ、トルベ、なにがいいかな?」
二人は困ったように顔を見合わせ、肩をすくめた。
「うーん、困ったな。何も考えずに来ちゃったから…」
「シャイニーズは太陽、ルナは月を表しているわ。だからあなたの名前にちなんでつけたらいいんじゃないかしら?」
うーん、そんなあからさまにシャイニーズに対抗してますみたいな名前にしていいのかな?
「あ、じゃあとりあえずあたしとマリーネで始めるわけだから、ルナ&マリーネってことにしとこうか?」
「ダサいですね」
トルベが直球でツッコミを入れてきたのは、もちろん自分の名前がないからだろう。
「いいのよ、仮に、よ。アイリーン、ルナ&マリーネ(仮)ってことでいいかな?」
「いいわよ、でも変えるなら早い方がいいけれどね。ギルド名が売れてしまってからでは変えるのがもったいないから」
「分かった」
こうしてあたしの魔法少女事務局ルナ&マリーネ(仮)はようやくその産声を上げたのだった。
「まだ書類上だけですがね」
トルベがあたしの心を読んだかのごとく呟いた。
ト、トルベ、あんた本当にギルド名に名前がないことを気にしてるのか?




