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18.ギルド新設への道のり〜魔法解析学会編〜②

 かくしてあたしたち3人はメルキュールを後にし、街の中心部にあるという魔法解析学会を目指した。

 あたしは馬車の中で周りの声も、馬車の駆ける音も耳に入らないほど考え込んでいた。もはや後には引けない。メルキュールから重要な人物であろうマリーネとトルベの2人を手放させ、今やこの2人は実質無職になった。あたしが事務局を開設出来なければ、本当にそうなるのだ。まあ、トルベに関してはただ戻ればよいだけなのだが、マリーネはそうはいかない。あたしは必ず魔法少女事務局アイドルギルドを開設しなければ彼女にも、彼女の親にも顔向けできないのだ。

「ルナ?どうしたの?」

 ただ今のところは絶望的という状況ではなくなった。メルキュールの局長の図らいで、あたしが事務局を開設するのに必要な事をしてくれた。今はそれにすがるしかない。

「ねえ、ルナってば!」

「あ、ああ。ゴメン、ちょっと考え事してた。どうかした?」

「今トルベと話していたんだけど、あなたって魔法少女の事をどれ位分かってる?」

「え、えーと」

「それに無血戦争ホワイトウォーの事、わたしが前に少し説明したけど。あ、悪気があっていってるんじゃないのよ?ルナって毎日科学の実験ばかりだって言ってたから」

 ふむ、それは間違いない。言ってみればあたしは世間知らずな方なのだ。

「確かにそうね。予備知識ぐらいはないと学会で何を言われるか分からないもんね」

「そうでしょう。だから学会に着くまであまり時間はないけど、トルベにある程度話をしてもらったほうがいいんじゃないかな。ルナは頭いいからすぐに覚えるよ」

 まあ記憶力には確かに自信がある。マリーネの言うとおり、聞いておいた方が良いだろう。

「お願いできる、トルベ?」

 彼は頷き、わたくしが知っている限りの事で良ければお話ししますと話し始めた。




 あたしはトルベからギルド、魔法少女、無血戦争ホワイトウォーに関するあらましを、学会に着くまでにあらかた聞く事が出来た。それはこれまで見聞きしたことから大体予想出来た内容だった。

「とにかくギルド開設に必要な事は、魔法少女を集める事ね。最低でも後4人、できれば6人はほしいかな。あとはお金だね。まあそれは開設申請してから考えればいいか」

 あたしも機構の上級職の両親を持つ、いわば科学界のエリートである。いくら貧乏暮らしだったとはいえ、それはあくまで魔法界と比べたらの話。絶望的ではないお金の心配は後回しだ。

「やっぱりルナは凄いよ。わたしだったらどうしたらいいか、途方にくれちゃうところだわ」

「そんなことないよ、トルベの説明が要点が分かり易かったから理解出来たってだけ。理解出来ただけで実現出来るかは別の話だからね」

「どうやら着いたようですよ、ルナ、マリーネ、準備して下さい」

 あたし達が馬車を降りると、もう目の前が魔法解析学会だった。科学技術開発機構と比べ物にならない立派な建物で、馬車を前につけられるように、大きな通りに面している。

「ひゃー、すげぇ建物だな。無血戦争ホワイトウォー様々だな、いや魔法少女たち、か?」

 ため息混じりにリヤンがつぶやいた。確かに今の魔法解析学会の収入源のなかで、魔法少女たちが担う割合は少なくない。

「では参りましょうか」

 トルベにうながされ、あたしたちはリヤンに別れを告げると建物内に入った。するとすぐにトルベが受付に向かい、要件を告げるとあたしに紹介状を出すように言った。

「あ、これね。メルキュールのハーヴィン局長直筆のものよ、問題ないかな?」

 学会の受付は魔法少女とは違う、学会の玄関を飾る顔として申し分ない大人の雰囲気を持った清楚な美女だった。

「ただいま確認して参ります。今しばらくお待ちください」

 受付のお姉さんは形式的に言うと、呼び鈴で人を呼び紹介状を確認するよう促した。




 しばらくすると先ほど呼ばれた男性が戻り、紹介状を受付に返した後二言三言言葉を交わし去って行った。

「紹介状は間違いありませんでした、ルナ・シュタインさん。開設の手続きを行いますので、右手の階段を上がって左の突き当たりまで進んだ部屋に向かって下さい」

 ほっ、まずは第一段階クリアといったところか。あたしたち三人は顔を見合わせて頷くと、説明された部屋に向かった。

 指定された部屋の前であたしは一度大きく深呼吸してから、扉を三回ノックした。

「どうぞ」

 すると短く一言だけ返事があり、声からすると女性のようであたしは少し緊張がほぐれた。

「女性だからといっても油断はいけませんよ」

 すぐにトルベから忠告が入る。しかしこの男、若いのにホントに気が回る。ここは学会であたしは科学界の人間なのだ。相手が誰であっても油断していいはずはないのだ。

 あたしは意を決して扉を開けた。


 部屋に入ると目の前の机に腰掛けた、いかにも洗練された才女としか形容のしようがない美女に出迎えられた。彼女がおそらく先ほどの声の主であろう。

 あたしはまた一気に緊張感が高まった。さっきの受付といい、なんでこんな抜群のオーラまとった人ばっかいるのかね。

 しかし彼女から発せられた言葉は、あたしたちの予想に反した内容だった。

「魔法解析学会魔法少女事務局課へようこそ、ルナ・シュタイン。あなたを待っていました」

 彼女はニッコリと微笑みそう言った。聞き間違いではない、確かに彼女は言った。あたしたちを待ってた、と。

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