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アドミラル~魔法艦隊の艦長に転職したら、彼女(提督)ができました~  作者: 九重七六八
第2章 パンティオン・ジャッジ~トリスタン編
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眼下の敵~オベリスク空戦(壱)

うおお!なんとか間に合ったかな?最近、毎日更新してます。

ドラゴン編に向けてバク進するぞ!ですが、この戦い、平八&マリー&フィンVSエヴェリーンのアツイ戦いを書いていきます!

 パンティオン・ジャッジセミファイナルの戦場となるオベリスク空域にメイフィア魔法艦隊は到達していた。ここは上と下に分厚いディープクラウドが存在し、潜空艦が展開するには一見有利な場所ではあった。

 

 だが、ディープクラウド内に大きな浮遊石がいくつも存在し、潜空艦にとっても危険な場所であった。有視界は完璧にゼロであり、音波を出して前方の障害物を見つけながら進むしかないわけで、潜空艦キラーの艦隊がその存在を見つければ、撃破することも可能であった。


 エヴェリーン少将のタウルン艦隊は、隠れながら近づいて魔法バリアが無効になる距離からの攻撃。フィンのメイフィア艦隊はそこまでに発見して、それを撃沈するという言わば、「かくれんぼ」や、この場合は「缶けり」に例えられるだろう。そんな戦いになっていた。


「ナアム、上下のセンサー、ディープクラウド内に挿入。16方向にウェーブ、撃て!」


 リメルダがそう命じると、ブルーピクシーから潜空艦の位置を探る音波ウェーブを放った。ディープクラウド内を通りやすい波長の音を放ち、それが跳ね返ってくることで、その対象物が何か、大きさ、距離を知るのだ。情報を統合して瞬時に潜空艦を割り出すことができるのだ。


 ただ、もし、潜空艦を見つけたら、ブルーピクシーはすぐその場所を離脱しないといけなかった。なぜなら、敵の位置も分かるがこちらの位置も知らせてしまうことになるのだ。


ウェーブを放ち、解析してすぐその場所を離脱するという繰り返しで、リメルダは戦いが始まってから、4時間余り、この作業を繰り返していた。もう、索敵が200回を超えるかどうかという時、これまでとは違うは反応が返ってきたのだった。


「いた!発見したわ!レーヴェテインにすぐ報告。リメルダ、敵を発見と!」



「総員、第一種戦闘配置。潜空艦らしきもの、ブルーピクシーが発見したもよう」


プリムちゃんの報告に平八はリメルダを呼び出す。


「リメルダ、敵はどこに何隻だ?」

「上空のディープクラウドの中、3隻が一列に並んで航行しているわ!」


(空中艦の一番弱い、下部を狙うために下のエリアに潜んでいると思ったけれど、意外と上に隠れているのか?それとも艦隊を2つに分けたのか?)


 平八はリメルダの報告を聞いて、エヴェリーンの作戦意図を図りかねていた。


「提督、敵を発見した以上、戦闘は近いと見るべきです。艦隊援護の爆雷の発射を進言します。ブルーピクシーから詳しい敵の位置が報告されれば、魚雷を撃ち込みます」


 参謀長のマリーがそう進言する。完璧なマリーのあだ名通り、防御しつつ、敵に詰め寄る的確な指示である。平八もうなずく。それを見たフィンもうなずいた。


「上下方向に爆雷撃ち上げ!レーヴァテイン、ベルダンディ、ウルド、スクルド、それぞれ、撃てえええ!」


 フィンの命令で、対潜空艦爆雷が撃ち込まれる。通常の雲なら、これでかなりの損害を与えられるが、ディープクラウド内では、気体の比重が大きく、爆発が広がらず、威力が極端に弱くなる。かなり、近いところで爆発しないと効果は期待できなかった。


 だが、艦隊に潜空艦を近づけさせないために、この攻撃は有効であった。

スクリーンに爆雷の爆発エリアが赤く示された、艦隊の上下に赤い膜が覆われている感じだ。理論上、このエリアに潜空艦は侵入できない。ディープクラウドは金属腐食性の性質があり、通常の空中戦艦は侵入できない。


 特殊な形状と大きさ、そして腐食から艦体を守る特殊コーティングのおかげで潜空艦は航行できるのだが、爆雷の爆風でこのコーティングに損傷を受ければ、ディープクラウド内にいられないのだ。


「爆雷は5分おきに投下。潜空艦を近づけさせるな!」


 平八はそう命令する。ブルーピクシーより敵の詳しい位置がもたらされた。


「北東17度3、速力18、敵の予想進路をリアルタイムで送信ました」

「よし、各艦、対潜空艦魚雷発射しなさい!」


フィンがそう命令する。


 レーヴァテイン、ベルダンディ、ウルド、スクルドからそれぞれ、2本ずつが発射された。対潜空艦魚雷は、ディープクラウド内でも移動できるように特殊コーティングされたものである。航続距離は4キロほどだ。魔力の効果が制限されるディープクラウド内でも、あらかじめ計算された進路で自分で勝手に進んで爆破するのだ。


「対潜空艦魚雷、敵艦に近づきます。5、4、3、2、1…全弾命中!」


 プリムちゃんの報告と共に、3つの爆発音がして、上空の雲から潜空艦の破片が落ちてくるのが見えた。


「3隻、撃沈したもよう。さらに、ブルーピクシーより入電。3隻発見。南西19、速力17。こちらから離れていきます」


「飛んで火にいる夏の虫とは、このことね!」

ミートちゃんがつぶやいた。


「魚雷発射!」

ほどなくして、3つの存在が消えた。


「ヤッター」


 艦橋内が喜びに湧いた。開戦から4時間で敵7隻中、6隻を沈めたのだ。まだ、敵旗艦撃沈の報告がないため、完全勝利ではないが、大半の戦力は奪ったと言える。


だが、

(おかしい。いくらなんでも脆すぎる)


 平八はそう思った。あのエヴェリーン少将がこんなに簡単に負けるはずがない。参謀長のマリーも提督のフィンもそう考えている表情であった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「フフフ…この程度で喜ぶ敵だったらうれしいのだけど…。旗艦の戦闘体制を見る限り、まだ警戒しているようね。だけど、戦況は既に私の予定通りに進んでいる。艦を上昇、私が確認する」


 エヴェリーン少将は、自分の旗艦ザ・ハイ・プリーステスを少しだけ上昇させた。潜望鏡を密かに上げる。そこには、上空に向かって攻撃をしているレーヴァテイン以下のメイフィア艦隊が見える。


「上空だけでなく、下空にも爆雷を投下して、こちらを近づけさせない作戦は立派だけど、こちらもタウルンの予選とは違う作戦を取るってことは考えていないのかな?あの坊やは」


 エヴェリーンは部下に作戦の第2段階を指示した。




「敵の残り、一隻を発見しました。ディープクラウド内を全速力で西方へ移動中」


 リメルダから報告が入る。事実なら、それが最後に残ったエヴェリーンの旗艦だろう。状況から察するに、思いがけず6隻が失われ、慌てふためいて逃げていると解釈できるのだが、どうにも納得できない違和感。


「マリー様、どう思います?」


 平八は参謀長のマリー王女に小声で聞く。一応、全艦隊の乗組員は勝っていると思っているので、それに水を差したくないという思いからであった。


「ブルーピクシーの能力とリメルダさんの優秀さに、敵艦隊がやられちゃった?とみるべきでしょうけど、そんなに甘くはないでしょうね」


「やはり、そう思いますか」

「わたしなら、この機会に我が艦隊を想定するポイントに追い込みますが…」


 最後の一隻は、ディープクラウド内の小さな浮遊石がたくさん分布する場所に逃げ込んだようであった。リメルダのブルーピクシーの解析結果である。


「フィン提督、厄介なところに潜り込んだようですが、おおよその敵の位置が分かれば十分ですぞ。デストリガーを使うべきです」


 戦列艦ヴァイオラの艦長レイナルト子爵からの進言がある。彼の言うことは最もで、戦列艦の主砲でさえ、無効化するディープクラウドであるが、デストリガーはさすがに無効化ができず、その攻撃は放たれた直線上のものを全て無にするだろう。ヴァイオラ、マクベス、レーヴァテインと3つのデストリガーが炸裂すれば、完全勝利は間違いない。


「いや、それはダメだ」

 

 平八はレイナルトの意見を却下する。モニターに映るレイナルトは平八の顔を見て露骨に嫌な顔をする。


「異世界の勇者殿は、詰めが甘いですな。それとも、敵将と親しいから手加減するというわけですかな?」


 レイナルトの指摘は多少当たっていた。デストリガーを受ければ、エヴェリーンの戦死は免れないだろう。平八はあの陽気なお姉さんを殺したくはなかったし、今後のドラゴンとの戦いに彼女は必要だとなんとなく感じていた。だが、戦術上の問題の方が大きかった。これについては、マリーの方が反論した。


「レイナルト大佐、デストリガーを撃てば、撃った船はしばらく無防備になります。そこを襲われたら、いかに戦列艦でもまずいことになるでしょう」


「これはマリー様。変なことをおっしゃる。敵は最後の一隻ですぞ。どこから攻撃されるというのですか?」


「敵は一隻とは限りません」

「なぜです?敵の残骸も確認しましたし、6隻撃破は疑いないのではないですか?ヴィンセント伯爵はどうお考えですか?やはり、マリー様より、わたしの意見に…」


 モニターに戦列艦マクベスに座乗するヴィンセントが映し出される。不敵に微笑を浮かべつつ、レイナルトとマリーの話を聞いていたらしい。


「レイナルト大佐、僕はマリーの意見を是とする。平八くんもその方がいいのだろう?」


 平八はヴィンセントの意外な言葉に、コイツの狙いがますます分からないと思った。フィンを手に入れたいというのがコイツの考えなんだろうが、そのためにメイフィア艦隊が負けるように仕向けるかと思いきや、まともな意見を言っている。


(意外とコイツ、フィンに勝ってもらいたいとか…)


 だが、フィンが優勝すれば、フィンと結婚するのは平八ということになる。フィンのお父さんは、まだ完全に納得していないようだが、娘がヴィンセントと一緒にさせることは断念したようだが。


 それに命の危険があるパンティオン・ジャッジに自分自身が参加するのも分からない。そんなことしなくても、コイツはいろいろと画策ができるはずである。


「マリー参謀長の意見を採用。デストリガーは使いません。リメルダさんに連絡、小浮遊石の位置を割り出し、それを避けて魚雷をピンポイントで撃ち込めますか?」


 フィンはブルーピクシーのリメルダを呼び出す。メイフィア艦隊の目であるこの艦が頼りである。


「できます。浮遊石の数は多いですが、大きさは均一なので…」

「均一?」

「均一ですって?」


 平八とマリーが同時に叫んだ。


「まずい、フィン、全艦隊を現在の空域から緊急離脱…」



「気づくのが遅い!爆裂機雷始動!」


 エヴェリーンが潜望鏡で慌てふためいて、移動し始めたメイフィア艦隊に向けて、作戦の第一段階を命令した。


まずは、先手、エヴェリーン。メイフィア艦隊に強烈な一撃が・・・!

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