表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アドミラル~魔法艦隊の艦長に転職したら、彼女(提督)ができました~  作者: 九重七六八
第2章 パンティオン・ジャッジ~トリスタン編
PR
77/122

決戦!霊族長VS妖精女王(弐)

 いよいよ、セミファイナル1回戦の結果が出ます。霊族の小夜か、妖精族のシトレムカルルか・・・。決勝戦で平八たちが当たるのはどちらでしょうか?

 妖精の輪は、発動と同時に2つの黄金に輝く大きな輪が高速戦列艦アウグストゥスの前に現れる。魔法の文字が描かれた輪が時計回り、反時計回りににゆっくりと回転し、そこに鏡が現れた。その鏡の中に戦列艦が吸い込まれていったのだ。霊子弾が交錯するが、もう目標の船は消えてしまっていた。


「小夜様!アウグストゥス、消えました。レーダー反応なし」

「フフフ…あれを使ったぞな、ケケッ!敵は目の前に出てくるぞな!」


 小夜がそう言って、前方を指差した。その空間が歪んだように見えたかと思うと、銀色に輝く大きな鏡が現れた。そこから艦首で突き破って、大きな戦列艦が姿を見せたのだった。


 元々、妖精の魔法は時間に関係するものが多い。妖精の国へ紛れ込んだ人間が、妖精とダンスを踊って戻ってみたら100年の年月が経っていたなんておとぎ話があるくらいだから、妖精族には時間の概念がないのだ。


 妖精の輪は、トリスタンに流れる時間の流れを超えて、30分後にしてしまう魔法なのだ。無論、大きな戦列艦を丸ごととなると、相当な妖精力が必要だが、女王シトレムカルルにはかろうじて発動することができたのだった。


「女王陛下!敵旗艦大黒天目の前です!」

「旗艦以外はすべてタグボートですか。エンジンがわりにして距離をとっていたのですね。さすが、霊族の代表。ですが、これで終わりです。主砲3連射!」


 女王の命令で、妖精族の誇る戦列艦の主砲が炸裂する。巨大な躯体のミサイル戦艦大黒天は巨大ゆえに、すべて命中する。主砲が炸裂してえぐりとった箇所から爆発が起きる。


「小夜様、敵の主砲、全弾命中。第3エリア、第4エリア、第2ミサイル保管庫被弾。誘爆しています。被害は甚大です」


 ゴゴゴオオオオン…と下の方で爆発が起きている音がしている。その度に大黒天の艦内が大きく揺すぶられた。


「やむ得ないぞな。この船は火薬庫みたいなものぞな。下半分は捨てる。第2エリアより遮断ぞな。ケケッ」


「小夜様、次に主砲を受けたら、もう持ちません」

「そちらが妖精の門を使うなら、霊族も奥義を使うぞな。地獄の門を発動ぞな。ケケッ!」


 妖精族が時間を飛び越えるワープ能力を持つなら、霊族のそれは霊子の塊の分厚いバリアであった。霊子は白い煙のような物体であるが、それ自体は軽い。しかし、物質の性質は弾力性があり、軟らかいゴムのようなものである。それが高速の渦となり、大黒天を包んでいるのだ。


 その(地獄の門)と名付けられたバリアにアウグストゥスから放たれたトドメの主砲斉射はかき消されるように消えてしまった。


「味方の攻撃、すべて高速の渦に消されています」

「なんという防御力でしょう。こちらのエネルギー充填まであとどれくらいかかりますか?」


「あと5分ってところです」


「それまでに敵の足を止めましょう。敵のタグボートの照準、すべて沈めてしまいなさい!」


 シトレムカルルは、大黒天を引っ張る招き猫号は攻撃力も防御力もなかった。戦列艦の主砲に狙われれば、それこそ一発で撃沈されてしまう。



「招き猫一号、二号、爆沈」

「三号、五号、六号、消滅」

「四号…火災発生。空中制御できません。下へ落ちていきます」


「これで大黒天はどん亀のなったぞや。だが、ただのどん亀じゃないぞや。ケケッ!大量のミサイルの雨を降らせてやれぞや!」


 足を失った大黒天は、アウグストゥスと壮絶な殴り合いのような霊視弾道弾と魔法弾による猛攻撃を互いに行った。だが、アウグストゥスの主砲は、地獄の門が完全に防いでいた。大黒天の霊子弾道弾の攻撃もアウグストゥスは、回復したバリアで防いでいた。


 霊子弾道弾は、長距離の場合、姿をくらませ、思いがけないところから現れて向かってくるために、防御バリアが後手になり、被害を受けていたが、今は至近距離で撃ったところからトレースできるために、着弾地点を予想でき、その部分を瞬時に強化することで被害を少なくすることができていた。

 

 霊族の霊子弾道弾が消える仕組みは、妖精族の時間に作用するものではなく、空間と空間をつなげるようなもので、その単位は二キロとなっていた。二キロ以内の空間では空間をつなぎ直すことができないのだ。

 

 だが、それでも数を撃てば、バリアを突破してアウグストゥスに命中する霊子弾道弾もあり、徐々にではあるが、大黒天の方が有利に見えた。妖精族の方が地獄の門を破らなければ、いずれ、負けるてしまうであろう。

 


だが、シトレムカルルには最後の切り札があった。


「エネルギー充填完了しました!女王陛下、いつでも撃てます!」


「地獄の門を突破して、次のステージに行くのは私たちです!妖精剣ダインスレイフ、撃てえええええ!」


 妖精族艦隊旗艦アウグストゥスの後ろから、大きな光りの剣が現れ、大きな弧を描くよう剣の切っ先が残像を残した。大黒天の地獄の門は真っ二つに切られ、白い渦はアッという間に四散した。そして、その余波で大黒天のあちらこちらから爆発と煙が上がる。


 妖精剣ダインスレイフは、メイフィアでいうところのデストリガーであった。対ドラゴン用の切り札攻撃であるが、この場合、霊族の旗艦に致命的な打撃を与えることに成功していた。


「小夜様~っ。地獄の門完全に消滅。敵の高エネルギー出力攻撃です。防ぎきれなかったところから、爆発しています」


 大黒天の艦橋は激しく揺れ、ショートしたパネルからは煙が上がった。大ダメージである。


「艦長、大黒天は沈むぞや?」

「いえ、小夜様、被害甚大ですが、まだ戦えます」


「うむ。艦長、われは少々、妖精族を侮っていたぞな。この世界が滅びるとうのに仲間同士で争うなど愚の骨頂と思っていたぞな。だが、妖精族女王と戦って確信したぞな。やはり、この戦いはドラゴンと戦うために必要なものぞな。ケケッ」

(それにしても、妖精族の新女王はなかなかの人物ぞな。結局、われはこの戦い、一瞬たりとも眠ることはできなかったぞな)


「小夜様。あれを使うですか?」


 初老のカロン族艦長は、スリーピングビューティと呼ばれる自分たちの主人たるこの娘の力に心服していた。だから、この戦いもこの状況でも慌ててはいなかった。


 妖精族にあと1隻、戦列艦なり巡洋艦クラス、いや、場合によっては駆逐艦があれば、霊族の負けは決定していた。あと主砲なり、魚雷なりの一撃を受ければ、大黒天は沈む。だが、妖精剣を使ったアウグストゥスは、続けての攻撃ができなかったのだ。小夜は一瞬の沈黙を見逃さなかった。


怨霊針ゴーストニードル、撃て!」


小夜の命令と共に、大黒天の左右に付けられた細い金属の棒。先は鋭く尖っており、針と言えば針だが、例えるならオリンピック競技で使うヤリである。


 それを看板に現れた人間の腕のモニュメントが現れ、それをがっしり掴むと後ろへ引きつけてから、前へ鋭く突き出した。放たれたヤリは放物線を描いて、アウグストゥスの真上と右上からクロスするように突き刺さった。防御無視の直接打撃である。そのヤリは、艦を突き抜けただけでなく、同時に艦内にいる人間の意識を奪うのだ。



「じょ、女王…へい…か」


 妖精族旗艦アウグストゥスの艦内では、乗組員がバタバタと意識を失って倒れていく。提督のストレムカルルも、遠のく意識の中で自分たちが負けたことを悟った。


(あと一歩でした…。でも、これで、戦後の発言権が少しでも強くなれます)


 これだけ善戦すれば、戦後も霊族は妖精族を軽く扱うことはないだろう。勝てないにしても、相手に一目置かせる戦いをすることは、国家を代表する者の最低限の務めであった。


 体が崩れ落ちながらも、ストレムカルルは最後の威厳を保とうと仰向けに横たわり、両手を合わせて胸に置いた。霊族の小夜は、スリーピングビューティと呼ばれている。たぶん、彼女は寝ることはなかったであろう。それだけの戦いはしてみせることができたはずだ。それに当てつけて、自分は眠るように戦いに終止符を打つことにしたのだった。


アウグストゥスが沈黙し、霊族の勝利が確定した。


 小夜の1人称が乱れました。わちき、わたし、われ・・・。

われに統一します。語尾の「ぞな」はそのまま・・・。

最近、シリアス路線が続いたのか、読者が減少中・・・ううう・・厳しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ