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アドミラル~魔法艦隊の艦長に転職したら、彼女(提督)ができました~  作者: 九重七六八
第2章 パンティオン・ジャッジ~トリスタン編
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パンティオンの神託(壱)

 大激戦のメイフィア予選を勝ち抜き、代表となった主人公たち。でも、トリスタンの代表になるには、まだまだ、ライバルがいるようで・・・。

 パンティオン神殿は、4つの浮遊大陸の中間にあるミッドガルドと呼ばれる小さな浮遊島にある。このトリスタンの人間が地上で暮らしていた頃は、地上の聖地と呼ばれる場所の中央に建てられていた。

 

この神殿は250年に一度のドラゴンとの聖戦に人類が勝ち残ることを祈るために建てられたもので、魔法族、機械族、霊族、妖精族と4種類の種族が住むトリスタンでも共通の聖なる場所である。


 今、ここで4種族の代表が相対し、神殿に祈り、その神託によって、組み合わせを決めるのだ。代表となる4人はこの神殿にこもり、3日間のみそぎを行い、4日目に神託を受けるのだ。


 平八たち、メイフィア代表は提督であるフィンが神殿にこもっている間、神殿の下に広がる街で待機していた。ここは日本で言えば、門前町みたいなところで、各地からやってくる巡礼者と旅行者で賑わい、それをターゲットにした土産物屋や、食べ物屋、宿泊施設がたくさん集まっていた。4種族が入り乱れているので、それこそ異国情緒豊かな街であった。


「霊族って、初めて見たけれど、足がないって本当なんだ」


 平八は街行く足がない…と言っても、上半身から下半身にかけてだんだん姿が薄くなっているように見え、人によって消えるポイントは違うようだが、足首辺りで完全に見えなくなるようだ。足先が見えないので歩き方は、まるで飛んでいるようだ。ちなみに服装のスタンダードは日本の和服みたいなスタイルなので、足があるのかないのかは定かではない。


 こう書くと完全に(幽霊じゃ!)と思うが、顔色は健康そう表情があり、普通の人間と変わりがない。それに霊族はどうしたわけか、男も女も美形ぞろいである。


「平八、いつか霊族の国、デ・ダナーンの霊族の美人ちゃんがいるお店に行こうなあ!」


 ナセルのバカが、そう平八に話しかける。それを聞きつけたミートちゃんが、


「何ですって?この浮気者~」


とナセルの耳を引っ張る。相変わらず夫婦漫才だ。ナセル曰く、霊族もちゃんと実体があり、触った感もあるそうだ。


 あと、変わっているといえば妖精族。妖精族の一番中心種族は、エルフと呼ばれる人々で、細身の体と金髪か銀髪の細い髪、耳がとんがっている。ファンタジーな世界では典型的なビュジュアルである。それに羽の生えた小さな体のピクシー族にトラ吉のようなケットシー(ケットシーは珍しく、この観光地では他には見ることはなかったが)などの種族がいるそうだ。

 

 平八はナセル、ミートちゃん、プリム&パリムちゃんとカレラさん、トラ吉というレーヴァテインのメンバーと一緒に街でぶらぶらしていた。フィンが神殿で儀式に参加している間、暇なので宿舎から出て、ぶらぶらするのが日課なのだ。


ちなみにレーヴァテインの乗組員と書いたが、正確には平八の隣にはリメルダが当たり前にように歩いているし、その有人のナアムもトラ吉と一緒に歩いている。


 今日でフィンが神殿に籠って4日目になる。夕方には神殿に関係者が集まり、トリスタンの代表を決める神託を聞く予定なのだ。


「よっ!元気か?相変わらず、リメルダちゃんとラブラブか?」


 平八は不意に肩を叩かれて、振り返ると見知った顔と彼女がこの場にいることに驚いた。


「エ、エヴェリーンさん!?どうして?」


 タウルン共和国の代表、エヴェリーン員数外少将である。いつもラフな格好である。手下は連れていないから、「あねさん」から、普通のヤンキー姉ちゃんという感じだ。この人がタウルンのパンティオン・ジャッジを制した人物とは誰も思わないだろう。


「神殿の儀式か?滝に打たれて身を清め、部屋にこもって瞑想だと?あんなんでドラゴンを倒せれば、苦労はないさ。ということで、部下に身代わりをさせて私は観光しているというわけだ。アハハハッ…」


この人が堅苦しい儀式を大人しくやるはずがない。


「それにしても、よく完璧なマリーに勝てたな。後で戦いの様子を聞いたが、見事な一発逆転だ。戦い方は私の艦隊と同じスタイルだ。どうだ?やっぱり、お前、私の下に来ないか?」


「ダメです!」


 隣にいたリメルダがギュッと平八の腕にしがみついてきた。


「おやおや、リメルダちゃん。何も彼氏を盗ろうって話じゃないよ。純粋にドラゴンを倒す聖戦に平八が必要だから誘ってるんだよ」


「それでもダメです」

「リメルダちゃん、君も立場が複雑だから仕方ないけれど、今後始まるドラゴンどもとの死闘には、理屈抜きで全種族が協力しなくてはならない。まあ、いいけどね。私が勝てば、君たちをまとめて部下にしてやるさ。リメルダちゃんも来るがいいさ。平八は我が潜空艦の艦長で私の右腕。リメルダちゃんは、平八の副官にしてやるよ。じゃあな。セミファイナルで君たちと当たることを願っているよ」


 そう言って、エヴェリーンは手のひらをひらひらさせて、離れていった。今日の夕方には対戦相手が決まる。メイフィア代表の第5魔法艦隊は、3分の1の確率でエヴェリーンのタウルン国潜空艦艦隊と戦うことになるのだ。



「お嬢ちゃん、困るなあ!金も持っていないのに、こんなに食べるなんて!」


 エヴェリーンと別れた直後、道端のお茶屋で空になった団子のお皿をこれでもか!と積み上げて、さらに口にほおばっている少女がいた。背は150cmちょいで小柄、髪は漆黒で肩にかかるぐらいのセミロングヘア。顔色は蒼白でちょっとトイレの○子さんに出てきそうな感じだ。小さいが恐ろしく美形だが、足が消えている。霊族の女の子らしい。


「お金?お金ってなんぞや?ケケッ!」

「お金だよ!金貨で1ダカット!」


 店主のオヤジが怒鳴るが、女の子は表情を変えない。ちらりと平八を見ると、手招きをする。


「おい、そこの青年、こっちへ来るぞや、ケケッ」


魅入られたように平八は女の子の傍に行く。


「この者が金を欲しているぞや。ケケッ!お主、払ってやれぞや」


 当然のように平八に命ずる。平八も他のメンバーも唖然とするしかない。でも、平八はこの霊族の少女が何だか、只者ではないと感じていたし、この状況で困っているのは間違いないので、金貨1枚を店主に渡した。


 金がもらえた店主はホッとしたようで、そそくさと団子の皿を片付け始めた。霊族の女の子は、平八に手を差し出した。


「よくやった青年よ。名前は何というのぞや?」

「東郷平八」


「トーゴーヘイハチ?霊族のような名前ぞや?その割には足はあるぞや?魔法族か機械族にもそんな名前はあるぞや。うむ、われは気に入った」


「へ?」

「われの名は、怨情時小夜えんじょうじさよぞや」


「怨情寺小夜だと?スリーピングビューティじゃないか?どうしてこんなところにいるんだ?」


 いつの間にかエヴェリーンが平八の傍に戻ってきている。このお姉さん、別れても何故か現れる不思議な人だ。


「スリーピングビューティ?」


 平八は聞き返した。隣にいるリメルダは小夜を指差し、口をパクパクさせている。


「何だ、知らないのか?第5魔法艦隊の幹部とあろう者が勉強不足だな。コイツは霊族のパンティオン・ジャッジ代表だ」


「え?ええええええっ?」

(この小さい女の子が…まあ、こちらもリリムちゃんがいたけど)


「何だ、エヴェリーンではないかぞや。貴様はこんなところにいていいのかぞや?ケケッ」


「それを言うなら、お前もだ!小夜」


「われは、あんな辛気臭い部屋で瞑想などふけりとうないぞや…それより、町に出てみたら、なんと刺激的な世界ぞや…ケケッ」


 血の気のない顔だが、笑みが溢れる。どうやら、この娘、霊族の代表、スリーピングビューティと呼ばれる霊族族長の跡取り娘らしい。いつもはお付きの者に囲まれているので、お金など払ったことがなく、そもそも、お金の存在も知らなかったようだ。


(どんなけ、お姫様なんだ?)


「で、われはこの男が気に入ったぞや。持ち帰るから、付いてこいぞや」

「え?」


強引に腕を絡ませて、平八を連れ去ろうとする。着物姿でわからなかったが、この娘、結構ボリューミーなおっぱいを持っている。それをグイグイと腕に挟んでくる。


「だ、ダメです!」


 逆の腕にはリメルダが、慌てて腕を絡ませて引っ張る。こちらはこちらで慎ましい。


「邪魔をするな、女!お主はこの男のなんぞや?」

「と、友達です!」

「ただの友達なら、邪魔をするな、ケケッ」

「た、タダじゃありません!フィアンセです!」


「え?リメルダ」

「いいから、あなたは黙って…こうでも言わないとこの娘、聞く耳持たないわ」


(そりゃそうだが…)


「フィアンセぞや?ますます、面白い。お前たち、メイフィアの軍人ぞや?」


小夜は平八たちの服装を見てそう言った。だれがどう見てもメイフィア国軍の軍服だから、見破るのは簡単だ。


「他人のモノとなると、ますます欲しくなるのがわれぞや…。まあいい。今晩の神託の結果いかんでは、お前たちとわれが当たる可能性があるぞや。勝てば合法的にこの男はわれのものぞや…ケケッ」


そう言うと小夜は一瞬消えた!(幽霊か?幽霊なのか?)


 だが、少し離れたところにポッと現れた。テレポーテーションみたいな技だ。エヴェリーンに聞くと霊族がダッシュをするとこういう風に見えるらしい。


「今晩が楽しみぞや…平八、そして、タウルンのヤンママ。さらばぞや!」

「ヤ、ヤンママだと!」


 エヴェリーンが地団駄踏んで怒ったが、小夜はダッシュを繰り返して、消えたり、出たりしていつの間には雑踏の中に消えていった。


「ふう。平八、気をつけろよな」


エヴェリーンは小夜が消えた方向を見てそう言った。


「アイツはあれでも、霊族最強と言われているんだ。スリーピングビューティってあだ名は、眠っていても勝てるというところから来ている。アイツの立てる作戦は完璧で、後は部下がその通りに行えば勝ってしまうところからついたあだ名だ。実際に奴は戦闘中は指揮座席で寝ているだけらしい」


(そんながライバル?)


 それにしても、フィンちゃんはマジメに神殿で身を清めているというのに、この二人は不真面目極まりない。


 やがて、夕方になり、神託が行われる時間になった。


霊族って不思議・・・。それにしても、平八、トリスタンではモテまくる!

日本では全くだったのに・・・異世界は万歳(笑)

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