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アドミラル~魔法艦隊の艦長に転職したら、彼女(提督)ができました~  作者: 九重七六八
第1章 パンティオン・ジャッジ ~魔法王国メイフィア編
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高速巡洋艦レーヴァテインの秘密(八)

フィンちゃん、行きつけの中古武器屋、ディアロ商会。現金ニコニコ商売で繁盛しています。

「どうです?この船は今ならお買い得ですよ」


 平八たちは中古武器屋に来ている。以前、フィンちゃんと一緒に来たことのある店だ。今回はリメルダと一緒ではあるが。


「ほう?すごいですわね。国軍の放出品が中古で買えるなんて」


 公爵令嬢であるリメルダは、こんな店に来るのは初めてだ。自分の艦隊は主計担当の士官が正規ルートで準備するので、艦隊に必要な備品については頭を悩ましたことはなかった。


 武器屋のオヤジは、フィンちゃんに例のごとく、お買い得と称する空中艦を勧めていたが、今回は第4魔法艦隊撃破ボーナスでゲットした資金が1万ダカットほどあったので、巡洋艦クラスが狙えた。少しでも戦力アップしたいのではあるが、ブルジョアの第3魔法艦隊の充実した戦力の前では、それこそ意味がない補強でもあった。


 頭を悩ましているフィンに平八はアドバイスをしたかったが、特によい案もなかったので今回は、フィンちゃんの好きなように買い物させようと考えていたが、店の隅でゴソゴソと作業している人物が気になった。


「ああ、これはわしの後継です」


そう言って、武器屋のオヤジが紹介した。顔を上げた人物は猫っ毛の栗色の髪を無造作に後ろでしばった男の子であった。年は14、15ってところだろう。背は低く、フィンちゃんやリメルダよりも小柄で、丸いメガネをかけた少年である。目がパッチリしており、少々まつ毛が長い女顔で、美少年の類だ。


「クリオです。お見知りおきを…」


 そう言った声は、まだ声変わりをしていない高い声であった。平八に差し出された手は、小さくスベスベしていた。思わず、平八の心はドキリ・・とする。


(おいおい、美少年にドキっとしてどうする!)


平八は握手をすると、クリオが持っていたファイルが目に入った。


「それは何?」

「あ、これは最近、放出されたもので…」


そうクリオが説明をしようとしたら、オヤジがそれをさえぎった。


「いや、このバカが騙されて仕入れてしまった不良品ですよ。まあ、ただ同然だったのですが、ゴミじゃ買う客もいませんし、大損ですわ」


「でも、父さん、超長距離魔法弾って、珍しいから買うお客さんも…」


「ないない。お前はこの店に来る客のニーズが分かちゃいない。そりゃ、公女様も来ることはあるが、主力客はドラゴン狩りのハンターだ。そんなもの役に立たない。それよりも、それをさっさと廃棄処分にしろ!6千発も仕入れやがって」


「長距離魔法弾?6千発?ちょっと、話を聞かせてよ」


 平八はクリオに説明を求めた。とても興味をもったのだ。元々、平八は第3魔法艦隊にある作戦をもって臨もうとしていた。そのために、トラ吉にある情報を流すように命じたのであるが、作戦を完了させる最後のワンピースが埋まらないでいたのである。



 クリオが武器オークションでただ同然で仕入れてきたのは、ホーミング式超長距離魔法弾道ミサイルという代物。航続距離は3千キロ。元々は妖精族が使っていたもので、妖精族のパンティオン・ジャッジが終了して大量に放出されたらしい。それを魔力で転換し、使えるようにしたのだが、使いどころが難しく、一向に売れない不人気商品となっていた。

平八が注目したのは、そのミサイルが大きく弧を描いて進むことができること。そして、妖精族の武器なので、不意を付けば魔力バリアを通過できる可能性があったことである。


(魔力感知に引っかからない。無論、視認や通常レーダーには捉えられるが)


「それを6千発買おう。クリオくん、手続きを…。フィンちゃん、いいでしょう?これを購入しても」


「平八くんが買いたいなら、買ってもいい」

「本当に買うのか?使い方が想像できないのだが…」


リメルダはそう言って止めたが、提督のフィンが許可したのでそれ以上は言えなかった。6千発の長距離魔法弾道ミサイルをただ同然で売った店のオヤジは、したたかにそれを発射する旧式のミサイル駆逐艦を2隻買わせたのでホクホク顔であったが。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「その話、ガゼネタじゃないでしょうね?」


 ラピスはトラ吉の話が耳を疑った。第一、このケットシー、第5魔法艦隊の艦長の従者である。そんな立場の人間(猫)が、こんな情報をリークするはずがない。


「いえ、艦長の東郷平八自ら、ラピスさんに伝えるようオイラに命令したんですわ」


 飄々と話す猫。この猫があちらこちらの新聞社、テレビ局などのマスコミに情報を流しているというのはラピスも知っていた。その情報というのが、


「第5魔法艦隊旗艦レーヴァテインにデストリガー機能があるということが分かった」


というのである。これは来る第3魔法艦隊と第5魔法艦隊の戦いにおいて、重要な情報であった。戦いの行方を占う賭け率では、第5魔法艦隊の勝ち目がないとして、成立不能という状態であったが、このニュースが流れて10%は勝つ確率があるとされたぐらいである。そして、この度、もたらされた情報は、


「第3魔法艦隊の旗艦をデストリガーで撃沈するという、宣言を東郷平八がしたというのだ」


(ただでさえ、劣勢なのに敵に勝つ方法を指定するなんて、馬鹿げているわ)


 ラピスはそう思って、トラ吉を警戒したが、実はそれなりに真実味があることを他の情報源から掴んでいた。


(確かに、設計者のアンナ・ハメルは、レーヴァテインにデストリガーがあることを証言したわ。現実に考えても、第3魔法艦隊に勝つには旗艦クイーン・エメラルドを撃沈するしかない。しかも、その旗艦は…)


 ラピスは第3魔法艦隊提督ローザ・ベルモントが、テレビの特集番組に登場し、クイーン・エメラルドに20億円もの費用をかけて防御力を高めたという自慢話を思い出した。その魔法防御は、理論上、戦列艦の主砲では撃ち抜けないという情報もある。


「確かに、デストリガーじゃないと、第3公女の旗艦は沈められないけれど、それを当事者の口から出ること自体に驚きを隠せないわ。そんなことマスコミに公表していいの?」


「公表してもオイラたちは必ず勝つからね。これはメイフィア国民へのリップサービスさ」


(ますます怪しい…)


とラピスは思ったが、デストリガー使用宣言を記事にし、それが現実になったときの自分の功績を考えると悪い話ではなかった。この猫やあの異世界の青年が、自分を騙すとも思えなかったし、たぶん、何か意図があるに違いない。


「それじゃあ、ラピスの姉ちゃん。くれぐれも記事の書き間違いがないように…。いいかい、第5魔法艦隊はデストリガーで勝つ」


そう言って、トラ吉が去って、初めてラピスは平八の仕組んだ巧妙な罠に気がついた。

(なるほど…そういうことね。あの猫、デストリガーで勝つとはいってるけど、レーヴァテインの…とは言ってない。面白いわ。記事的には第5魔法艦隊に勝ってもらわないとつまらないわ。今回も従軍記者として、レーヴァテイン…いや、乗るのは別の船の方ね。わたしの考えが正しければ…)


平八メモ

その36 デストリガーは魔法艦隊最大の攻撃方法であり、対ドラゴンの切り札である。

その37 パンティオン・ジャッジにおいて、デストリガーは艦隊旗艦にしか許されていない。例え、撃てる装備があっても封印される。

その38 レーヴァテインを設計したのは、アンナ・ハメル嬢。設計士、オリバー・ハメルの愛娘である。

その39 アンナ・ハメル嬢・・見た目、JCなのに26歳(うそ!)という御仁である。

その40 レーヴァテインにもデストリガーが装備されているが、封印されている。

その41 封印は2重で、一つはガーディアンの守る電子ロック。もう一つはフィンの経験値による時限ロックである。(決勝戦には解除されるらしい)

その42 第5魔法艦隊の副官ミートちゃんのパ○ツは、水玉らしい。(ナセル報告)

その43 トラ吉の本当の名前はジュラルド。妖精族の貴族だったらしい。

その44 第5魔法艦隊は使い勝手の悪い長距離ミサイルを大量に買い込んだ。

その45 中古武器屋の跡取り息子クリオは可愛い美少年だ。


別の船って?平八の作戦って何?役に立たない超長距離ミサイルなんか大量に勝って…なぞは深まる!?

新キャラの武器屋の少年、気になるなあ・・・。毎回、新キャラが出てるんですけど・・。

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