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アドミラル~魔法艦隊の艦長に転職したら、彼女(提督)ができました~  作者: 九重七六八
第1章 パンティオン・ジャッジ ~魔法王国メイフィア編
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処女航海に出たけれど…分からないことだらけです!(弐)

主人公が艦長を務める第5魔法艦隊旗艦レーヴァティンは、艦種は高速巡洋艦。火力は今ひとつだが高速移動ができるのが利点の船です。トリスタンの上空に浮かび、自由に動くことができます。

「前方から接近中の船。認識魔法により識別」

「どこの船だ?」

「所属、第5魔法艦隊旗艦レーヴァテイン他、護衛艦2隻」

「ほう?噂の第5公女の高速巡洋艦か・・・」


 メイフィア国防軍第12パトロール艦隊司令のウルバヌス中将であった。第1大陸に位置するメイフィア王国の東側の巡回パトロール中であった。


「こんなところを航行中とは、試験航海中ってところか」


そうウルバヌスは通過していく高速巡洋艦を見る。


(あれが設計士ハメル卿が設計して建造したという船か…なかなか面白いではないか)


 全長159mのレーヴァテインは、109mのウルバヌスが乗るパトロール護衛艦よりも大きい。だが、所詮は巡洋艦で、他の公女に与えられた戦列艦に比べると大きくはない。


「司令、第5公女殿下はかなりの魔力をお持ちと聞いてますが、なぜ、通常の戦列艦クラスを与えられなかったのでしょうか?」


 そう副官が尋ねた。彼は士官学校を出て副官に抜擢された優秀な青年であった。


「まあ、所詮は序列は5位だ。他の公女方の経験値を上げるための練習相手だから、変わった戦いが展開できるためであろう。あのタイプの巡洋艦はスピード命だからな。戦列艦の火力をもってしても当たらなければ、そこそこ戦えるかもしれない」


「大丈夫でしょうか?ジャッジメントの時までは、あと1年もないのでしょう?」

「ああ。おかげでちょくちょく、こじんまりとした奴らが出てきている。それを見つけ、早いうちに撃破するのも我々の任務の一つだ。どれどれ。公女様が敬礼をしている。こちらもお返しせねば…」


 艦橋がすれ違うときに艦長及び司令官は起立して、敬礼をするのが魔法王国メイフィアの軍隊の決まりであった。


「平八艦長、儀礼です。起立して友軍のパトロール艦に向けて敬礼してください」


そう副官のミートちゃんに言われて、平八は立った。


(敬礼って、やっぱり、右手を伸ばして頭に…)などと考えたが、後ろのフィンを見ると胸に右手を伸ばして当てている。これがこの世界の敬礼らしい。慌てて平八も敬礼する。


「通信入ります!」


 通信担当のプリムちゃんがそう報告する。艦橋のモニター画面に第12パトロール艦隊の旗艦デトマソの艦橋が映される。


「第12パトロール艦隊司令官のウルバヌス・ガガ中将です。第5魔法艦隊提督、フィン・アクエリアス第5公女殿下でいらっしゃいますね」


「は、はい。中将閣下。お初に…お目にかかります」


フィンがそう応えた。


「それに艦長席にいるのが、異世界から来たヘイハチ?君の噂も聞いているよ。公女のいや、この世界のために頑張ってくれたまえ」


 平八はなんて答えて良いかわからない。敬礼したまま無反応な平八を無視して、ウルバヌスは再び、フィンの方へ話題を振る。


「一応、お聞きしますが、公女殿下はどちらに向かう予定ですか?」


「は、はい…あの…」


 フィンは話し慣れていないのか、モジモジしている。そこで副官のミートちゃんが割って入った。


「東へ300キロメートル。マルビナ浮遊島を一周して、首都クロービスに向かう予定です。途中、射撃訓練を実施する予定です」


「そうですか。マルビナ島付近は安全とは思いますが、最近、何頭かSタイプの個体が出現してきています。ご注意ください」

「了解しました。フィン提督も旗艦の安全航海をお祈りしていますと言っております」


 ミートちゃんはテキパキとそう代わりに応えた。でないと、フィンに任せておいては長く微妙な空気が流れてしまう。やがて映像が切れた。第12パトロール艦隊、総数7隻が通過していくのを平八は黙って見ていた。


(Sタイプって何だ?)


 平八は少々疑問に思ったが、そんな疑問は現在のところ数え切れないほどあった。この異世界で平八が知っていることなどないのだから。平八のよりどころは、初恋の相手であるフィンだけである。彼女に会いたい一心だけでここに来たのだから。だが、そんな平八の思いもフィンには通じているのか、通じてないのか…。

 

 フィンは平八と視線が合うとすぐ目をそらしてしまう。時には別室へ移動してしまうのだ。今も平八が艦長席後ろの提督席に座るフィンに視線を送るとフィンは慌てて目を左へ向けてしまう。


(嫌われているのか??いや、待て!今まで失念していたが、ここの住人、魔法国家名フィアの民ってことは…。みんな、魔法が使えるのか!?使えちゃうのか!?)


 となると、平八はやばいことに気づいた。みんな魔法使いで、心の中を読める魔法が使えたりして!そうしたら…。例えば、自分が妄想したエロい映像も全部分っちゃっているとか!いや、フィンについては、エロ妄想はしていない。メグリアさんには少ししたけど…。


(こういう話はやはり、男同士じゃないと)


 平八は艦長席を離れるとスタスタとこの船で自分以外の唯一の男であるナセルのところへ行く。ナセルの肩をポンと叩く。


「な、何?」


 椅子に座って退屈そうに足を上げてあくびをしていたナセルは、暇がつぶせそうと思って、

うれしそうな顔を向けた。


「なあ、お前たちって、魔法王国の住人というなら、魔法が使えるのか?」

「はあ?何だ、そんなことか…」

「そんなことってなんだよ。魔法で人の心が読めるとか、ものすごい攻撃魔法が使えるとか、空が飛べるとか、モンスターを召喚できるとか、相手を眠らせるとか?」


「くっ・・・くははははは…なんだい?そりゃ?そんなスーパーマンがいたら俺は会いたいぜ!平八、お前、笑いの神様が降臨したのか?降臨したんだろう?」

「笑いの神って!僕はお前を笑わせるために聞いたんじゃない!」


 平八が本気で怒ったのを見て、ナセルは真面目顔になった。こいつのこういうところが平八は気に入っている。


「いや、すまん、すまん。魔法王国といっても、魔法が使えるわけじゃないんだ。この国の住人は魔力を持っているものが多いけど、その魔力の変換先は限定されるし、触媒となるものがないとダメだ。例えば…」


 ナセルは懐からハンドガンらしきものを出す。


「これは軍人に支給されるごく普通の護身用の武器だけど、これは持っている人間の魔力に反応して使えるんだ」


そう言うとマガジンを取り出し、銃弾を外して平八につまんで見せた。


「この弾に俺の魔力が込められて、魔弾が発射される。まあ、すごい魔法の代わりになるとは思えないけれど。ちなみにこの武器は軍隊の人間や治安を守る保安部隊の訓練された人間しか手に入らない。だから、一般人には攻撃魔法なんて無理さ。なあ、平八」


「な、なんだよ。急に改まって」

「もし、そんな人の心が分かる魔法やら、眠らせる魔法があって使えたら…」

「使えたら?」

「そりゃあ、男天国、ハーレムだ!女の子食べ放題!イタタタタ…」


 急にナセルが叫びだした。いつの間にか横にミートちゃんがいて、ナセルの耳を引っ張っていた。


「何?男同士、こそこそ話しているの?エッチなこと話してるんじゃないでしょうね?」


そう言うとミートちゃんの大きな胸がプルンと揺れた。


「相変わらず、スザクはいい乳してるなあ…」


 本当に心から感心してナセルが言ってはならないこと(セクハラ)を口に出す。


「な、何ですって?」


 今度は容赦なくミートちゃんの平手打ちがナセルの頬を直撃する。


「痛っ…。容赦ないなお前は」


 ナセルは頬をさすって、椅子に座りなおす。平八がナセルをいい奴だと思うのは、女の子に叩かれても反撃しないところだ。いつも笑って許している。といっても、暴力ふるうのはミートちゃんだけだが。この二人を見ているとただの夫婦漫才か、ただのノロケのしか見えないのだ。


(ただ、ナセル曰く、別にミートちゃんは彼女じゃないらしいが)


「艦長も艦長です。この男とつるんでいると毒されます」


 ミートちゃんがそう言って睨むので、渋々、平八は艦長席に戻るしかなかった。後で詳しくナセルから聞いた話によると、一般的なメイフィア国民が使えるのは、衝撃を緩和する魔法、人を少しだけ治癒する魔法、あと別言語が理解できる魔法らしい。そう言えば、こちらに来て不思議な刻印のある飴玉を食べろと言われて食べたが、あの飴玉が別言語を理解できる触媒だそうで、おかげでフィンたちの言語が平八も理解できるのだ。平八もこの世界では、魔法が使えるらしい。


(と言っても、現在は言葉が理解できる魔法とこの巡洋艦に魔力を供給するバッテリーに過ぎないが)



魔法族国家メイフィアの民は魔力を使って日々生活しています。例えば、携帯電話も触媒になる機械を通して、魔法で会話ができるという設定です。つまり、魔力があってもそれを魔法力に変えないと魔法にならないのです。

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