高速巡洋艦レーヴァテインの秘密(六)
今回は主人公の従者トラ吉の秘密が公開・・・。コイツって、なんと!
平八、フィン、リメルダが屋敷の中で話し込んでいる最中、トラ吉とナアムは庭にいた。
「ねえ、黙っていないで!ジェラルド」
「前も行ったけど、オイラはその名を剥奪された。今は平八の従者、トラ吉だ。ナアム主席補佐官」
「だから、政敵のオージュロ公爵は失脚しました。ローエングリーン姫様が女王になられたのです。ジェラルド伯爵たるあなたも恩赦で復帰できますわ」
「ダメだ。戻る気もないし、戻りたくもない。所詮、あそこは俺のいる場所じゃない」
「だけど、魔法族の戦いに参加するのも理解できないわ」
「それを言うなら、君もなんで第2魔法艦隊の艦長なんかしているのだ。女王を補佐する首相を支える補佐官だったろ」
「それはペットの身分に落とされて、どこぞに売り飛ばされたあなたの行方を探している途中でリメルダに会って友達になったから。この人はこの世界に何か重要な役割を果たしてくれる人だと思ったから、協力しているのよ」
「ふっ!」
トラ吉はタバコを取り出してそれに火を点け加えた。妖精族で流行っている甘味タバコだ。吸うと甘い香りがして、さらにビタミン補給ができるという健康食品なのだ。
「それはオイラも同じだ。東郷平八…旦那は世界を救う御仁だ。俺はそれを支える運命なのだ。だから、幼馴染でかつては婚約者だったかもしれないが、俺のことは忘れてくれ」
「はあ?相変わらず、カッコつけてるけど、ダサいわね。あなたが追放される前にヤケだと言って、キャバクラで豪遊したツケ、わたしに回したこと忘れたの?なんで、わたしがあなたのスカートめくりしたオプション料を払わなくちゃいけないの!」
「いや、それは払おうと思ったら、すぐ捕らえられてしまったから」
「だから、国に戻って働いてお金返せって言ってます!ああ、でも、どうでもいいわ。分かりました。あなたは平八、わたしはリメルダ様。お互いに見込んだ人類の救世主に運命を委ねましょう。リメルダ様は平八にぞっこんですから」
「ああ、あのツンデレちゃん、やっぱり、旦那に首ったけか。でも、旦那はフィン第5公女に首ったけだ。その思いは通じないぞ」
「男と女の関係はどうなるか分からないわ。特にこの世界の存続に深く関わっている人たちですから…。ねえ、ジュラルド」
「その名は剥奪されたって言っただろう。今はトラ吉だ」
「分かったわ、トラ吉。助けてくれたお礼を言っておくわ。ありがとう…」
ナアムはブルーピクシーが落ちた時に、トラ吉が土下座までして救出を願ったことをレーヴァテインの乗組員から聞いていたのだ。
「ふん。一応、幼馴染だからな」
トラ吉はそう言って、携帯灰皿を取り出して、甘味タバコを消した。屋敷のドアから主人たちが出てくるのが見えたからだ。
「なあ、ナアム」
「なんです?」
「その救出の件でチャラというのはどうだ?」
「チャラって?豪遊したツケ?」
ナアムは優しい眼差しを向けたが、態度は正反対であった。両手(といっても猫の手だが)でトラ吉のこめかみを挟むとグリグリしだした。
「それとこれとは別だわよ!あんたのツケでこっちはボーナス吹き飛んだのだから!いや、そんなことより、何ですか?スカートピラピラオプション、お尻でグリグリオプション、挙げ句の果てにはパフパフむっちりオプション?いかがわしい遊びをなさって!婚約者を傷つけた慰謝料こみです!」
「そ、そんなこと言っても、婚約は解消したんじゃ~」
「解消していません!お母様は激怒していましたけど、お父様が(男には男にしか分からない事情がある。女は黙っておれ!)なんて言って、あなたを探してこいなどと言うんですから。解消していません。今後はわたしはリメルダ姫様と行動しますから、あなたの行動も監視できます」
ケットシーは、猫の姿をした妖精族である。靴を履いて二本足走行をする。妖精力(魔力)の高さと頭の良さで妖精族の国だけでなく、トリスタン全体で広く活躍していた。ナアムとトラ吉もそういった意味で主人公たちを支えるキーパーソン(キーアニマル?)となるだろう。
甘タバコって、昔あった駄菓子のチョコレートのタバコ?時代の流れでとんと見かけないが・・。やっぱり、製造中止か?それにしても、トラ吉、いけないお店でなんてことしてるのやら・・・。(但し、猫です・・長靴をはいた猫のイメージ)お店も猫です!だから変な想像してはいけません。




