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私は君の盾となり剣になりたい 外伝  作者: 浅葱


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ゾンビと私と息子-5


挿絵(By みてみん)


体の動きが鈍い気がする

風邪でも引いたかもしれない

愛する息子、修二に移すと嫌なので早めに寝て回復しようと思い

寝ている修二(しゅうじ)のベットに入ろうとしたところ

レオさんが呼び止める

(かえで)さん、ちょっと良いか?」

「どうしました?レオさん」

レオさんがテーブル横で手招きをしているので、私は修二が眠るベットに入るのを止めテーブル横のレオさんのところに移動した


「動かないで」と、レオさんが言うとレオさんの両手が私の方に伸び

レオさんの両手の指が私の顔に優しく触れる

心臓の鼓動が早まる「レオさん駄目です」と言いかけた

レオさんの指は、私のまぶたの下に触れ下に引き下げ充血具合や眼球を見ている


「楓さん、時間だ」

「遅くとも、明日の夜には、、、、」

「出て行くなら、今夜が良いと思う」

「今夜出ていくなら修二くんを襲うこともなく」

「コロニーに被害もない」


私は、レオさんの言葉を聞き気が動転した

覚悟はしていた

愛する我が子を傷つけるぐらいならば

コロニーの仲間を傷つけるぐらいならば

フェンスの外に出ようと

しかし、こんなにもその時が来るのが早いとは思わなかった


「本当に?」

「だって、何も変化無いですよね」私はレオに問う

「眼球が黄色く濁り、血管が浮き出ている」

「顔色が異常に白く、肌がガサガサ」

「今夜が良いと思う」

「明日の晩には、私が修二君を守るために楓さんを()ってしまう」


「わ、かりました」

私は息子や仲間を傷つけるくらいなら、レオさんの警告を受け入れた

「修二を」

「私の息子を頼みます」私はレオさんの目を見てお願いした

「約束する」レオさんは私と約束をした


「レオさん、お願いがあります」

「私が居なくなり息子が一人で生きていく世界、一体でもゾンビが居ない世界が良いです」

「ゲートの外に出る際に武器を携帯させてください」

「私がゾンビ化するまでの間、一体でも多くのゾンビを破壊したい」


「私も楓さんに一体でも多くのゾンビを倒して欲しいと思うのですが」

「残念ですが、楓さんは訓練を受けた人なので、武器を持った楓さんがゾンビになった場合、我々は太刀打ちできない」

「ですので、たいした武器は渡せない」


私達は、修二の眠る部屋を出た

2人は、コロニーの外に出るためのゲートに向かう

「楓さん」レオさんは手に持つ棒を私に手渡した

私に渡せる武器は、長さ1mぐらいの棒だった

この棒で私は、私が居なくなる世界で息子が一人で生きていく為に一体でも多くのゾンビを倒すことになる

もう、やることは決まった

涙は出ない


コロニーのゲートが開く

監視員の2人は、私を見て敬礼をする

レオさんは「ご武運を」と言い私を見送った

私の背後でゲートが閉まる音がする



私がゾンビ化する前に、多くのゾンビを倒そう

愛する、若との間に授かった愛する息子が私が居ない世界で、少しでも幸せになれるように

この思いだけを思考する


私はしゃがみ、周囲を見渡す

ゾンビ達に、囲まれたら終わりだ

囲まれたら、私もすぐにゾンビになってしまうだろう

群れていない、単体のゾンビを狙うことにする

足元を見ると、折れた枝がある

拾い上げ、右手にレオさんからもらった1mぐらいの棒

左手には、今拾い上げた折れた枝

これが、私の装備

足掻(あが)いてやる

手が無くなれば足で

足が無くなれば口で

お前らの頭を食いちぎってやる

全ては修二に為に


「愛している」

私は小声で囁き、すばやくゾンビの傍に行き

棒で倒し、目を枝で刺した

ゾンビの動きが無くなるのを確認すると目から枝を抜き

次のターゲットを探すために、身をかがみ辺りを観察する

ターゲットを見つけると素早く近づき倒し目を刺すを繰り返した


辺りが明るくなってきた

もう、ゾンビを何体倒したか分からない

躰がだるい

何度か反撃に合い両腕は傷だらけになってしまった


なぜ、私は戦っているんだろう

何か大切な者のためにゾンビを倒していた気がする

誰のだろう?

つかれた

思考が安定しない

考えることが面倒になってきている


逢いたい

誰に?

あの人に、、

逢いたい

誰に?


若だ

私の愛する人


私は想いを口に出そうと口を開け

「あ・じ・だ・い」

口も上手く回らなくなってきた

「わ・がに、あ・じ・だ・い」

口がうまく回らず、上手く閉まらず

唾液が垂れている

こんな姿を若に見られたら笑われてしまう

私は腕で口から垂れる唾液を拭った

しかし、暫くすると再び私の口元からは唾液が(したた)っていた


私は右手に持つ棒を捨て、若を探すために歩き出す

もう、フラフラと真っ直ぐに歩けない

思考が安定しない

ろれつが回らない

口元からは唾液が滴る

若〜何処?

私は若に出会うため、フラフラしながら歩き続ける


もう何時間も若を探しているような気がする

いや、30分位かもしれない

しかし、ようやく見つけた

私の愛する若

若もボロボロの服を着て

唾液を垂らしているから私と同じだと思った

私は、若に会えたことが嬉しく笑顔で近寄る

若も私だと分かったらしく、手を広げ私を受け入れた

あーようやく会えた

若!沢山、話をしましょう

そして沢山、愛し合いましょう

私は、若が広げた手の中に入った


若の口は、私の首筋をかじった


私は若を振り払い、左手で持つ枝を目に刺した

私は動かなくなった若を抱きしめている

幸せだ


おわり

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