前編
今日で先輩はこの学校から去ってしまう。
何の接点もない私は、これからは先輩の姿を見ることも叶わなくなるのだ。
先輩を始めてみたのは、二学期の体育祭の日だった。
応援団員だった先輩は、前半部の締めくくりの応援合戦で、
学ランを着てエールを贈っていた。
秋空が広がりつつもまだ暑い日だった。
午前の部の、障害走を3位という成績で終えた私は、ほっとして気が大きくなっていた。
いつもと違う空気にテンションがあがり、友人たちとおしゃべりをして。
リレーが始まったら、大きく声援を送り、
体育祭を楽しんでいた。
そんな時、グループ対抗の応援合戦が始まった。
白い体操着でうめつくされている、運動場に、
きりっと映える黒い学ラン。
ちょっと胸が高鳴って。
何かに期待する感じ。
そして始まる大声量。
先輩は、応援旗をふる係りだった。
背丈の三倍はある旗は、女子ではとても立てることもできないであろう
重さだろうが、先輩は右に左に、巧みに操っていた。
真剣なまなざし。
額から落ちる汗。
先輩が放つ空気が、私をイッシュンにしてとりこにしてしまったのだ。
ああ。
落ちてしまった。
人生初の一目ぼれ。
それからの日々は、楽しくもあり、苦しくもあった。
先輩が見れたといってははしゃぎ。
今日は見れなかったといっては落ち込み。
そうこうするうちに冬になり、先輩には、私と同じ一年に彼女ができたと噂をきいた。
いいんだ。
あこがれだから。
強がったけれど、胸の痛みは消えなかった・・・・。
そして学年があがり、クラス替えが行われた。
幸い、彼女さんとは同じクラスにはならず。
合同授業もない。
よかった。
先輩を見れるのは今でもうれしい。
すごく嬉しい\\\\。
でも、彼女と笑いあっているところなんて、見たくない。
自分の中で何かが壊れる音がする。
そうして、安堵し、クラスになじんだころ、市内の部活動の区切りである大会が行われた。
運動部に所属していないものは、好きな部活を応援しにいってもいいので、
私はもちろん、先輩の所属するサッカー部の応援見学に行った。
これで、放課後先輩がグランドで走る姿も見れなくなるのかと思うと寂しかった。
胸の奥で、小さく凍りついたような痛みがあった。
夏がきて、先輩が彼女と別れたって噂が聞こえた。
彼女は派手好きで、部活も引退して、目立つことのなくなった先輩といるのがつまらなくなったと聞いた。
先輩も受験にむけて、腰をいれるために、
別れるのもいいかと思って、二人は、円満に別れたらしい。
円満に別れれちゃうつきあいって何?
そんな付き合いに泣いてきた私は何なんだろう・・・。
複雑ながらもやっぱり嬉しくって。
先輩の横に並ぶ夢を見たり。




