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幻想世界レスエンティア  作者: 三之月卯兎
ネタバレ番外編
46/62

追う者

気の迷いで書いた先の展開。

キャラ設定ばれあるので二章続きの

『寄り道』まで飛ぶことをお勧めします。

「つまり、自分にあの人たちを捕まえて来いと?」


トーラスは、目の前に座る人物に思ったことをそのまま問いかけた。


「そうだ、君は彼らの仲間だったのだろう」


答えた男の名はアイザック・ザルトス。

この場所の最高責任者である。


「仲間っていうか、巻き込まれたって方ですけどね、まぁ、面識があったのは否定しないっス」


そう言いながら、トーラスは手元にある 資料に目を通す。

そこにあるのは5人の顔が書かれている。いわゆる手配書といわれるものだ。


「この5人を捕まえるのが自分に可能だと思います?」


手元にある手配書には5人。だが、そこに描かれているのは人だけとは限らない。


「こちらで、仲間を用意しよう」


トーラスの問いに顔一つ変えずに答えるアイザック。

既に、この問いがされる事は想定されていたようだ。


「あの・・・、この件から降りるってことはできないんですかね?」

「降りるのは構わんが、その場合、彼らを幇助したということで君を裁かなくてはならないな」


淡々と返ってくる回答にトーラスの顔が引きつる。

この案件を断った場合、自身の安全が遠い彼方に行ってしまうであろうことが予想つく。

観念して返答した。


「受けさせていただきます」


こうして、トーラスは捕縛任務を請け負うこととなった。


捕縛対象は5人。

しかも、対象のうち4人が人外。

面識はあるものの厄介な顔ぶれだ。

トーラスは渡された対象の資料に目を通す。


ハイドラット・アルフォニカ


対象、一人目。

身体能力としては冒険者の平均ぐらいと言っていい。

戦闘能力もそこまで高いとは言えない。

自分が、まともに遣り合えば確実に勝てるであろう。

だがそれは、まともに遣り合えばの話だ。

火薬類を中心に爆破を得意とし、隠密に長け、感知が鋭い。

並みの戦闘力しかないのにチームを結成する以前から所属していたギルド内の探索部門においてはトップだったという。

性格に問題あり。

ギルドでの異名は、『逃げのハイドラット』


ルトリラ・アルフォニカ


対象2人目。

今回の任務の重要人物その1

所属していたギルドにおいてはハイドラットの妹とされているが真偽は不明。

ハイドラットとは髪の色も容姿も似つかない。

特徴的な大きな首輪をしており、真偽は定かではないが耳の上部から角が生えていたという報告もある。

見たこともない魔法術式を扱い都市を壊滅させた張本人とされる。

赤竜アグアニスと対話し退かせたので、竜の化身ではないかという噂もある謎の幼女。

なぜか、年寄りのような口調で喋る。


メイム・ネムレス


対象3人目。

小柄なエルフの少女。

特徴的な耳を持ち、魔術適性の高い種族。

長寿であり、彼女が見た目通りの少女であるかは不明。

エルフは弓が得意とされるが、彼女においては大剣を得物とし、近接格闘術が得意。

短絡かつ直情的な人物。

他のエルフと比べ膨大な魔力量を持つ。

今回の任務の重要人物その2。



ナナシ


対象4人目。

特徴も何も見た目はオークそのものである。

豚頭であり、本能のままに生き性欲の化身とされ知能は低い。とされるが、このナナシにおいては規格外である。

人語を扱い、理知的。

得意は、裁縫・料理など。

最近、街で増えた料理のレシピや女性下着は、コイツが考案したものとの噂がある。

女性を襲ったことはないが来るものは拒まないらしい。

コイツに抱かれたいと思う女は本当に正気なのだとろうか?

このオークが持つ知識には目を見張るものがあり今回の任務の重要人物その3。



フュンフィー


対象5人目。

こちらも見た目は人であるが、恐るべきことにスライムだと言う。

ナナシが遺跡から持ち帰ったスライムを変質させたものらしいが、驚くことに自我を持ち会話が可能。

性別は不明。見た目は少女。

全身が液体でありその性質はスライムの特性通り、自由に変化できるらしい。

自我を持つ希少な例であるがゆえに捕縛リストに上がっているが、遭遇しただけでも厄介なスライム。

液状の体故に、物理的な攻撃はほぼ効かない。

そのうえ意思を持ち武装してるのをどう捕獲しろと言うのか・・・



トーラスは資料に目を通し終わると、アイザックに改めて問う。


「捕まえることが目的でありますが、殺してしまっても構わないでしょうか?」


対象の身体能力を考えるに、捕獲してから生きたままこちらまで連れ帰るのは不可能だと判断する。

資料にある通りなら、この中で捕縛が可能なのは、リーダーとされるハイドラットくらいであろう。

この集団のリーダーが戦闘力の低いハイドラットというのが謎である。


「ふむ、構わんよ。生死は問わない」


あっさりとそう答えるアイザックにトーラスは疑問を感じた。


「彼らは貴重な知識を持っているだけに生かしてはおきたいが、それで捕獲できないのでは意味がない。

価値を考えれば、教会も蘇生に協力するだろう」


蘇生術は、教会で行うことのできる大魔術である。

20人以上の神官を必要とし、さらに莫大な寄付を必要とする。


「殺すのは良いが、蘇生不可能な状態にならないように注意したまえ。君も同じ状態にしなくてはならなくなる」


アイザックの見据える眼力が脅しではないと告げる。


「わかりました、肝に銘じます」


トーラスは胸に腕を添え敬服を示す。


「では、準備もあるだろう。明日の早朝にここに来たまえ。それまでに仲間も用意しておこう」


そう告げるアイザックにトーラスは敬礼すると部屋をあとにした。



トーラスは自身を被害者だと思っている。

半月前に起こった迷宮都市ルブラスカの消失には巻き込まれただけ。

トーラスは、3か月前に迷宮都市の夜空を昼に変えた謎の現象の調査でルブラスカを訪れた。

調査を進めるうちにその件の重要人物としてハイドラット一味が浮上した。

トーラスは真相を知るべく奮闘し、なんとか彼らの仲間に加わることに成功した。

そして、彼ら一行は迷宮内であの事件を起こし、ルブラスカを壊滅させることとなった。


「まさか自分が生贄にさせるとは思わなかったっス・・・。」


トーラスがここにいるのは、王都騎士団に捕まったからである。

捕まったのはトーラス一人だけ。

かの一行は事件直後トーラスを残してとんずらこいたのだ。

ルブラスカで捕まったトーラスは、ここ王都の一角にある騎士団の訓練所に幽閉され、昨日まで尋問を受けていた。

勿論、痛みを伴う方だ。

ハイドラット達の目的は迷宮の深層への到達。

目的は不明だが、彼らが本気であったのは間違いない。

だが、現在、彼らはそこにはいない。

ここから西の果てにある領域の壁を越え、更に先の獣人域にいるとお告げがあったらしい。

占ったのは宮廷占星術師とのこと。

アイザック隊長曰く、その情報に間違い無いらしい。

トーラスはおもむろに懐から地図を取り出すと広げた。

この辺り地図だ。


「捕まえて来いって言っても半月でこの移動距離・・・、自分なんかに務まるんスかね・・・」


地図に収まらぬ左の虚空を見つめ、トーラスは溜め息をついた。

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