無限と夢幻
きょだいなハンターは勿論、隙を見せたオレを狙って釜を振り落とす。
ガチン‼
そんな金属音が、聞こえるとオレの前に陽歌の人形がおり、ナイフでカマキリの攻撃を防いでいた。
カマキリは即座に二本目の釜を振り落とす。
そこを狙っていたルシアがカマキリの腹を槍で攻撃する。
陽歌は人形を操り、何かの劇のように優雅にカマキリを斬りつける。
オレは何もしていない。
命の危険をいつも陽歌に助けてもらい、足をひっぱっている。
ーオレも守りたいー
そう思った瞬間、剣は青く染まる。
まるで、剣が、戦えっと言っているように。
オレは剣を強く握りカマキリに突っ込んでいく。
その頃、ルシアたちはかなり追い詰められていた。
魔力が尽きかけていたのだ。
魔力とは想いの強さ。つまり、圧倒的な攻撃力に諦めかけていたのだ。
「はぁはぁ、なんて奴だ。攻撃が全然効いてない。」
ルシアが弱音を吐く。
「諦めないで、希望を捨てないで。」
魔力の元を知っている陽歌はルシアの心が折れないように励ます。
人形はすでにボロボロだった。
これ以上、あのハンターの攻撃を受ることは無理だ。
陽歌も頭ではわかっていても、心は折れかけていた。
ハンターが無慈悲にもかまを振り落とそうとする。
振り落とした釜が彼女たちに当たる直前でカマキリは体制を崩し倒れる。
カマキリは大きな体を支えていた脚を切り落とされたのだ。
当然、その脚は硬くルシアの神なる槍の攻撃、巨人の斧での一撃、閻魔大王のハンマーの打撃にも耐え、陽歌の人形の切り裂きにもびくともしなかった脚がいとも簡単に切り落とされたのだった。
切り落としたのは青き剣をもつ青年、サカキバラ コウスケだった。
彼の持つ剣は四次元龍から造られた剣。つまり、魔力次第ではなんでも切り裂くことのできる剣。
そんな剣に、とって虫の脚を切り落とすなど、包丁で絹豆腐を切ることよりも簡単なことなのだ。
「待たせたな、やっと目が覚めた。」
オレはフッと笑う。
「バ~カ!寝ぼけ過ぎだ。」
ルシアが笑顔で返す。
カマキリは体制を整えると奇妙な声で鳴きはじめた。きっとおこっている。
それでも、覚悟を決めたオレには負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
「さぁて、解剖の時間だ!覚悟はいいか?」
カマキリの釜をスルリとかわし奴の目の前に行く。
そこで、剣を振り落とす。
「これで終了だぁ!」
剣のリーチから頭のみをまっぷたつにしたつもりだったが、カマキリは体ごとまっぷたつになる。
カマキリはまっぷたつになると黒い煙となり姿を消した。
戦闘が終わるとオレは腰を抜かす。
「コウスケ!凄いじゃん。私でも無理だったカマキリを倒すなんて・・・・・
なんか、悔しい!!!」
ルシアは悔しいと言いながらも笑っていた。
陽歌が人形を魔方陣に戻すと、
「・・・・・覚悟を決めたのね、コウスケ。」
陽歌は悲しそうに言う。
「ああ、決めた。オレは絶対に陽歌とルシアを連れて元のセカイに戻る。そう決めた。」
しかし、陽歌の表情は変わらなかった。
「帰すわけねーだろ!バァカ‼」
ここは夢幻のセカイ。サカキバラたちの居るセカイの別空間。
そこに、あの魔女 ベラ=マリルートは居た。
「ぎゃはははは‼あー。笑える。腹筋が壊れる。ぎゃははは‼」
魔女はテーブルをバンバンと叩き大笑いする。
「賑やかですね。何かあったんですか?」
緑色の葉を包んだ風から1人の女性が現れる。
「おぉ、アルバか、そなたの駒は実に面白い!そなた、もしや我を笑い殺すつもりか?
あひゃっひゃっひゃっひゃ!」
ベラはまた、笑いだす。
はぁ。とアルバと呼ばれた彼女はため息を漏らす。
彼女の本名はアルバ・ロイズ・カタストロフィ。ムゲンノゲームにおいて、人間側につく。つまりベラの対戦相手だ。彼女は魔界の王で時を司りし者でもある。
「ベラ。対戦中なので余り言いたくはありませんが、いいます。
他人の痛みを知りなさい‼」
その怒りはベラにもよくわかった。
「は、はい。」
ようやく、ベラは大人しくなる。
しかし、それは一瞬だった。
「あのサカキバラという男。気に入ったぞ。まさか、四次元龍の剣を操るとはとても興味深い。
しかし、あの剣はどこで手に入れたんだ?もう、作れない筈なのになぁ?」
ベラは首を傾げる。
「そうですね。あなたが全滅させてしまいましたからね。」
アルバは嫌みっぽく言う。が無駄だった。
「褒めるでない。ということは、全滅前。つまり、300年前以上前に手に入れた奴がいるってことだよな。」
「そうですね。しかし、四次元龍はかなりの戦闘カを持ちます。それを倒して牙を手に入れるのはわずかの人物だけ。」
「剣はどうでもいい。ただ、それを使い操るサカキバラのことを知りたい。」
ベラはチラッとアルバをみる。
視線にきがついたアルバは答える。
「私の駒は100%には思い通りにはできません。偶然や他の者の干渉や妨害により、絶対には望んだ駒は用意出来ないのです。」
ベラは紅茶を飲みながらふーんと言うと
「つまり、ゲストが来る可能性は低くはないという事か。
面白い。その偶然が何処まで続くか楽しみなものだ。あはははは‼」
夢幻のセカイでは魔女の声がどこまでも響いた。
そして、のちに帰ってきたアモンに怒られるのであった。




