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愚者の夢、破滅の王  作者: あいますく
3/8

2話 前編 ようやく名乗ったか

「カンパーイ!」

一斉にグラスをあげる。

俺は果実酒。セッテはエール。レジーは気味の悪い色の液体。知らない男女が1人ずついるが男の方は俺と同じ果実酒。女の方はエールだった。

座る順は俺から右回りにセッテ、男、レジー、女だった。

セッテが仕切り始める。

「さて、今回我らがギルドに新たなる仲間が加わった。名前を言ってくれ!」

「リーデル・サントガラルだ。色々あって旅に出ていた。戦いは未熟だが旅で培ったスキルを使っていきたい。よろしく頼む。」

拍手が起こる。

「それじゃあ俺から右回りに名乗っていこうか。俺はセッテ。セッテ・アックィだ。ジョブは上級剣士。一応ギルドリーダーをやっている。」

次の男。にこやかな好青年。痩せてはいるが、筋肉質な腕。緑の髪がボサボサとはねている。メガネをクイッとあげて言った。

「僕はクワット・ロッテ。クワットって呼んでくれ。ジョブは回復術士だけど基本は荷物持ちだよ。」

レジー、あの謎の液体を取りに行くと言って二階に上がっていったため、保留。

次の女。気の強そうな女。髪にはポニーテールを常日頃しているような跡が残っている。その長い髪をいじらせながら気だるげに言う。

「オトフィ・アンメ。魔法使い。」

セッテが自慢げに言う。

「この料理はオトフィが作ったんだ。ここでは1番の料理の腕を持っている。」

オトフィは平静を装って、しかし、少し嬉しそうに、

「そんなことないわ。」と言った。

その時、レジーが2階から謎の液体を2つ持って階段を降りてきた。

「おお!丁度いい。レジー、自己紹介を。」

瓶を置いて、答える。

「私はレジー・スパーダ。冠位を付けるならラ・レジー・ナデラ・スパーダ。錬金術師よ。よろしくね。」

にこやかに笑う。

そういえば聞いたことがある。

わずか15歳の少女が最上位の証である冠位『偉大なる錬金術師』を獲得したと。

「じゃああんたが『偉大なる錬金術師レジー・スパーダ』なのか?」

「巷ではそう言われているわね。」

大変な人物だった。それならあれほど強いのもうなずける。

1人で勝手に納得していると、宴はおかしな方向に進んでいた。

あの謎の液体を誰が飲むか賭けをしている。

バカバカしい。

宴がお開きになった後、俺とレジー以外は皆倒れ込んでいた。

レジーが1人で運べると言うので俺は言葉に甘えて自分の部屋を見繕い、眠ることにした。


翌朝、1階に降りると一番乗りではなかった。

「ああ、おはようリーデル君。よく眠れたかい?」

クワットが朝食を作っていた。

「ああ。そういうクワットは大丈夫なのか?」

「慣れてるからね。」

慣れているのか……

次に起きてきたのはセッテだった。

「おお、リーデル。意外と早いんだな。」

「おはよう、セッテ。」

届けられた朝食は王国のメインストリートに相応しい、立派なものだった。

ここ最近はエネルギー効率のいいものしか取っていなかったので、まともな食事は久しぶりだ。


俺が朝食を半分食べ、セッテが食べ終わった頃。

レジーが起きてきた。

「おはようございます。」スカートをちょこんと摘んでお辞儀をする。

口々におはようと言う。

レジーの座った席に朝食が届けられる。

が、俺たちの物とは異なっていた。

俺たちが普通の食事なら、彼女は果実を3つ分切った物だった

赤い外套に包まれた甘美なる果実。外套の下には白い果肉があった。

そこから甘美なる蜜が溢れ出るのが見て取れる。

小さなフォークを突き刺し、小さな唇に運ぶ。

しばらく咀嚼した後、満足したように口角を上げるのであった。


俺も、レジーも朝食を食べ終わったが、未だオトフィは起きてこない。

と、そんなことを思っていた時、鳥が飛んできた。伝書を持っている。

「依頼だ。準備しろ。」

文書を読んだセッテはそう告げた。

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