1話 前編 世界最後の絶望
街を歩いていた。
目指す先はただ一つ。
ウナバ・ストーネという名の冒険者ギルド──
始まりの舞台にたどり着いた。
ここから、俺の戦いが始まる。
カランカラン
店の扉が小気味よい音を奏でる。
このネウカー王国にノックなんてものは不要だ。
「誰だ?依頼人か?」
そう言って出てきたのは赤髪の角刈りで大柄な男。身長190cm程度だろうか。
剣士、あるいは武闘家と言ったところか。
「いや。俺は入団に来た。」
すると男は目を丸くした後、
「はっはっは!」
大きく笑った。
「何がおかしい。」
つい俺は声を荒立ててしまった。
「いやぁ、貴様のようなヘナチョコに何が出来る?魔法か?」
「俺は剣士だ。」
「なら学校いって剣の持ち方から勉強してきな。話はそれからだ。」
そう言って男は後ろを向いた。
俺はその背中に叫んだ。
「なら、1戦試してみるか。」
男はゆっくりと振り向く。
「ほう。言うじゃねえか。」
連れてこられたのは地下闘技場。普段は訓練所として使用しているようだ。
「これで勝負だ。」
投げ渡されたのは木の剣だ。刃渡りは40cm程の小さく軽い剣。
「こんな小さいのか。」
「お前、流れのもんか。この辺ではこのサイズが普通だぞ?」
「そうなのか、問題ない。」
「随分と余裕だな?かかってこいよ。」
大きく息を吸って、吐いて。
1歩を大きく踏み出す。それは玄人なら瞬間的にわかるような踏み出しだった。
突きの姿勢をとる。が、簡単にいなされる。
そこまでは計算通りだ。
弾かれた反動を利用し、順手から逆手に持ち変える。
切りかかる。
が、浅い。
読まれていたようで最小限のダメージであった。
「なるほど、流派剣術じゃなく野戦剣術か。」
何かに納得したように男は大きく頷いた。
「まだやるか?」
「いや、もういい。お前は合格だ。」
「本当か!」
「ああ。お前の剣の腕はまだまだだが、気迫だけは一流だ。ここで捨て置くのは惜しい。」
「光栄だよ。」
「ようこそ“ウナバ・ストーネ”へ。」
こうして俺は無事に、ギルドに入ることが出来たのだった。
必ず、使命を果たしてみせよう。