表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/37

Thunder Ray

動き出す––––––––––––––

「翡翠さんお帰りなさいです」

斉が言う。翡翠は少しだけ会釈して奥に行った。眼は少し真剣であった。斉はそれを見ずにコーヒーを飲んで本を読み始めた。



「春さんみたいですねあんた」

有栖は言う。手には木刀が握られていた。新沢は息を切らしていた。有栖は一切魔法を使わなかったが新沢は魔法を使って闘った、だが手も足も出なかった。有栖は全くバテた様子を見せなかった。新沢は汗だくになっている。

「マジですか…てか俺単位…」

新沢は言った。そう、単位。これが問題である。テストもゆっくりと迫ってきている。あまり時間はない。

あの大会が延期になったとはいえ、出席日数やらがある。

「師匠に頼みなよ、何とかなるから」

有栖は言う。そして有栖は寝転んで大きく息を吐いた。そして携帯を取り出して電話をかけ始めた。

「今超良いところなんですけど」

時雨が後ろから言った。新沢は驚いて尻餅をつく。時雨は構わずに手をあわせる。

「ふむ、要は新沢が出席しているようにすればいいのだろう、あとは…テストを弄ろうか」

時雨は言い、新沢の頭を小突いた。頭に何か入った気がした。時雨は笑って言う。

「今から約2年間君はテストの答えが直ぐに出てくるようになる。まあ意味はいずれ分かる」

「てか、新沢さん続きですよ」

有栖が木刀を構えて言う。有栖は片手で木刀を素早く操ってくる。だったら–––––––––

「創造 宝刀 銀」

新沢は刀を創った。その刀はとても軽く、刀身も少し長い。有栖は剣を振り下ろす、新沢もそれに合わせて刀を振るう。よし付いていける!新沢はそう思い、有栖の攻撃をいなしながら近く。

「ほほ〜強いなぁ〜元々の身体能力の高さに創造魔法はチートやな〜」

有栖は剣を振りながら言う。新沢は構わず刀を振るう、刀は有栖の肩を捉える。有栖は少し驚いた様子で新沢を蹴る。新沢は少し体制を崩す。だが直ぐに剣を持ち替え有栖に拳を放つ。有栖はその拳を左手で払う。その力は強く、拳の方向が逸れる。すかさず新沢は有栖に刀を突き刺す。有栖はその場に倒れこむ。有栖は直ぐさま起き上がる。有栖はピンピンしていた。

「危ないっすよ〜あと少しで本当に刺さるところじゃないですかぁ〜」

有栖はそう言って木刀をその場に置く。木刀は少し朽ちていた。そして新しい木刀を持って言う。

「ほんじゃ続きやな」

無茶言うなよ、新沢はそう思った。だが直ぐに思い直し有栖に向かって行く。今ここで立ち止まるわけには…



「お帰りなさい、京極さん」

斉は言う。前から百足…いや京極が慌てて走って来ていた。斉はその様子を察知して百足に駆け寄る。

「来たぞ、”奴ら”だ。Jー18に行くぞ」

京極が慌てた様子で言う。斉は慌てて自分の部屋に戻る。そして前から翡翠が眠そうな様子で出てくる。

「俺が時間を稼ぐ。だからお前らあそこへ先いけ」

男が言う。そして詠唱する。

「酸魔法、宝蓮槍」

手には槍が握られる。そしてそれを前に投げる。

「ロヴァリエ」

槍を投げた先からも詠唱され、光が飛んでくる。男はそれを躱し、また槍を投げる。

「サンダーナイト」

また光が飛んでくる。今度の光線はとても早く、男は躱せなかった。男の肩に命中し肩から血が流れる。

「貴様らを殺しにきた」

前から声がする。その声はとても冷たかった。男は前を見据える。

「玻璃川ァ…」

玻璃川がドアの残骸を蹴破り入ってくる。玻璃川が詠唱を始める。男も詠唱を始める。

「酸魔法 硫霧」

「イビルクロス」



春は統と魔法の話をしていた。統は春の眼を見る。春の眼には覚悟が映っていた。統はその眼を見て少し哀しくなった。もう俺が知ってる春じゃないのか…。

親父もこんなこと考えてたのかな…統はふと思った。

だが春のお父さんという声で春との話に戻った。

「ああ、強くなるのか。だったら…書を読みなさい」

統は書を出す。顔はいつもより哀しげであった。



「新沢さん、ちょっと休んだらどうなの」

有栖は新沢に言う。新沢はもう虫の息になっているのだが、まだ向かってくる。もう歩調もおかしくなっている。時雨も何も言わずただ見ているだけである。有栖は木刀で新沢の頭を全力で斬る。少し休め、有栖はそう思っていた。新沢は斬撃を避けていた、そして有栖を斬りつける。有栖の腕から血が流れる。有栖は表情を変えずに、木刀を振るう。それは新沢の左手に当たる、新沢の手は紫色になっている。それでも新沢は刀を動かす。もう新沢は鬼神の表情であった。有栖は新沢があの時感じた恐怖が分かった気がした。



男は通路を走っていた。走りながらあることを思い出していた。こいつらと出会ったときだ–––––––



「あんた何やってんの?」

翡翠が問う。男は座り込んで煙草を吸っていた。顔は何処か哀しげであった。というか、絶望した表情であった。見かねて翡翠は仮面を男に渡す。

「これ、着けなよ」



あの女は良く分からなかった。何故初対面の俺に仮面を渡したのか。勿体無いからと言っていたが、何故、何が勿体無いのかそれも分からない。

「レイスルーナイト」

後ろから玻璃川の詠唱の声が聞こえる。光の剣が飛んでくる男はそれを槍で防ぐ。光は弾かれて何処かへ消えた。

「玻璃川、お前をここで殺す!」

男は声を張り上げて言う。後ろからは何人かの人間が走ってきていた。ヤバい死んだな俺、男はそう思った。



「名前なんて言うの?」

翡翠は男に問う。男は何も答えない。翡翠はパンを手に持つ。男はそれに気づき翡翠を見上げる。

「俺の名前は、有川勝だ」

有川はそう言い、パンを引ったくって口の中に入れた。パンはとても硬く、中々食いちぎれなかった。だが有川は食いちぎってみせた。翡翠は飲料水も横に置いた。そして空を見上げた。



後ろの人間たちが矢を放つ。玻璃川も光線を放つ。有川はそれを何とか躱す。そして酸を放つ。後ろから断末魔が聞こえる。玻璃川は光を放ってくる。有川はそれを避けて翡翠を突き刺す。玻璃川は光の剣のようなものを創りそれをいなす。何で当たらない–––––––



「あんた珍しい魔法使うんだね」

翡翠は言う。有川は槍を握っていた。槍からは煙が出ていた。翡翠も見たことがない魔法だった。授業でも聞かない全く知らない魔法であった。槍を投げた瞬間捜査官の防御壁を溶かしつくし捜査官を殺していった。翡翠は少し羨ましかった、彼は力を持ってる。私と違っている。



有川は槍を振るい続ける。玻璃川はそれを避けながら光線を放つ。それは有川の肩を掠める、有川は槍を強く握り締める、その瞬間槍から棘が生える。棘は畝りながら玻璃川に向かっていく。

「アレクランドオーヴァード」

玻璃川がそう詠唱すると、真っ赤な光が産まれ棘を粉々にした。その光は有川にも向かう。有川は二本槍を作り光を弾く。玻璃川はその隙を見逃さず有川に光の剣で斬りかかる。だが、そこに有川は居なかった。

有川は後ろに居た。そして玻璃川を槍で貫く。玻璃川はそれを剣で防ぐ、玻璃川は次の瞬間もの凄い速度で有川に斬りかかる。その速度はとても早く目視できるものではなかった。有川の身体に次々と傷が刻まれていく。有川が一気に紅く染まる。有川は斬られながら違和感に気付いた。”見えない”…だったら!有川は酸の霧を創る。

後ろから呻き声が聞こえる。有川は霧にまぎれ、何処かへ消え去っていった。玻璃川は霧を払う。後ろを見ると何人か霧を吸い込んだらしく倒れ込んでいた。

「津田、奴らは?」

玻璃川は尋ねる。津田は不気味なほど落ち着いた様子で答えた。

「現在交戦中です…発見できたのは百足と翡翠と斉だけです。肝心の”頭”が見当たりません」

津田は言う。無線の向こう側からは銃声が聞こえる。

「直ぐに向かう。待ってろ」

玻璃川はそう言い、向かおうとする。後ろの負傷者をどうすれば…玻璃川はそれが頭によぎる。だがそんなことを気にしている場合ではない。玻璃川は急いで向かう。嫌な予感がする。



「は?」

隊員の一人が言う。背後には津田が居る。それだけならいいのだがこの男は自分を盾にしたのだ。それは赦されることではない。

「え?いやだって」

津田は至極当然のことのように言う。そして隊員を前に突き飛ばす。京極はそれを手で払う。

「結晶魔法 サファイアソード」

津田は詠唱する。すると手元から細い剣…レイピアのようなものができる。後ろからは隊員の困惑の声が聞こえる。

「何こいつ」

翡翠が言う。その瞬間津田が翡翠に斬りかかる、だが糸の壁に阻まれ翡翠に剣が届かない。隊員はただ唖然としていた。その隙を突かれ斉の魔法を食らう。隊員は動けなくなる、さらに隙を突かれ隊員たちは翡翠の糸に斬り刻まれていく。隊員たちは肉塊へと変貌していく。

「あらら…やられちゃいましたね…」

津田が呑気に言う。津田は糸の壁を蹴り京極に斬りかかる。百足は生やした脚で攻撃を防ぐ。そして左手で津田の腹を貫いた。

「え?え?いやいやおかしいおかしい」

津田は貫かれながら言う。津田は詠唱を始める、だがその瞬間斉が魔法を放ち口が動かなくなる。津田の顔に怒りの表情が浮かぶ。それはまるで般若のようであった。百足は笑って津田を放り投げる、津田は道の端にぶち当たる。津田は血を吐く。翡翠は苦しむ津田に近づく、糸の壁が容赦なく津田に切れ込みを入れる。

「痛い痛い痛い痛い痛い。痛いわ馬鹿!」

津田がそう叱り、糸を手で掴んで引き千切った。手には結晶でできた手袋が着けられていた。翡翠は構わず雷撃を放つ、津田はそれを手袋で防ぐ。手袋に何か細工があるのかどうか分からないが電流が手袋から動かない。

「結晶魔法 ルナムーン」

津田が血を吐きながら詠唱する。すると結晶が生まれ、3人を襲う。斉は翡翠の後ろに隠れる。翡翠は糸の壁を巨大化し、結晶を防ぐ。だが結晶はヒビが入るだけで、中々切れない。京極は動かなずに津田を見つめる。

「召喚魔法〜百足の口」

京極がそう叫ぶと地面から百足の口が出てくる。百足は津田を噛む。津田はジタバタと忙しなく手と足を動かしている。

「痛ってえな糞が!このゴミ虫がぁぁぁぁぁぁ」

津田は毒づきながら百足を斬る。百足は苦しそうにしているが、次の瞬間全ての傷が塞がる。津田は京極を睨みつける。百足は笑う。津田は咬みちぎられた。津田はまだ動いていた。

「お前マジ…」

津田が赤黒い何かを吐きながら言う。

「それその辺に捨てとけ」

京極はそう言う、百足は津田を横の通路に吐き出した。向こうは排水口になっており、津田はバウンドしながら落ちていった。

「すまねぇ…遅れた…」

有川が言う。有川の身体はボロボロであった。全身に切り傷がある。京極は有川に肩を貸す。斉が前の扉を開けた。前にはあのお方が居た。

「玻璃川が来てます」

有川は報告した。あのお方は詠唱する。すると目の前の扉が無くなった。それを境にどんどん周りが頽廃していく…。玻璃川が来た時にはそこには死体しかなくただ頽廃チックな風景が広がるだけであった。玻璃川は溜息をついて無線を使う、そして負傷した隊員に退避するように伝えた。

「逃げられましたね…次は何処へ行ったのかな…」

玻璃川は独り言を言って、残してきた隊員の元へと行った。

これしか更新してない気が…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ