探
「い...痛かった...」
絵佐野は手を抑えて蹲っている。
「少年、いつまで蹲っているのだ?」
一人の男が絵佐野に尋ねる。男が傷を少し見る、肉塊が腕の断面に生まれ、蠢く。
「もう大丈夫です。...しかし慣れませんね」
絵佐野が腕をさすりながら立ち上がる。
「なに、慣れる必要などない。負わなければいいのだからな」
男が冷たく言い放った。
「まあ、そうですけど」
絵佐野が不機嫌そうに言った。腕は元通りになっていた。
「おいおい冬さん。勘弁してくださいよ...」
「確かにあんたには色々と世話になったが...こればっかりは無理だぜ...」
「そんなこと言わずに...いいじゃない」
「はっはっは...」
「ああどうも旦那さん。わたくし猿川と言います」
冬達は都内の一角にある和式庭園にいる。今猿川という男性と話していた、その男性は40代くらいに見える。だが冬曰くかなり年上でエリートらしい。男性はこちらを見ながらずっとルービックキューブで遊んでいる。だがエリートなのは本当だろう、威圧感のようなものがひしひしと伝わってくる。そして完成させ、机の横に置く。
「しかし守秘義務ってあるからねぇ...後ろの君も分かっているでしょう?」
「は...はい。存じております」
「じゃあこれでどう?」
冬がここに来る道中に買ったルービックキューブを手渡す。猿川はそれをひったくって、それを見る。
「う~ん...」
猿川は机の傍に置いたルービックキューブを冬に渡す。
「帰るよ、用事は済んだ」
「えっ?その...失礼しました」
扉が閉まる。猿川はルービックキューブを観る。
「おじさんもそろそろ真面目にしないとな...」
「う...ん...」
春は眼を覚ます。眼が覚めると知らない所に居た、これで二度目か。横には知らない男性が煙草を吸いながらこちらを見ていた。周りのコンクリートにはひびが入っている。ここは廃墟なのだろうか。
「目が覚めたか、鏡崎。伊藤だ」
伊藤が話しかける。
「伊藤さん...?」
「ああ、そうか君寝てたのか。着いてきてくれ先生に会わせる」
「ここどこですか?それに素直に着いていくと思いますか」
春はゆっくりと後ろに下がる。伊藤は変わらずこちらを観察している。そして魔法を使おうとする、が
「使えない...?」
「着いてきてくれるか?手荒な真似はしたくない」
春は何も返さず、着いていった。
無個性なコンクリートに囲まれている廊下を抜け、一つの扉にたどり着く。あまりきれいではない、劣化のレベルからしてここは廃工場なのだろうか。ドアが開く。中に一人の見覚えのある男性が一人座っていた。
「久しぶりだね。春君」
「文先生...」
「これはこれは冬さん、お久しぶりです。何の御用で?」
「さあ何だろうね」
突き刺すような光を放つ太陽の下、あるレストランにて冬と統は向き合っていた。




