正気に戻ったエディアルド殿下は、失態を取り戻す為に行動する。
すみません!タブレットの充電部分が壊れて明日更新が無理になりました。新しいのを購入しないと。アイコンが赤表示になりそう〜電池切れ、永眠まじかです。田舎は在庫がないので取り寄せです。ですので、次回更新は未定です。ごめんなさい。
私は今、驚きの境地にいる。あれ程伯爵の報復を恐れて、ルビィディア嬢の婚約者になったはずだ。
ひとつは父の為、ふたつ目は国の為と。この国の王家の人間として当たり前の行動を、良好な関係を、ルビィディア嬢と作るはずだった。
しかし、今の自分はどうだ!1人の女、それも、聖女とは名ばかりの淫乱な女に振り回され、多くの貢ぎ物をした。
意識が奪われていた状態だったのだと、聖女の力に取り込まれていたのだと、言い訳が通じるか?
口から出た言葉が取り消せない様に、多くの人の前で見せた行動を違うのだと言っても、誰も信じないだろう。
伯爵も他の人たちと同じで、ルビィディア嬢の為に不利になっては、と信じてくれないだろう。無理だ!暗い未来しか浮かばない!どう言い繕うと、やってしまった事は元には戻らない。
今まで積み重ねてきた自分自身を壊されてしまった。
第2王子……弟の時より事態は悪い。後悔にくれている暇はない!
今動かなければ!私はどうなってもいい!この国を守る為なら、命を伯爵に差し出そう!
そう思い立った私は、父のいる執務室に足早に押しかけた。少し乱暴に扉を開け、側に近づいた。
「父上!急ぎ伝える事は出来ました。聞いてください!」
私の剣幕に、父と一緒にいた宰相も驚いていた。
「殿下、慌てているようですが、どうしたのですか?今、大事な話の最中ですが」
宰相が重要な内容で、王子の私には聞かせられない物だと、出て行く様に進められている。
「エディアルド、宰相の言う通りだ。今は退がれ」
父も宰相の言葉に私に引けと手を振り言いました。
「いいえ、それは出来ません。急がなければ国が傾きます」
今引けば、後の対応が遅くなり悲劇を生む。二大勢力争いに伯爵が加われば国が二つに割れる、それは阻止したい。
「は?」
「え?殿下、何を……」
父と宰相が私の言葉に再度驚いていた。そう、国が傾くと聞いて。
「私は、聖女の力に惑わされ、人々の前で失態を犯しました。伯爵は、今度は許してくれないでしょう」
「ありえん!そなたがか?一番伯爵の恐ろしさを知っているのにか!」
「信じられません!国思いの殿下が間違いを犯したとは!」
「残念ながら聖女の魅了の力で操られました。婚約者でも無い聖女に、沢山の貢ぎ物を言われるままに贈りました」
私だけならまだしも、王になる時に側近にと数人の私付きの者たちも聖女の力に取り込まれて、私と同じ様に貢ぎ物を贈り仕事もせず聖女にべったりになっていた。
まだ、父のもとまで、私の行状が伝えられる前だったが、いずれ酷い有り様になったのは間違いないだろう。
「……そうか。伯爵は怒り狂ってるだろうな」
「……そうですね陛下、真実のみを述べて慈悲にすがるしかありませんな」
父と宰相の力ない声が私の心を苛む。
「父上、私は伯爵に事実を伝えます。魅了を使われてと言えど、婚約者を蔑ろにしたのは事実。どんな事になろうとも、最低限国に支障がない様にするつもりです」
それが、王子である私の矜持。命など惜しくない、国を守るのが私のやるべき事だ。
「……決めたのだな。好きにするがいい。この国の王としてはそなたを止める事は出来ぬ。だが……すまぬ」
ああ!王としての責務と父親としての気持ちを受け取った。肩を落とすその姿を見て涙が出そうだ。
「ご迷惑をおかけしました。御前失礼します」
執務室を退室した私は、伯爵のもとに向かった。今日は王城にいるはずだ。どんな結果になろうとも、前を見て真実から目をそらす事はない。




