表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/121

第69話 3回目のデート(その10)

「お昼ご飯も終わったし、次はどこへ行こうかな?」

「そうねぇ。アレなんかどうかしら?」


 レストランで昼食を終え、仁と頼子は次にどこへ行こうか相談していた。すると頼子は和風の古びた建物を指さして、次のアトラクションを提案した。


「お化け屋敷か。いいねぇ」

「そうよね。デートと言えば外せないアトラクションよね」


 頼子が提案してきたのはお化け屋敷であった。遊園地では定番のアトラクションで、建物に入ると数々の恐怖心を煽るような演出が次々と現れるという、説明する必要までもなく、誰でも知っているものである。デートで入るのは定番で、仁にとって頼子に男気を見せ、好感度を上げるのには絶好のチャンスであった。そのような事情で仁は頼子の提案を受け入れ、お化け屋敷に入ることにした。


「いやあん、こわそーお」

「はっ、はっ、はっ、俺がいるから大丈夫だぜぃ」


 仁と頼子の前に並んでいた金髪ギャルとチャラ系男のカップルが暗闇の中に入っていった。わざとらしく怖がるギャルと、格好いいところを見せようとする男で、周囲に見せつけるように2人は腕組みをしながらイチャイチャしていた。


「あのようになりたくはないわね」

「月見里さんはしてくれないの?」


 カップルを見ていた頼子は、あまり良い印象を持っていないようで、コックローチさんを見るかのような視線を向けていた。一方、仁はそのカップルを少し羨ましいと思ってしまった。


「いやあん、こわそーう。……どっ、どうかな?」

「凄く可愛いです」


 頼子は仁の言葉を聞き、気持ちを切り替えて先ほどのギャルと同じように、腕を絡めてから仁に感想を聞いた。それは仁にとって衝撃的であり、思わず守ってあげたくなる気持ちになってしまった。


「お待たせしました。どうぞ」


 このお化け屋敷は、徒歩で移動するタイプで、先に入ったカップルから一定時間を空けて入るようになっていた。入り口を担当しているお姉さんが時間を見ながら、規定の時間が経過するのを待っていた。そして時間が来たところで、仁と頼子に対して中に入るように案内をした。


「中は真っ暗ね」

「そうだね。はぐれないようにしっかり僕に掴まっていてね」

「そうするわ」


 中に入ると真っ暗だった。誘導するためのものか僅かに足元を照らす光があり、恐らくそれに向かって歩けば良いのだろうと仁は思った。頼子とはぐれないようにしっかりお互いの体を密着させ、隣にいる存在を確かめながら順路と思われる方向に進んでいった。


 プシュー


「うわぁ」

「きゃっ」


 お化け屋敷ではお馴染みのエアーが仁と頼子を襲い、2人は驚きの声を上げた。


「ただの空気だよ」

「そっ、そうね」


 2人とも少しビックリして声を上げてしまったが、それを誤魔化すように仁が科学的な検証を行うと、頼子もそれに合わせるように頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ