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クラスメイトの弱みを握って交際を始めたはずが、その子の母親と付き合っていた。  作者: いりよしながせ


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第68話 3回目のデート(その9)

「さあ、次のコーナーをアウトインアウトで攻めるわよ」

「うわぁああああああ」


 頼子の運転する遊戯用カートは大きく右に曲がるカーブに差し掛かっていた。頼子は速度を落とさないまま左端に寄せていき、カーブ直前で少しブレーキを掛けた後、外側からカーブに進入して内側ギリギリを通り、外側に抜けていった。


「兼田君、この先の車を抜くわよ。オラオラ、ゆっくり走っているんじゃないわよっ」

「ひょえぇえええ」


 そのような感じで運転しているため、頼子の運転する遊戯用カートは先行車に追いついてしまった。そしていつでも追い越しが掛けられるような体勢をとった。


「内側から行くっ!」

「ちょ、車が変な向きになってるっ!」


 次のカーブに差し掛かったところで、頼子はハンドルを操作すると、遊戯用カートは内側から侵入した後、車体が走っている方向と違う向きになり、そのまま横に滑るような恰好をしていた。


「すっ、すげぇ。あの姉ちゃん、遊戯用カートでドリフト決めてきたぜ」


 頼子が先行車を抜くとき、先行車を運転していたカップルの彼氏が驚いた表情で言った。



「えっ? もうゴールなの?」


 そんな調子で頼子は数台の遊戯用カートを抜き去った後、ゴール地点に戻ってきた。


「いやぁ、長年ここで働いていたけど、あのような凄い走りをするのは初めて見たよ」

「そっ、そうかな?」


 頼子が遊技用カートを止めると係のおじさんが駆け寄ってきた。手用ブレーキを掛けて動かなくした後、驚いた表情をして話しかけてきた。それを聞いた頼子は少し照れた表情をしていた。


「ねっ、私の運転、上手かったでしょ?」

「そっ、そうだね」


(もう、月見里さんの運転する車は乗りたくない)


 仁はこのとき、頼子がハンドルを握った車には絶対乗らないと誓った。


「運転技術は、前に豆腐屋でバイトしていたときに教えてもらったんだ」

「そっ、そうなんだ」


(どうして運転技術と、豆腐屋が関係あるんだろう?)


 仁はバイト先との関連性がわからず、頼子の話を理解できなかった。



「月見里さん、そろそろ昼食にしようか」

「そうね。頃合いかもしれないわね」


 遊戯用カートを降りた後、仁はそろそろ昼食にしないかと提案した。頼子も程よくお腹が空いていたため、仁の提案を受け入れた。


「ここで昼食になると、レストランとフードコート、それと点在している軽食類を扱ったお店くらいかな。月見里さんはどこが良い?」

「そうね。休憩の意味を兼ねてゆっくり座れるところが良いかもしれないわね」

「そうなるとレストランだね」


 この遊園地は休日になると多くの人で賑わうため、フードコートは家族連れの休憩場所として使われるため席の確保が難しく、点在している店は付近に設置されているベンチくらいしか座って食べられるところがなかった。そのような事情で頼子の条件を満たすものはレストランだけになっていた。


「それじゃ、レストランに向かおう」

「そうね。向かいましょう」


 仁と頼子は、はぐれないように手を繋いで、レストランが入っている建物に向かった。

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