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第1話

お読みいただきありがとうございます。




 気づけばそこは薄暗い洞窟の中だった。


 半球状のドーム型の空間は天井を見れば首が痛くなるほど高く奥が見えない。周りを見回せば何もない冷たく静寂な暗闇だけが広がっている。


 はて、何で俺はこんな場所にいるのか? ここは一体どこなのか?


 恐らく俺が先ほどまでいたコンビニの18禁コーナーではない事は確かだ。

 では何故こんな意味不明な場所で横たわっていたのか?。


 山奥に遠足気分でアウトドアに行った覚えはない。もはや現状がすでにアウトだ。

 では山奥に探険という名の冒険をしに行ったとか?。

 ありえない。もう取り返しのつかないような冒険に陥っているではないか。

 そもそも山奥という線自体が無いな。

 ならば自分の家? こっちこそありえない。俺のサンクチュアリは都会の隅にあるボロアパートだ。間違っても土の中にマイホームを作ってしまうほど貧乏ではない。


 うーん? と頭を抱えている中でふと違和感が生じる。


 その違和感の正体は自分の身体だ。


 自分の身体がひどく小さいように感じる。それに身体の中は柔らかいがその表面は硬い。それに腕が四本もあって手の指は三本で真ん中の指だけが異様になが……ほっ………うえ!!?!。


 思わず身体全体を見る。


 身長は百五十センチほどで身体全体に黒い甲殻のようなものがびっしりと付いている。足は前の身体と変わらず二本だが足の指が三本で鋭い鉤爪の様に尖っている。腕は先ほど確認した通り四本ある。

 そして、最大の違和感が生じている顔はというと鏡が無いのでわからない。

 そこで視界の端に水溜まりがあるのに気がついた俺はもしかしたら鏡の代わりになるかも知れないと思い急いでその水溜まりに駆け寄る。

 そして、その中を除きこんで見るとそこには、アリとカマキリの中間じみた虫の顔が映っていた。


 ぎゃあああぁぁぁ、と叫んで気絶するのはもちろんしようとしたが、叫んだ所で何とか意識を繋ぎ止めて止まる。


 これは夢なのか?。


 いや、違うな。

 確か最後の記憶を辿れば、18禁コーナーで丁度俺の目の前にトラックが突如突っ込んで来て……。おっと、見つけてしまったぜ。そうか、もしかしたらそうなのかも知れないが……、俺は死んだのか。確かにあの身が引き裂かれそうな激痛は今でもぼんやりと覚えている。


 じゃあ、俺がここにこんな姿でいるのはアレだ。


 王道的テンプレ。


 ISEKAI転生! というやつだろう。


 意味不明なチートパワーを持って生まれエルフのお姉さんや猫耳美少女を囲んでハーレムを作って俺Tueeeして伝説となるアレだ。


 ときどき中二病を発症して覚醒する俺なら何となくこの現状がわかるが。

 流石にこれはないだろう!。

 だって虫だぜ! 虫!。

 人間に生まれてこなかったにしろエルフとか獣人とかならまだ許容範囲だったが、虫ってそれはないだろう!。俺、虫超大嫌いなのに!。蝶々とか飛んで来たら奇声を上げて直ぐに逃げ出す俺が虫ってマジかよ……。いきなり終わったぜ。


 そんな俺が絶望のどん底に浸かっている最中に、何やら眩い光が走るのに気がついた。


 虚ろな目でその光の方向を見るとそこには、赤ん坊の握りこぶし程の紅いルビーのような丸い宝石が転がっていた。


 俺はそれにまるで吸い寄せられる様にして近づくと、その時どうしてそうしようと思ったがわからないが、恐る恐るそれに触る。


 その瞬間俺の中に何かが入ってくるような感覚がした後、視界がグニャリと歪み始めてグルグルと回る。

 酷い船酔いの様な感じに俺はばたりと倒れて吐き気にも似た気分の中で意識を失う。



 どれ程の時間が経ったのかわからない中で、俺は意識を取り戻す。


 気分は不思議と良くなっておりそれどころか何処からともなく力が湧いてくる。

 訳が分からず身体を起こすと急に頭の中に文字が浮かぶ。


《【王の心臓】の会得により新たなクラスへ昇格しました》


 うお! 何これ! ゲームみたい!。

 つうか会得? いつの間に……。

 もしかしてステータスみたいなのもあるのかな? そう思った瞬間頭に文字が浮かび上がる。



 名前:トーマ・サイトゥー

 種族:昆虫種

 称号:“転生者”,“王者”

 階位:第5領域

 能力:固有スキル『超再生』『立体知覚』  

    パッシブスキル『王者の風格』『直感』『調和』『体温感知』『危険察知』『超反応』『生存本能』

    アクティブスキル『毒針』



 アクティブスキル少な! しかもショボ!。

 他のはえらくたくさんあるのにこれだけ一つってショボいな。後、毒針なんてどこにあるんだ? ケツとかだったら泣くぞ。

 王の心臓? というのはあのルビーみたいな宝石か? だけどこうやってステータスがあって見れるっていうのは凄いゲーム臭がするな。

 他にもまだまだ突っ込むとこはあるぞ。名前がトーマなのはまだ頷ける、だがサイトゥーって何だ? 斉藤なのにサイトゥーって……。 

 種族は…うん………もう泣いても良いよね?。

 称号はいいとして気になるのは階位だ。これはレベルみたいなやつでいいのか? 第5領域って強いのか? 謎は深まるばかりです。


 取りあえず立ち上がって周りを見回すが何か背が高くなってないか? 黒い甲殻も肩とか鋭くてかっこいいスパイクが突き出てるし視界も広くなった。

 全身から力が湧いて出てくるし、俺もしかして進化しちゃった?。

 出だしからすげーチートだ。強いかどうかはわからないが。


 視界が広くなった事によりこの空間の全貌がわかったんだが。

 見えなきゃ良かった。何か物凄いデカイ蟲の死骸がある。それに壁には卵らしきものが埋まっているが全てが割れていた。蟲の死骸ももはや原形を止めていなくて一体どんな蟲だったのかわからない。近くに人間の死体もたくさん………って、マジかよ。


 背筋にぞくりと悪寒が走るが不思議と落ち着いている自分に気がつく。

 普通ならこんな光景を見たらとても平常心を保てないはずだが、何故かはわからないが取り乱したりはしなかった。恐らく自分がもう人間ではなくなったからだろう。


 人間の死体の傍らに落ちてある白く眩い光を放つ大剣が視界に入る。 

 若干躊躇いながらもその大剣を拾う。内部から光っている大剣には、キズの一つも見当たらない。重さもなかなかに良い。

 大剣ゲットだぜ。

 すみません貰いますと頭を下げてこの空間の入り口らしい大人が三人程同時に通れるぐらいの大穴に向かって足を運ぶ。


 これから先、何が起こるかわからないが俺は取りあえず進んでみようと思い足を進めた。







お読みいただきありがとうございました。

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